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June 06, 2004

『日々の泡』byボリス・ヴィアン

日々の泡
ボリス・ヴィアン , 曾根 元吉

発売日 1998/02
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ボリス・ヴィアンはジャズトランペット奏者だった。
ボリス・ヴィアンはシャンソンの作詞者、作曲者、歌手だった。
ボリス・ヴィアンはフィリップスレコードのディレクターだった。
ボリス・ヴィアンは作家だった。

そんな彼が書いた『日々の泡』は、コクトー、サルトル、ボーヴォワールらに高い評価を受けた。
(ただし、彼の死後ではあったが・・・)

主人公コランと恋人クロエ。
親友シック、天才料理人ニコラ、彼らの恋人アリーズとイジス。
毎日がパーティーのような日々。

蛇口から出てくるウナギ。
本物のカクテルを作る「カクテルピアノ」。

ヴィアンは独特の遊びで、読者を翻弄する。

解説によれば「言葉遊び」も随所に隠されているようだが、
これを理解するにはフランス語がわからないと厳しいかもしれない。

その「言葉遊び」のひとつ。
親友シックが全財産をかけてコレクションしている作家がジャン=ソオル・パルトル。
ジャン=ポール・サルトルをもじったのである。
シックが狂信的にまで夢中になって収集するパルトルの著書。
「へどについての逆説」「吐き気に先立つ選択」「吐き気」・・・
これは、みな、サルトルの著作「嘔吐」をもじっている。

サルトルをバカにしているようにも取れるのだが、サルトル本人が評価していたというのだから・・・

そして物語は悲劇的な結末を迎える。


参考までにボリス・ヴィアンが作詞した「脱走兵」の歌詞を書いておきます。

「脱走兵」

大統領閣下
お手紙を差上げます
時間があれば
読んでいただけるでしょう

私は今 令状を受取りました
水曜日の夜までに
戦地に発て、と

大統領閣下
私は 戦争はしたくありません
可哀相な人たちを殺すために
生まれてきたからではないからです

閣下を 怒らすつもりはありません
閣下に 申し上げなければなりません
私は決心しました
脱走しよう、と

生まれてから 私は
父の死をみて
兄弟たちが出征するのをみて
子供たちが泣いているのをみました

私の母は ひどく苦しみ
今では墓の下にいます
爆撃も気にせずに
ウジ虫も気にせずに

私が捕虜だったとき
私の妻を盗まれ
私の魂を盗まれました
それに 私のいとしい過去のすペてを

明日の朝早く
死んでしまった歳月に
門前払いをくわせるつもりです
私は旅に出ます

フランスの道端で
物乞いをして暮します
ブルターニュ地方からプロヴァンス地方まで
私は人々に訴えます

服従を拒むんだ
戦争を拒むんだ
戦争にいってはいけない
出征を拒むんだ

血を流さなければいけないのなら
あなたの血をどうぞ
閣下は 偽善者ですね
大統領閣下

私を追跡するのなら
憲兵たちに伝えて下さい
私は何の武器も もっていないので
撃ち殺してもいい、と

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