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April 04, 2005

『タイタンの妖女』byカート・ヴォネガット・ジュニア

タイタンの妖女
カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉 久志

早川書房 2000
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ハヤカワ文庫でタイトルが『タイタンの妖女』だからとSFと決めつけるのは早計。
かなり哲学的な本。
村上春樹はこの著者に影響を受けたらしいが、ヴォネガットの方が強いメッセージ性がある。

カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut, 1922年11月11日 - )
インディアナ州インディアナポリス生まれ。
人類に対する絶望と皮肉と愛情を表現した作品を多く手がけた。
第二次世界大戦中、捕虜として連れて行かれたドイツのドレズデン近郊で、
同盟軍(英米の空爆部隊)による、いわゆるドレズデン爆撃を経験した。
この経験が彼に与えた影響の深さは『スローターハウス5』を通じて伺い知ることができる。
『タイムクエイク』を最後に執筆活動を休止していたが,
2004年8月6日、アメリカのIn These Times誌に“I Love You, Madame Librarian”と題するコラム
発表した。

『タイタンの妖女』で思わずぷっと吹きだしたのは、
ストーンヘンジが、トラルファマドール星からのメッセージで宇宙からながめると
「交換部品もっか至急制作中」と書いてあるのだという箇所。
ちなみに万里の長城は「おちつけ。おまえを忘れたわけではない」
ローマ皇帝ネロの黄金宮は「われわれは最善の努力をつづけている」

「そんなバカな」と笑ってしまうわけだが、その直後、「いや、まさか、ひょっとして」と
思ってしまうのはヴォネガットの成せる技。

うーんとうなった箇所は…

むかしむかし、トラルファマドール星には、機械とはまったくちがった生物が住んでいた。
彼らは信頼性がなかった。
能率的でもなかった。
予測がつかなかった。
耐久力もなかった。
おもけにこの哀れな生物たちは、存在するものすべてなんらかの目的を持たねばならず、
またある種の目的はほかの目的よりもっと高尚だという観念にとりつかれていた。

「人間って何のために生きているんだろう」とお悩みの方にオススメ♪

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Comments

「爆笑問題」の太田さんオススメの1冊ですよね。
たしか、「爆笑問題のススメ」でとりあげて、けっこう注文がきたんですよ。
興味はあるのですが、未読です。
哲学的なのかー。気になります。

Posted by: あさこ | April 05, 2005 at 23:09

>あさこさん
そうなんですよー。
爆笑問題の事務所の名前はこの本から来てるんですよー。
って、とっくにご存知ですよね((^┰^))ゞ

>「爆笑問題のススメ」でとりあげて、けっこう注文がきたんですよ。
ブログ探索中にどなたかもそんな風に書いていらっしゃいました。
「爆笑問題のススメ」は見たいと思いつつ、
あまりに深夜なのでなかなか見られません(つД`)
うーん、録画しようかなあ。

>哲学的なのかー。
あさこさんのような読書の達人なら、絶対、楽しんでいただける本だと
思いますよ~。
機会があったら是非。

Posted by: LIN | April 06, 2005 at 11:24

果てしないたびを続けて、
「え?」という答えにたどり着いた後の
なんだか妙にのどかなラストの雰囲気が印象的でした。

シニカルな物語ではあるけれども、
エンディングで著者が手綱を緩めたような感じがして
好きな一冊です。

Posted by: るちあ | April 14, 2005 at 21:42

>るちあさん
るちあさんは『猫のゆりかご』もお読みになったのですね。
るちあさんの記事を拝見して私も読みたくなりました(^^)
『タイタンの妖女』は何とも切ない話でした。
著者は厭世的な人なのかとも思ったのですが、もっと深いのかなあ。
いろいろ考えさせられた一冊でした。

Posted by: LIN | April 15, 2005 at 09:43

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