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September 06, 2004

『私が語りはじめた彼は』by三浦しをん

私が語りはじめた彼は
三浦 しをん

発売日 2004/05/25
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三浦しをんさんって少女マンガのような表紙が多いので10代の少女向けの作家なんだと思っていた。

先日、近所の書店に、彼女の作品が大量に平積みしてあったので、
ちょっと立ち読みしてみた。

二千年以上前の話だ。
寵姫が臣下と密通していることを知った若き皇帝は、まず彼女のまぶたを切り取った。
これから自分がどんな目に遭うのかを、彼女がしっかりと瞳に映せるように。
それから彼女の体中の穴という穴を、縒った最上級の絹糸で縫いあわせた。
口を除いて。
呼吸をさせるためと、食べ物を与えるためと、彼女の悲鳴と命乞いを聞くために。

この書き出しのすさまじさに購入決定!(笑)

ストーリーは女好きの教授にふりまわされる周囲の人々の物語だ。
6つの短編で構成されている。
そのつど、語り手が変わるので6人の主人公がいるわけである。
6人は何らかの形で教授と係わり合いがある。
構成はおもしろい。
ミステリーの要素もあり、著者が重厚な雰囲気を出そうとしているのもわかる。

しかし、所々、作品と不釣合いな表現があって、何とも読みづらい。
「無理して大人っぽい文章を書いている」という感じもする。
しかし、後半になるにつれ、段々、よくなってきた。
「おっ!」と思う表現も出てくる。

4才の時、2日間、迷子になった奥村君のセリフ
「両親は僕を大切にしてくれている。それは僕も同じです。
でも僕は、四歳のあの日からずっと、家への帰りかたがわからないままだ。
この道で合ってるのか。家族はこのひとたちで間違いないのか?
毎日、自分に問いかけながら歩く」

結論からいえばおもしろかったです。
表現の問題にしても、彼女はまだ28才。
今後に期待したい。

<追記>
抱腹絶倒まちがいなしという彼女のエッセイ『人生激場』もあわせて買った。

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Comments

読み始めたら止まりませんでした。
8月5日に感想ありますのでよろしければお目通しを。

LINさんとは裏っ返しの感じになってますが、
思ったところは同じということですね。
たぶん、新潮社なので編集の赤が細かかったんだと思います。

Posted by: mort_a_credit | September 06, 2004 at 18:09

>mort_a_creditさん
感想、拝見しましたよ♪

>読み始めたら止まりませんでした。
その点では私も一緒です。

何かね、せっかく重厚に仕上げようとしているのに「肝臓を悪くした狸みたい」とか
成績の事を「シベリアの気温グラフ並みに低迷した」というあたりに
ボキャブラリーの貧困さを感じたんです(笑)
mort_a_creditさんはこの表現、いかがですか?
もしかしたら若い人には抵抗ないのかもしれないとも思っています。

予言の章が個人的には一番、好きです。

Posted by: LIN | September 06, 2004 at 20:46

気になっている本の一つでした。
たしかエキサイトに掲載された編集者たちの書評で、この本を絶賛していたり
書き出しが印象的だったので、夏期休暇の時に買って読もうか迷ったんです。

さらに気になるのが装丁で、わざと汚い質感にしてるんでしょうか?
二軒の本屋でこの本を見ましたが、平積になった全ての本が擦り切れていて
「これ雑に扱われた?それとも、風合いってやつ?」と疑問に思いました。

Posted by: るちあ | September 06, 2004 at 20:49

>るちあさん
(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
私としては絶賛とまではいかないですが(笑)、少なくとも読んで舌打ちというような事は
ないと思います。

>平積になった全ての本が擦り切れていて・・・
あっ!偶然じゃなかったんだ!
私が買った書店でも、キレイなのを選ぼうと下から引っぱり出しても
全部、カバーが汚いんです。
あきらかに擦ったようなあとです。
「これじゃマーケットプレイスで売れないな」とここで舌打ちです(笑)
一体、どうしたんですかね?

Posted by: LIN | September 06, 2004 at 21:33

わたしもこの本、おもしろかったです。
語り口の比喩のつたなさは語り手のそれぞれの
癖や年頃をあらわしているのかと思って読んでいたのですが・・・(汗)
他の小説もずいぶん文体が違うので。

エッセイは爆笑ものなのですが
ちょっとおたく度が高いので人によって感想はちがうかも。
わたしはつぼにはいりましたが。

カバーのこと、気がつかなかった!(わたしってにぶいんですよ)

Posted by: かっこー | September 06, 2004 at 21:59

>かっこーさん
ヾ(* ̄ ̄ ̄ ̄▽ ̄ ̄ ̄ ̄*)ノこんばんわ♪

私の毒舌、気にしないでくださいね♪
若い作家に対しては、もう最初からあらさがししているような節もあるので・・・^^;
この作品も「よしっ!これは毒舌吐きまくれるぞ!」とはりきっていたんですが、
後半は引き込まれてしまって「あれ?文章うまくなってる」と思ったくらいです。

エッセイも楽しみです。
ぱらぱらっと読んだ感じでは(* ̄m ̄)プッでした。

最近、またJUGEM重〜ですね。
livedoorも一時、重かったですけど、最近、またちょっといいかな?
JUGEMってテンプレートがかわいいから移転したいんだけどなあ・・・

Posted by: LIN | September 06, 2004 at 22:32

三浦しヲん、なかなか気になる作家で、でもこれは図書館コース(買うほどのことはない)だな、と記事を読んで決定した次第。で、最近またJUGEM重〜です。もう慣れました(ビジターは慣れてはくれないでしょうが)。わたしは必ずや復活いただけると信じているのです。Livedoorとは違います。Livedoorはとにかく再構築とかいろいろ面倒なのです。JUGEMにはそんなものはない。たいへん使い勝手がよいし、LINさんがおっしゃるようにデザインに関してもわりと優秀なものが集まっていて、カスタマイズもしやすい。ただ、いまはちょっと重い、というだけです。きっといまだけ。無料ユーザー登録が一時停止の状態にあるので、もうちょっとかかりそうですが、LINさんのJUGEM、楽しみにしてますよ。それはそうと、Livedoorの上手な捨て方って、ないですかね。

Posted by: Rym | September 07, 2004 at 10:35

>Rymさん
(^-^*)/まいどっ!

>これは図書館コース(買うほどのことはない)だな
あ、全然それでOKです(笑)
私ももうちょっとキレイだったらとっくにマーケットプレイスに売り飛ばしてます(毒)
上にも書いたけど、購入した段階でもう汚かったので、今回は見送り。

>ビジターは慣れてはくれないでしょうが・・・
JUGEMのブログを開く時は、その間に他の作業してます(爆)
ユーザーとしては記事更新とかでストレス感じない?
お!今、RymさんのJUGEMブログ開いたら、楽勝だったよ♪
え?こんなに更新していたの?
知らなかった・・・
MyBloglistにPING来てないみたいだけど・・・

>Livedoorの上手な捨て方って、ないですかね。
①パスワード変更して(IDは変更不可)、ブログ未体験の知人をいいくるめて、
教えるふりをしてそのままブログごとあげる。
②露骨なアフィリエイトブログにして収入を期待する。
③仲間同士のサークルブログにする。
④とりあえず、全部の記事を削除して放置。
⑤アダルトブログにする。
色々、遊び方はあると思います(笑)

>LINさんのJUGEM、楽しみにしてますよ
2つは運営できないので、やるとしたら移行ですね。
過去記事も移行できるのかしらん♪
がんばれ〜JUGEM〜

Posted by: LIN | September 07, 2004 at 11:38

>購入した段階でもう汚かった
これってそういうデザインなのかもしれないですね。

>JUGEMのブログを開く時は、その間に他の作業してます
わはは。わたしも同じくです。

>ユーザーとしては記事更新とかでストレス感じない?
いまはかなり感じます。いまは。

>お!今、RymさんのJUGEMブログ開いたら、楽勝だったよ♪
そういう時間帯もありますね。まあ段階的に良くはなってきているはずですし。

>え?こんなに更新していたの?
notesは気楽な日記ですから。ゆるゆる。

>MyBloglistにPING来てないみたいだけど・・・
あ、そういえばBlogPeopleにしかPING送ってなかったです。
次回からは送っときます。

>③仲間同士のサークルブログにする。
これ、いいかもしれないですね。

>⑤アダルトブログにする。
したいですけど、ネタがないですね。画像が。

>過去記事も移行できるのかしらん♪
メモライズ形式のファイルのインポートはできるみたいですが、それってどうなんですかね。誰か詳しいひといませんか。

Posted by: Rym | September 07, 2004 at 12:17

>Rymさん
>これってそういうデザインなのかもしれないですね。
表紙左隅に縦10cmくらいの擦ったような線です。
今度、図書館で見てみてください。
もしかしたらデザインかも・・・

>したいですけど、ネタがないですね。
私でよければ・・・(ウソ)

Posted by: LIN | September 07, 2004 at 13:31

>私でよければ・・・
三浦しをんのこの題名は田村隆一の詩「腐刻画」の一節から採られたものではないかと思うのですが(「この男 つまり私が語りはじめた彼は 若年にして父を殺した その秋母親は美しく発狂した」)、田村について何か言及がありましたかね(とアダルトとは全然関係ない話をしてみる)。田村はアダルトだ。

Posted by: Rym | September 07, 2004 at 21:38

>Rymさん
最後のぺージに、その一節が掲げられています。

Posted by: もみ | September 07, 2004 at 23:16

>もみさん
あ、ありがとうございます。やっぱり、そうなのですね。いい題名です。

Posted by: Rym | September 07, 2004 at 23:23

>Rymさん
解決したみたいで何よりです。

>もみさん
私が飲んだくれている間に(笑)、フォローしてくださってありがとうございます♪

『腐刻画』って絵だと思っていたら詩だったんですね。
読んでみたいです。
絵とか詩って人を狂わす何かがそこにひそんでいますよね。

Posted by: LIN | September 08, 2004 at 00:58

腐刻画

ドイツの腐刻画でみた或る風景が いま彼の眼前にある それは黄昏から夜に入ってゆく古代都市の俯瞰図のようでもあり あるいは深夜から未明に導かれてゆく近代の懸崖を模した写実画のごとくにも想われた

この男 つまり私が語りはじめた彼は 若年にして父を殺した その秋母親は美しく発狂した

Posted by: Rym | September 08, 2004 at 01:31

>Rymさん
謝々!
この腐刻画はアルブレヒト・デューラーという話があるそうです。
http://www.print-collection.info/kohanga/durer.htm
この詩に書いてある絵はどの絵だったのでしょうね。

Posted by: LIN | September 08, 2004 at 09:56

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