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January 27, 2005

『1934年冬-乱歩』by久世光彦

一九三四年冬―乱歩
久世 光彦

新潮社 1997-01
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昭和9年、スランプに陥った江戸川乱歩は麻布の<張ホテル>に身を隠す。
乱歩40才。
その時の4日間の暮らしぶりを描いた作品。

ホテルに身を隠した乱歩が4日間で書き上げていく『梔子姫』もひとつの物語として
読み応えあり。

当時の作家の名前や作品名もたくさん出てくる。
永井荷風、谷崎潤一郎、横溝正史あたりまでは私もわかるが、
浜尾四郎、水谷隼、渡辺温、葛山二郎、瀬下耽って誰だろう?

乱歩によってエドガー・アラン・ポー論や探偵小説論も語られる。
<張ホテル>に滞在中の探偵小説マニアの人妻が
「バーナビー・ロスはエラリー・クイーンなのではないか」などと鋭い推理をしたりもする。
(今では誰もが知っている事なのだろうが・・・)

何より、この本での乱歩はかわいい。
ちょっとしたことですぐしょぼんとする。
こんな描写がある。

いくらか元気になって立ち上がろうとしたとき、乱歩は自分の股間に妙なものを見た。
何か銀色のものが光っている。
足を開いて首を曲げ、よくよく見れば、それは幾筋かの白毛ではないか。
乱歩は弾かれたように浴室を飛び出し、表のドアの鍵をかけ、部屋の窓のカーテンを引き、
それから全裸のまま茫然と部屋の真ん中に立ちつくした。
裏の林で嘲笑うように鴉が啼いている。
窓から鴉に見られたか。
涙がこぼれた。
風呂上がりの裸の胸に冷たくこぼれた。
昭和九年冬、江戸川乱歩は、まだ40才になったばかりであった。

うん、やっぱり、かわいい(笑)
本当の乱歩もこんな人物だったのだろうか。

ちなみに著者の久世光彦は向田邦子さんのドラマなどを手がける演出家。

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Comments

あ~ん!
んもぉ!大好きっ!!!
もちろん、乱歩も、久世さんもっ!!!
カノックスに入りたかったなぁ・・・遠い目

Posted by: pico | January 27, 2005 at 23:44

これ、おもしろかったねぇ。久世さんでは
「蕭々館日録」がよかったかな。積んでる本もあるのですが・・・・。

Posted by: かっこー | January 28, 2005 at 07:16

>picoさん
久世さんの本は初めて読んだのですが、おもしろかった~♪
他の本も読んでみようと思います。

>カノックスに入りたかったなぁ・・・
ちょっと調べたら一度、倒産したんですね(驚)
http://www.tsr-net.co.jp/topics/sokuho/level_4/name1012.html
TBSも安住アナウンサーはじめ全社員の7割が子会社社員扱いだそうで
TV業界もなかなか大変なのですね。

Posted by: LIN | January 28, 2005 at 09:20

>かっこーさん
>これ、おもしろかったねぇ。
うん、おもしろかった~♪
シナリオライターとかTV出身者の人の文章って好きじゃないんだけど
久世さんはうまいですよねえ。
他の本も是非、読んでみたいと思いました。

>「蕭々館日録」がよかったかな。
これはある程度、大正文学がわかってないとダメ?
『蝶とヒットラー』が幻想的で気になります。

Posted by: LIN | January 28, 2005 at 09:51

久世光彦はいいですね。文章も綺麗だし、道具立てがうまい。わたしは彼の、画に関する話が好きですね。『聖なる春』が好き。あと、『怖い絵』とか。

Posted by: Rym | January 28, 2005 at 10:23

ひゃぁ~はじめてしりました。<倒産
そういうことだったのですねぇ・・・
思わず、TBS・Pに電話してしまいましたです。
では、あの時、カノックスにはいっていたら、
(家庭の事情で、上京を断念したのです)
今頃、私は、大変なことになっていたのですね。
夏目家の食卓は、なんと見逃しちゃったのですね。
久世さんがなくなったら、ああいったドラマもなくなるのでしょうね。
朝っぱらから、いろいろ感慨にふけってしまいました。
LINさん、ありがとうございます!

「蕭々館日録」「蝶とヒトラー」「聖なる春」「陛下」「卑弥呼」・・・等々
もちろん、向田邦子さんシリーズも。
久世さんの、情熱や狂気にうす~く膜をはった
甘美な世界が好きです。

Posted by: pico | January 28, 2005 at 10:43

>Rymさん
二日酔いの朝、今朝のRymさんとこの記事がさわやかで
まぶしすぎます・・・(笑)
久世さん、今回初めて読んだのですが、いいですよねえ。
『怖い絵』はブルージュに行った事があるので、「ブリュージュへの誘い」が
気になります。
近々に買って読みたいです♪

Posted by: LIN | January 29, 2005 at 10:49

>picoさん
『センセイの鞄』も久世さんなんですね。
カノックスの件、リストラの遅れによるものだとか。
社長である久世さんがいい方そうなのでふみきれなかったのかなあと
いろいろ考えてしまいました。

>情熱や狂気にうす~く膜をはった甘美な世界が好きです。
同感!
久世さんの作品はこれからもちょっとずつ読みたいなあと
思ってます。
オススメがあったら教えてくださいね♪

Posted by: LIN | January 29, 2005 at 11:23

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