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September 17, 2004

『日の名残り』byカズオ・イシグロ

日の名残り
カズオ イシグロ, Kazuo Ishiguro, 土屋 政雄

発売日 2001/05
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すばらしい小説だという噂は耳にしていた。
そして、最初の5ページを読んだあたりで、私はもうこの本に夢中になってしまっていた。

<ストーリー>
主人公のスティーブンスはダーリントン・ホールという屋敷の執事である。
現在、仕えている主人から旅行を勧められ、7日間の旅に出る。
旅の間、スティーブンスは、自分の執事としての歴史、
ダーリントン・ホールで起きた様々な事件、
かつての主人だったダーリントン卿の思い出を振り返る。

何しろスティーブンスがすばらしい。
あまりの生真面目さに笑ってしまうほど、職務に忠実で、完璧な執事であろうと努力してきた。
しかし、彼が真剣であれば真剣であるほど、読者の笑いを誘う。

ダーリントン・ホールでは二つの大戦の間に重要な国際会議が開かれた。
その会議においてダーリントン卿は大事な役割を担った。
スティーブンスはそれを誇りに思っている。
しかし、戦後、ダーリントン卿はその名誉を奪われる事になる。
このあたりのくだりでは、戦時中のイギリスとドイツの関係が描かれており、興味深い。

そして旅の終わりにスティーブンスは日が暮れる景色を眺めながら、
その風景を自分の人生と重ねあわせる。
そしてスティーブンスが出した結論は・・・

最後、ぐっときます。
泣けます!
映画化もされているようなので、本を読む時間の無い方はそちらで是非!

<追記>
最近、ホテルやレストランにおける従業員の質が明らかに下がっているように
感じます。
と、同時に客の質も悪い。
スティーブンスがその人生で何より重んじたのが「品格」。
一体、どこに行ってしまったのでしょう?

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Comments

その他のカズオ・イシグロもいいです。
どれを読んでも感じたことですが、何かを語るのではなく、語らないんですよね。

僕は映画版も観ましたが、何だかいまいちだったように思いました… それは映画が悪いのではなく、原作が良すぎたから? 僕的には原作を読んでから観ないと解りづらいかも知れないなと思いましたが、その点はどうなのかな。不明。

Posted by: hasyos | September 17, 2004 at 17:28

>hasyosさん
私も是非、他の作品を読みたいと思っていました。
今、Amazonで新品が手に入るのは『わたしたちが孤児だった頃』と『遠い山なみの光』だけのようです。
とりあえず、『わたしたちが孤児だった頃』を買ってみようかと思っています。

原作が小説で、映画化が成功した作品というのは本当に少ないですよね。
まあ、できれば、この『日の名残り』は原作で読んでほしいとは、私も思うのですが・・・
私自身はこのビデオを観るつもりはないです(って人には薦めておいてひどい話 笑)

Posted by: LIN | September 17, 2004 at 19:10

LINさんの本の紹介を読ませてもらって、是非読みたくなりました!
Amazonにも行ってきたら、英国文学の最高のなんちゃら賞(覚えられずに・・(^_^;)を受賞とか・・。
ますますそそられて、早速近いうちに購入したいです。
素敵な本の紹介嬉しいです!
ありがとう!

Posted by: ワルツ | September 17, 2004 at 19:31

>ワルツさん
>是非読みたくなりました!
こういうブログをやっておりますと、そういわれるのが何より嬉しいです。
ブログ冥利につきます。
この本に関しては失望させない自信があります。
淡々とした文章なのに感動させられます。
是非!

Posted by: LIN | September 17, 2004 at 19:58

こんばんは。
私も、この本は生涯心のベスト10にいれています。
映画も悪くはないのですが、小説にはかないませんでした。
宮廷料理人ヴァーテルや利休の精神に似て非なりで、
彼の決しておごらない姿勢がとても心地よかったのをおぼえています。

Posted by: pico | September 17, 2004 at 20:14

>picoさん
生涯心のベスト10とはすごい!
あ、でも、私も入れちゃうかも・・・

>彼の決しておごらない姿勢がとても心地よかった
そうなんです!そうなんです!
あの謙虚な人生。
武士道にも近いのかなとも思うのですが、現代人が忘れてしまった感覚ですよね。

ヴァーテル?
って、今、Yahooで検索したら、オフィシャルサイトよりおかぼれもんさんのブログの方が上だった^^;
試してみてください(笑)

『宮廷料理人ヴァーテル』
おもしろそう!
ビデオは滅多に見ないのですが、これはひさびさに強烈に見たいです。
(単に食い意地がはっているともいいます 笑)
グルメ系映画(そういうくくりもどうなの?^^;)だったら『バベットの晩餐会』オススメです。
ご覧になりました?

Posted by: LIN | September 17, 2004 at 20:56

そんなわけで、この本、香港に連れて行きます。

Posted by: きみ駒 | September 18, 2004 at 00:58

ああ、いいですよね、カズオ・イシグロ。
映画の、アンソニー・ホプキンスもいい味出してましたよ。

>ワルツさん
ブッカー賞。たしか。

Posted by: ne_san | September 18, 2004 at 02:37

連続でスイマセン。

プロとはこういうこと…。
主人の読む新聞にアイロンをかけてるとこなんか、
感動します。

Posted by: ne_san | September 18, 2004 at 02:39

私も、読みたくなっちゃいました・・・。

>最近、ホテルやレストランにおける従業員の質が明らかに下がっているように
感じます。
>と、同時に客の質も悪い。

肝に命じます!

「品格」いい言葉ですね。

Posted by: take | September 18, 2004 at 05:54

>きみ駒さん
きみ駒さんの感想、楽しみにしてまっす(^^)v
ダメだと思ったら正直にダメ出ししてね。
参考になるので・・・

Posted by: LIN | September 18, 2004 at 10:07

>ne_sanさん
さすが!映画もご覧になっていましたか!

>ブッカー賞。たしか。
そ!そ!ブッカー賞。

>主人の読む新聞にアイロンをかけてるとこなんか・・・
原作にはそういうシーンがなかったように記憶しているので映画の方ですかね?
う〜む、何か見たくなってきたなあ・・・

Posted by: LIN | September 18, 2004 at 10:09

>takeさん
>私も、読みたくなっちゃいました・・・。
是非!
思わず背筋が伸びる本です。

>肝に命じます!
takeさんは、文章を拝見している限り上質なサービスを提供されていらっしゃると思います(^^)

私が住んでいるあたりはひどいんです。
デパートで子供が泣きわめいていても親は放置だし、居酒屋に行くと母親がグループで飲んでいて、
子供が走りまわっているし・・・
これって、全国的にそうなのかしらん?

Posted by: LIN | September 18, 2004 at 10:16

おはようございます。
パベットの晩餐、大好きです。
他に、料理ものですと。
「赤い薔薇ソースの伝説」
「コックと泥棒とその妻と愛人」
「マーサの幸せレシピ」とか、好きです。
ヴァーテルの映画版は、食べ物を期待すると
がっかりされますので、原作のが数段よかったです。

上のコメントに横レスですみません。
先日、本屋で遭遇したことなのですが。
平台の上を、5歳に満たないくらいの子供が走ってるのです。
一瞬、目を疑いましたよ。
で、周りの人はみんなそ知らぬフリ。。。
母親らしき人もみあたらなくて。
私は、そっとだきあげておろしたんです。
「ご本のうえ、歩いちゃだめだよー」って。
で、別な場所で、本を物色してたら、またもや同じ子供が!?
再度、だきあげておろした時に、今度は子供が泣いたんですね。
そうしたら、やっと、母親が怒ってやってきたので・・・
「本の上、走ってたのでおろしただけですよ。ちゃんとみてないと」
って言ったら
「あなたは、ここの店員ですか?」って言われましたよ。
頭にきたので、
「母親ならちゃんとしつけなさい」といったら、
私のこと睨みつけながら、かえっていきましたよ。
ふって振り返ったら、本屋の店員もいて、びっくりですわ。
どーなってんでしょうねぇ。
ハタキではたくくらいの根性も持ち合わせてないのかしら。
愛の足りないおかしな人が多くって困ります。

Posted by: pico | September 18, 2004 at 13:50

>picoさん
ご紹介ありがとうございます。
グルメ映画、たくさんありますね〜
少しずつ、見たいなあと思います。

本屋の件。
最近の母親ってちょっと信じられないですよね。

>「あなたは、ここの店員ですか?」って言われましたよ。
そうそう、逆ギレするんだよね。

>「母親ならちゃんとしつけなさい」といったら
picoさん、勇気あるなあ!
えらいっ!パチ☆\\ ̄ー ̄)( ̄ー ̄//☆パチ

そういう子供が、大人になって犯罪を起こしたりするんだと思います。
先日、2才の甥を叱ったら、妹に「3才までは甘やかしていいって本に書いてあるから」と
抗議されてしまいました。
それ以来、甥にとって私は「唯一、自分を叱る人」という認識らしくおびえて近寄ってきません(笑)
これでいいのか!日本!

Posted by: LIN | September 18, 2004 at 14:56

LINさん
アイロンのシーンは映画ですよ。
あと、アンソニー・ホプキンスが眠る前に読書してたりして、
なんか、ディティールに凝った映画だったです。
おすすめ。
原作とはまた違った味わいが。

Posted by: ne_san | September 19, 2004 at 01:44

>ne_sanさん
今、調べたんですが、アンソニー・ホプキンスってレクター博士なの!?
う〜む、レクター博士がスティーブンスか(笑)
いや、一連のレクター博士シリーズは怖いので見てないんですけどね^^;
イギリスって演劇の本場だから、俳優さんの演技もしっかりしているような気がしますが偏見?
今、ジェレミー・ブレットが演じた「シャーロックホームズの冒険」DVD-BOXを
買おうかどうしようか悩んでいます・・・
(もう半年くらい悩んでる (* ̄m ̄)プッ)

Posted by: LIN | September 19, 2004 at 10:26

LINさん、こんにちは。
早速TBして下さって、ありがとうございましたー。
この作品、本当にいいですね。
上のコメントを見てて、映画も観たくなってきちゃいました。
一瞬、えっ、レクター博士?!と引きそうになったんですが(笑)
アンソニー・アンソニー・ホプキンスだったら
雰囲気のあるスティーヴンスを演じてくれそうですね。

「わたしたちが孤児だった頃」は、その後読まれました?
私は先日「遠い山なみの光」を読んで、こちらもまあ良かったんですけど、
「日の名残り」の方が圧倒的に好きでした。

そしてコメントに反応してしまいますが
子供って3歳までは甘やかしていいんですか?そうなんだ!
私は3歳までが勝負なのかと思ってましたよ。
だってほら、三つ子の魂百までって言うじゃないですかー。
愛情をたっぷり注ぐことは大切だけど、
甘やかしたり怒らないのとはまた別問題ですよねえ。
そんなことしてたら、叱られた時に逆ギレする子になりそう。
親だって4歳になった時に、いきなり叱れるのかしら?
picoさんほどすごい体験はないですけど、
本を粗雑に扱ってる子を注意したことあります、私。
親にしたら、イヤなヤツでしょうねえ。(笑)

Posted by: 四季 | April 03, 2006 at 14:14

>四季さん
映画も原作の雰囲気そのままでなかなかよかったですよー。
そうそうレクター博士なんですけど、全然、別人です。
やはり俳優は演劇をやってた人に限ります。
(最近の日本の若手俳優はタレント出身ばかりでひどすぎる!)
カズオ・イシグロ作品はこれ以外、読んでないんですよ。
あらすじを調べた限りでは『わたしたちが孤児だった頃』の方が
好みかなあ。
>子供って3歳までは甘やかしていいんですか?
妹がいってたので、どこまで本当か…(^^;
いろいろな説があるのではないでしょうか?
最近のお母さんを見ていると、変なところに甘くて
変なところに厳しいですよね。
デパートや居酒屋で、子供が走り回っているのに(居酒屋でですよ!)
お母さん同士のおしゃべりに夢中な母親。
あきれてしまいます。
ウチの母曰く
「私は子育てが楽しくて楽しくてしょうがなかったけど
最近の母親は子育てがストレスって意味がわからないわ」
だそうです。

Posted by: LIN | April 04, 2006 at 09:13

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