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July 22, 2004

『地を這う虫』by高村薫

地を這う虫
高村 薫

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今、一番好きな作家をあげろといわれたら迷わず「高村薫」というだろう。

何しろ寡作の人である。
最後に単行本が出たのは2年前の6月だ。(『晴子情歌』)
単行本を文庫化する際には必ず全面改稿する自分に厳しい人でもある。

そんなわけで、いくつか未読の作品は読まずに取ってある。
読むのがもったいないのだ。
しかし、とうとう『地を這う虫』に手をつけてしまった。

4つの作品で構成される短編集なのだが、どれも濃密で短編とは思えない
力強い話ばかりである。
短編といえども高村薫はやはり高村薫だったのだ。
この中に「羽村」という地名がちらっと出てくるが、後に『照柿』の舞台になる。
これはデビュー作ではないけれど、何か高村薫の原点を見るような思いがする。

今は日経新聞で連載中の「新リア王」が単行本化される日をただただ待つ日々である。

ちなみに安部公房とエドガー・アラン・ポーも読むのがもったいないとちょっと思ってます。

私は困難なことに挑戦したいのですよ。
簡単に登れる山には登りたくない。

〜ダ・ヴィンチ8月号 高村薫氏の記事より〜

<関連記事>
『照柿』by高村薫
『レディ・ジョーカー』by高村薫
『マークスの山』by高村薫
『リヴィエラを撃て』by高村薫

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Comments

高村薫は、どれも長そうで読んだことがありません。
短くて、お薦めの、ありませんか?

「読むのがもったいない」本ってありますよね。
わしにとっては、バタイユの『エロティシズム』です。
澁澤の超酔いしれた序文で、ほえっーーーとなってしまい、断念。
あとで人に聞いたら、たいしたことない、と言われ、ムッでした。

Posted by: ayaran | July 22, 2004 at 23:06

>高村薫は、どれも長そうで読んだことがありません。
初高村なら『マークスの山』がオススメです。

バ、バタイユ?
だ、だれ?
訳が澁澤龍になっているけどあの「マルキ・ド・サド」の作品を訳した
澁澤龍彦と同一人物?
だったら納得♪(どう納得したんだよ! 笑)
お、私も読みたくなってきましたぞ。

Posted by: LIN | July 22, 2004 at 23:21

高村薫すきだ。

と、硬派ちっくに。
高村薫素敵ですね。

1冊手にしてしまったら、後は勢いにのってどわぁ〜っと
読んでしまいました。
1冊目は『李歐』。
2冊目はリヴィエラ。
3冊目はマークス。
4冊目はマークス文庫版・・・。

やめられません・・

Posted by: ちどり | July 23, 2004 at 00:14

>ちどりさん
ああっ!やっと高村ファンが。・゚・(ノД`)
あまりにもコメントつかないで凹んでたんです(泣)
『わが手に拳銃を』を先に読めって本の師匠にいわれてそっちを先に読んで『李歐』は買ってあるけどまだ未読。
ちなみに『李歐』は『わが手に拳銃を』の文庫版。(全面改訂だけど)
『リヴィエラ』も買ってあるけどまだ未読。
『マークス』は文庫を読みました。
『照柿』『レディ・ジョーカー』『半眼訥訥』『晴子情歌』は読みました。

やめられません・・・
ちどりというHNはまさか「地取り」からきているとか?
ま、まさかね。

ちどりさんは合田刑事は好きですか?
以前、『レディ・ジョーカー』の感想を書いた時、話題になったのですが
合田刑事は誰が似合うと思います?

Posted by: LIN | July 23, 2004 at 00:40

>ちどりというHNはまさか「地取り」からきているとか?

いいかもそれ。(爆)

会田刑事。好きか嫌いかといわれれば・・ちょっと離れるかな(笑)
ざっぱで神経質そうで微妙にオンナ好き。
ルパンの銭形イメージで読み進めたのに、
読後感は筋肉系の骨ばった男の人になっちゃった。
大いに間違ってるかも(笑)


ほんとやめられませんよね。高村作品。
マークスの時は、最後にはとうとう文庫と両方斜め読みしました。・・。

誰がいいか・・といえば、京極堂が堤真一さんというのがしっくりこない!!!
もっとヒネた感じがいいのにぃ・・・・・・。

Posted by: ちどり | July 23, 2004 at 02:28

LIN さん

お久しぶりです
時々お邪魔してLIN さんの楽しい記事読ませていただいています
それにしてもLIN さんの読書量にはいつも驚いています

高村薫、またまた出ましたね
私も大好きで、Blogでも何回か取り上げています
「地を這う虫」は未読ですが
文庫本は手元にあるのでぜひ読んでみます

高村薫作品の面白さは作品の変貌ぶりですね
「わが手に拳銃を」から「李歐」の変貌には驚かされました
「マークスの山」「黄金を抱いて翔べ 」は単行本で読みましたが
文庫本は未読なので、どれだけ変わったのか気になります

「照柿」「レディ・ジョーカー」なども文庫化されると
きっとまた書き直されるのでしょうね
「レディ・ジョーカー」といえば映画は12月には公開されるそうです
合田雄一郎は石原プロの新人が演じるようです
LIN さんは上川隆也が気に入っておられるようですね
私もこの人はいいなと思っています
NHK「二つの祖国」で見せた演技もよかったですが、もう少し崩れた感じ(!)を出すと
合田雄一郎のイメージに近くなるのではと思います

変貌というキーワードでいえば
高村薫自身も「晴子情歌」で作風が大きく変貌しましたね
BookOffで単行本を買いこみ、まだ上巻を読みかけですが、すごいですね、この作品は。
もともとあの硬質な文体は単なるミステリーではおさまらないと思っていましたが
この「晴子情歌」で純文学の作家になってしまいましたね
「半眼訥訥」に載っていた文章修行の頃の文体からみれば
ものすごい成長(高村薫に失礼かもしれませんが)だと思います

これからも高村薫についていろいろ語り合いましょう

Posted by: up_down_go_go | July 23, 2004 at 08:18

>ちどりさん
>京極堂が堤真一さんというのがしっくりこない!!!
京極堂シリーズはまだ読んだ事がなくて、『姑獲鳥の夏』で初挑戦します。
どこかに「京極堂役は京極夏彦自身がぴったりだ」って書いてありましたが
そうなんですか?(笑)

Posted by: LIN | July 23, 2004 at 09:23

>up_down_go_goさん
ごぶさたしております。
「My Book My Life」拝見しております。
私など勢いで書いているに過ぎないのですが、
up_down_go_goさんの膨大な読書量に裏づけされた深い洞察力には
いつも圧倒されています。

>私も大好きで、Blogでも何回か取り上げています。
拝見いたしました。
私も『高村薫の本』持っています。
あの時、高村女史と対談した竹内洋氏の『教養主義の没落』も手元にあるのですが、
未読です(笑)

合田雄一郎についてはいまだ「この人!」という決定打が出てきません。
むずかしいですねえ。

『晴子情歌』から始まった3部作について、これはあくまでも私の推測なんですが
高村さんはドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』をめざしているのかなと・・・
ちなみに『照柿』は高村版『罪と罰』といわれているそうです。
現在、日経で連載されている『新リア王』は読んだ事がないのですが
父親と息子の葛藤がテーマだったり長い独白があったり主人公が僧侶だったりするんです。
違いますかねえ?(笑)
じゃ、タイトルがどうして『新リア王』なんだと突っ込まれると
たちまち答に窮するのですが・・・
単行本化が待ち遠しいです。

「My Book My Life」さんに私のような者が浅はかなコメントを書いては失礼かなと
書きあぐねていたのですが、これを機会に、色々、本の事などお話できれば嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。

Posted by: LIN | July 23, 2004 at 10:33

LIN 様

「京極堂役は京極夏彦自身がぴったりだ」

そうです。
そのとおりです。

って高村薫のコメントでいつまでも京極ネタごめんなさい。笑)
このあたりで。

Posted by: ちどり | July 23, 2004 at 14:36

>ちどりさん
>いつまでも京極ネタごめんなさい。笑)
ぜ〜んぜんOKですよ。
じゃんじゃん、書いてくださいね。
ただ、私が京極にあまり詳しくなくてごめんなさい^^;

>そのとおりです。
あ、やっぱりそうなんですか!
じゃ、本人にやらせちゃえばいいじゃんねえ(笑)

Posted by: LIN | July 23, 2004 at 14:48

★LIN さん

私は単なる本好きです
どうぞ気楽に本の話をしてくださいね

さて、高村薫がドストエフスキーを意識していることは十分考えられますね
「高村薫の本」にもこれまでの作品をキリスト教における「七つの大罪」を
キーワードに読み解くという面白い読み物もありました
キリスト教的原罪やそれらを背景にした親子や個人の問題こそ
ドストエフスキーが追求したものです
LINさんのおっしゃるように「照柿」は「罪と罰」
「晴子情歌」から始まった新3部作は
「カラマーゾフの兄弟」を目指しているのかもしれません

私も「新リア王」まったく読んでいません
いま調べてみたら日経ネット↓に詳しい紹介がありました
http://www.nikkei.co.jp/honshi/20040322ta73m000_22.html

この紹介によると、「新リア王」は曹洞宗の僧侶となった彰之が
実の父の政治家・福澤榮と向き合う物語となっており
今度は仏教それも禅宗が作品を貫く柱になっているようです
キリスト教、そして仏教 これは高村薫を解く大きなカギのような気がします

ご存知のように彼女は同志社高校から国際基督教大学に進んでおり
青春時代をキリスト教的な世界で過ごしています
ドストエフスキー的世界への関心も当然あったと思います

しかし、「高村薫の本」によると、母親は浄土真宗の寺の出身
父方の祖父母は仏教系の宗教団体の信者だそうですから
仏教的な素養の中で育っているのです
おそらく、高村薫はこうした宗教的世界の狭間を揺れ動きながら
彼女なりの宗教哲学を作り上げていったのではないかと推察します

なんだかムツカシイ話になってしまいましたが
宗教問題が今度の新3部作に重要な意味を持っていることは間違いありません

話ついでに、これもまた「高村薫の本」からの受け売りですが
第3作では合田雄一郎が出てくると彼女自身がインタビューで答えてますね
しかも、9・11のアメリカの世界貿易センターテロ事件も絡んでくるとか
想像しただけでもスゴイ小説になりそうです!

あ、最後にもうひとつ(ちょっとしつこくて申し訳ありません)
「新リア王」のタイトルの件ですが
いうまでもなく「リア王」はシェークスピアですね
こちらはリア王と3人の娘をめぐる親と子の話でした
なんで「新リア王」なのか、現段階ではさっぱりわかりませんが
おそらく親と子の物語というあたりがキーワードでは?と思います

★ちどりさん

初めまして

私も京極堂、読んでいます
講談社で文庫本シリーズが始まって以来、追っかけていますが
先日やっと「絡新婦の理」を読み終えたところです
これからダブル「塗仏の宴」に入るところです
京極夏彦が柳田國男全集を読破していたということを知って
ますます彼の世界に引き込まれていきそうです

LIN さんがおっしゃっていた「京極堂役は京極夏彦自身がぴったりだ」という話
私もそう思います
なにしろ彼の手に手甲、あの黒ずくめの格好ときたら…

京極堂についてまたお話したいですね
これからもよろしくお願いします

Posted by: up_down_go_go | July 24, 2004 at 00:35

>up_down_go_goさん
さすが!
私なんかより全然お詳しい!

>第3作では合田雄一郎が出てくると彼女自身がインタビューで答えてますね
しかも、9・11のアメリカの世界貿易センターテロ事件も絡んでくるとか
想像しただけでもスゴイ小説になりそうです!

そうなんです。
もうワクワクです。
高村さんのミステリも好きですが、今や社会派作家といってもいい
彼女の今後の作品は本当に楽しみです。
高村女史には長生きしていただき一作でも多く書いてもらって
現代社会に一石を投じてほしいと思います。

Posted by: LIN | July 24, 2004 at 09:52

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