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June 09, 2005

『四十日と四十夜のメルヘン』by青木淳悟

4104741019四十日と四十夜のメルヘン
青木 淳悟

新潮社 2005-02-26
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小説にストーリー性を求める人はぽかーんとしてしまうかもしれない。
音楽でいえば転調に転調を繰り返しいつまでもトニックにもどらない感じの話。

主人公はカルチャーセンターの文芸創作教室に通っているという設定なんですが
角田光代もいたという早稲田の文芸専修の事を書いているのかなあと思ったり。
文芸創作教室の講師が書いた『裸足の僧侶たち』は
エーコの『薔薇の名前』だよなあとか。
その本の表紙にしようと思っていると講師が語った青木繁の「海の幸」という絵は
高村薫の『晴子情歌』の表紙じゃんとか。
主人公がチラシの裏に書き始めたメルヘンは、ボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』とは
関係ないのかなあとか。

こんな感想しか思い浮かばないし、こんな風にしか書けない。
それにしても最近の若い作家って、どうしても書きたい事があって書くというより
テクニックだけで書いているような気がするなあ。
そもそも現代の日本に書きたい事なんてもうないのかもしれないけれど…

保坂和志さんによる選評

「おぼえていないときもある」さんにその他の選者の選評が掲載されています。

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Comments

書きたいことなんてあるわけないけど「小説は書きたい」気がする。だから書く。憧れだけでやってる。テクニックもない。小手先が器用なだけ。だから伝わらない。カラマワリ。彼は同い年だし、保坂さんに(だけ)ほめられるのはちょっとうらやましい。でも保坂さんほめすぎ。読んでないけど。笑

Posted by: 最近の若い作家 | June 10, 2005 at 13:26

>小説にストーリー性を求める人はぽかーんとしてしまうかもしれない。
LINさんのこの書き出しでとても興味津々です。
ストーリー性のない小説ってどんなんでしょう?
好き勝手なことを言っているエッセイみたいなもんでしょうか?
エッセイは好きじゃないんですが
なんかこのLINさんの感想で非常に読んでみたい気持ちに駆られています。
フライパンを買って(早く買えよ私)、冷血を読んで、黒後家蜘蛛の会を読んだら
読もうかな( ̄ー+ ̄)キラン

Posted by: Bryum | June 10, 2005 at 15:57

書きたいことがないのに、書く(また、書けたりもする、それもじつにうまく)…
平野啓一郎さんなんか読むと、私もそんなこと、よく考えます。

でも、じつは、作家だけの問題じゃないかもしれませんね。

自殺者年間三万人のニッポン。
働きたくもないのに働き、
作りたくないのに作り、
食べたくないのに食べ、
歌いたくないのに歌い、
キレイになりたくないのにキレイになり、
ニッポンじゃないのにニッポンちゃちゃちゃ。
生きたくもないのに生きている…のでしょうか。

中上健次という作家がいました。
彼は、人生が800年あっても、書ききれない、と言っていたそうです。
バブルの全盛期、何かに押しつぶされるように死んだヒト。

坂口安吾は、書くことが生きることだといいました。
書くべきことと生きるべきことは、たぶん同じなのですね。。

Posted by: overQ | June 10, 2005 at 21:06

>最近の若い作家さん
>だから書く
お、書いてるんですか?
読んでみたいですねえ(*^^*)

最近の本ってスケールが小さいんですよね。
自分の事ばかり書いているような気がする。
自分の事も書きつつその先に大きな世界観がないと
つまんない気がします。

Posted by: LIN | June 11, 2005 at 09:37

>Bryumさん
>LINさんのこの書き出しでとても興味津々です。
ありがとうございます(*^^*)
そういう風にいっていただけると記事を書いている甲斐が
あるというものです。
この本は、主人公がチラシの裏に日記のようなものを
書き始めるんですが、7月4日から7日が延々と
繰り返されるの。
そのうち7月7日が2回出てきたりして、
しおりをはさんでおかないとどこまで読んだか
わからなくなります(笑)
エッセイではないです。
まずは本屋で立読みしてしてから買った方がいいと思います。

Posted by: LIN | June 11, 2005 at 09:51

>overQさん
確かに生きにくい時代ではありますね。
しかし、だからこそ作家には考えに考え抜いた人生観を
見せてほしいと思うのですが、安易に泣ける小説の方が
売れてるんですよねえ。
あとはボーイズラブとかライトノベルとか?
もっと大人が読んでも楽しめる小説が
あるといいですよねえ。
中上健次は読みたいと思ってます。

Posted by: LIN | June 11, 2005 at 10:37

青木さんって、ピンチョンの再来と言われてる方ですね。再来もなにもまだ生きてますがピンチョン(笑)。
個人的には技巧に走った小説って嫌いじゃないです。
「感性」だけで書いてる作文みたいな小説にくらべたらはるかにましだと思います。
ただ、どうしても「技巧」が前面に出過ぎて、鼻につくこともありますね。若書きだと特に。

ちょっとぐぐってみたら、青木さん、私と同じ大学の出身です。学部はどうやら夜間のようですが文学部ってとこは同じ。
年も一つしか違わないし、同時期に同じキャンパスにいたのか…と思うとなんだか不思議です。

Posted by: Mlle.C | June 11, 2005 at 20:42

>Mlle.Cさん
お仕事、落ち着かれたみたいでよかったですね♪

ホントはピンチョンと比較して感想が書けたらよかったんですが
ピンチョン、まだ読んだ事がなくて…(^^;
というか、本をちゃんと読み出して2年そこそこの私が
語れるレベルじゃなかったかも(汗)
でも正直、この作品はよくわかんなかったです。

おお、青木さんとMlle.Cさんはすれちがっていたかも
しれないのですね。
Mlle.Cさんだったらどんな感想を持たれるのか
興味あります(*^^*)

Posted by: LIN | June 11, 2005 at 22:03

>お、書いてるんですか? kasfujjn243vaihjiogh jnuaiunf44gkjaidfv oiubuhnb nafvgt書いてますよkkauj8gnjiikでもnidijmm6m cnnjhns6ucxioq opwqpu2yhiufh ugbswn rgmntkppb小手先が器用なだけなのはLINさんがくだらないと評してる作品の若い書き手たちのことだったりして(わたし含め) mmgj aiv nnhnv aniufgaindfihaiudrjknz amfdgij8ishdrkj ajgfiugioanriughs jaifogjaoijdgroigjalkj ajdfgijhsaoidfhgshkgjn 「感性」だけで書いてる作文みたいな小説ってのはつまり例の江國香織とかに代表されるあのnashgoiajgij adfngioajdfoig s df afjgoiuahjoidfg jioahjdiognkjn adfjgggoiajdf kghsknfgoish lsom sfgjkshrd8 skjbnalk fgjg8jzm aijg98adroimjadijg89 4w095i056jslkrgnmkl89g7q90475yzpojt h0j09z jmnser5i gus0t9ubsmf56j

Posted by: 最近は若々しい作家 | June 12, 2005 at 00:10

考えないことが感じることだと思っている人がたくさんいて、でも感性は思考なしにはありえない、というようなことを多和田葉子さんが。彼女が感性。

Posted by: 近年まれに見る作家 | June 12, 2005 at 00:20

>最近は若々しい作家さんへ
あれ?暗号ですか?(笑)
私は技巧だけの小説なら感性だけの小説の方が
好きかなあ。
何も伝えることがないけどうまい小説か
伝えたいことがあるのにヘタな小説という意味でなら。
江國香織がどうかは別として。
まあ、本の読み方なんて人それぞれなので
そもそもこんな本の紹介を書く意味があるのかと
悩む今日この頃(^^;

Posted by: LIN | June 12, 2005 at 09:55

ついに読んじゃったんですね(^_^
テクニックといえば、なるほどという気もします。
ノーベル文学賞とか、海外文芸にありそうな感じだと思いませんでした?
私はテクニックも含めて芸術性のようなものにすごく心を打たれました。
よくわからない抽象絵画のようなものでしょうか。
喜怒哀楽よりも精神世界に近いような漢字化なぁ。
このあたりは完全に好みでしょうね。

Posted by: uota | June 12, 2005 at 12:05

わかりやすくいえば評論とは自分の好き嫌いを述べることだと思うので人それぞれであってしかるべきだしLINさんのアプローチはとても正当だと思いますよ。充分に意味があります。

Posted by: Rym | June 12, 2005 at 17:04

だってこんなにコメントついてるし。

Posted by: Rym | June 12, 2005 at 17:05

>uotaさん
とうとう読みました(*^^*)
最近の芥川賞作品に比べたらなかなかすごい作品だと
思うのですが、この形式で何かを表現するには
長さが足りなかったのかなあという気もします。
確かに抽象画っぽいかもしれませんね。

「クレーターのほとりで」はおもしろかったと
思います。
ただやっぱり前半のおもしろさに比べて
後半が尻切れトンボになったしまったような…
次回作に期待したいです。

Posted by: LIN | June 13, 2005 at 09:01

>Rymさん
ありがとー。
これからも毒舌でやっていく勇気がわいてきました(笑)
新しい作家の本はいつも期待して読むんですが
たいてい、裏切られます。
『対岸の彼女』や『半島を出よ』なんて最初から
読む気にもなれない私は世間とずれてるのでしょうか?
今は『ベルカ、吠えないのか』が気になります。

Posted by: LIN | June 13, 2005 at 09:28

>それにしても最近の若い作家って、どうしても書きたい事があって書くというより
>テクニックだけで書いているような気がするなあ。

あぁ、これ、わかるなぁ。
最近の小説って、一部の純文学とカテゴリされてるヒトを除いてはほとんどがエンターテイメント的な方に行っちゃってますもんね。

極論しちゃえば「第一章で人殺しギャー」か「ハリウッド式ドカーン!」か、あとは「セカチュー的泣きましょうドラマ」って感じで、テレビでもやれそうなことをわざわざ文にしてるって風潮もあるのかもしれませんね。
あとそういう技術をツギハギしてブロックを組むみたいに書いてたりとか。

いや(笑)
僕も人の事言えないけどさ。

でもなぁ……
コレを言っちゃうと「鶏と卵どっちが先か」って話になっちゃうんだけど、最近は読むほうもそういうのを求めてるというのがありますからねぇ。
結局、いろんな意味で「濃い」小説って読者が避けちゃうんですよ。
現に比較的楽に読めるのが大売れしてるでしょ。『電車男』とか『ナンタラの壁』とか。僕には理解できないんだけどさ。

だから出版社の編集さんも著者にそういうのを求めるんですよ。やっぱ商売ですからねぇ。

仮に今現在、ドフトエフスキーとかが生きてて新人賞を狙ったところを想像してみるといいですよ。まず絶対一次選考で落とされるから(笑)

かの大作『罪と罰』だって、「この殺人、最初に持ってきて。んでコイツ、もっと悪党にして。ヒロイン、キャラ薄いよ。それから探偵はドコよ!?」とか編集さんからイロイロ注文が付きそうだし、あげくにボツになりかねない分量だしさ(笑)。
(べつにドス様をけなしてるワケじゃないんだよ。ただ仮に今の読者にすりよるとするとこうなっちゃうのよ)

「これが今の時代」と言えばそれまでだけどね。
なんか悲しいな。
結局、みんな読書する時間が無いのかねぇ?
だから軽いのが好まれるのかな。


追伸:
長々と書いてスマソ

Posted by: ろぷ | June 13, 2005 at 18:16

>ろぷさん
確かに読者とか編集社側の問題もあるかもしれないですねえ。
現代人は時間がないから、1、2時間で簡単に読んで
簡単に感動したいのかもしれないです。
ただ、作家もまず食べていくことが第一で
自分が表現したい事を徹底的に掘り下げてるのか
疑問です。
そもそも発表する作品数が多すぎですよね。
そういうのがイヤな人は古典を読むとか
こういう時代なので、ネットで趣味で発表しているような
アマチュアの方の作品ですばらしいものを
さがせばいいんでしょうね。

Posted by: LIN | June 13, 2005 at 23:27

>ただ、作家もまず食べていくことが第一で
自分が表現したい事を徹底的に掘り下げてるのか
>疑問です。
>そもそも発表する作品数が多すぎですよね。

いやいや。
そこまで自由な環境に恵まれてる作家さんってなかなかいないですよぉ?

トップクラスに売れてる作家さんだと別だけど、ほとんどの作家さんは編集さんの意見を聞かざるを得ないんですよ(笑)。
そういう仕組みになっちゃってますから。
じゃないと出版社にソッポを向かれちゃいます。

これは僕の偏見かもしれませんが、
たぶん、作家さんが自分の意志でホントに書きたい物を書いてるのって、新人賞の受賞作くらいなもんじゃないかなぁ?

デビューしたあとは「これこれこういうジャンルでいつまでに何ページでくらいどうですか?」と外部からの要望が入りますからね。
そこに「ホントに書きたいもの」を見つけるのは……難しいでしょ。実際、期限もあるし。
だから「徹底的に掘り下げてない」んじゃなくて「掘り下げられない」んですよ。
寂しいことですがね。

まぁ、編集さんがキチンとした商業的なビジョンで見てくれてるからこそ、作家としての個人経営が成り立ってる側面もあるんですがね。


そんなこんなでプロが「商売」を引きずってしまってる以上、ホントの芸術的な文学を求めるなら、LINさんのおっしゃるようにネットとかを探して実力と時間のある(←これが大事)アマチュアを発掘する以外不可能なのかもしれませんな。

この「商売」と「芸術」がイコールになれば理想的でしょうけどねぇ。
芸術的であるほどコアな好みになっていくのも事実だし。コアになれば商売としてはツライし……
……なかなかうまくいかんもんです。


いっそのこと、LINさん、書いてよ(笑)。
大丈夫。そこまで深く考えてたらなにかを書けるよ。
いつもの毒舌口調で書いたら『シモネタに行かない岩井志摩子』って感じで僕は面白いと思うけどな。
僕でよければ下読みくらいなら協力するよ♪
(半分本気☆)

Posted by: ろぷ | June 14, 2005 at 07:24

>ろぷさん
そういえば、佐藤亜紀さんが編集者に
「歴史エロコラム集でも出してぱあっと売りましょうや」
っていわれたというコラムを見て
「レベル低っ」と思ったのですが
そういう事は日常茶飯事なのですね。
でも、いかにもマーケティングした上で
書かれたと思われるセカチューがヒットするという例もあるし
やっぱり読者にも問題あるんだろうなあ。
普段、本を読まない人はとりあえず、
今、売れている本を買うという傾向があるし…

>LINさん、書いてよ(笑)。
魅惑的なお誘いありがとうございます(笑)
でも、こうやって作者に文句たれてる方が楽しいし( ̄∀ ̄*)イヒッ
もちろん才能もないし。
もしねらうとしたら「上品な豊崎由美」あたりが
おもしろいかも。わはは。

Posted by: LIN | June 14, 2005 at 17:55

こんにちは。
TBさせていただきました。

なんとも言いようのない作品でしたね。
感想にも書きましたが、ピンチョンを再読しようという気になったことだけが収穫です(笑)

Posted by: おおき | July 12, 2005 at 18:01

>おおきさん
TBありがとうございます。
ピンチョン!読まれたのですね。
私も読もう読もうと思いつつ、なかなか手が出せずにいます。
この本はむしろ「クレーターのほとりで」の方が
おもしろいのかもしれませんね。
「四十日」はもう自分がどの7月4日にいるのか
わからなくなりますよね。
そもそも4日なのか5日なのか6日なのかも。
7日から先に進まないのは、七夕に意味があるのでしょうか?
ピンチョン、そのうち読みたいと思います。

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 11:28

ピンチョン、確かに読んだんですけど1作だけですし、内容ももはやうろ覚えですし…^^;
で、再読してみようかと思ったんですね。

なぜ7月4~7日なのか、というのは全然わかりませんでしたが、七夕が何か関係してるんでしょうかね~。
いずれにしても謎が謎のまま放り出されたまま、という感じの作品ですから…(笑)

Posted by: おおき | July 13, 2005 at 12:43

>おおきさん
おおきさんは最近の本をたくさん読んでいらっしゃいますね(*^^*)
『逃亡くそたわけ』は私も気になってます。
今後もいろいろ本の情報、交換してくださいね♪

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 14:15

LINさん、お久しぶりです。
indi-bookです。
読みましたよ~♪。
私も、日本のピンチョンという触れ込みに連れられて、読んだ口、、。
どうだろう、、??。
ピンチョンでは、ない気がしますが。
TBしますので。よろしくおねがいします。

Posted by: indi-book | March 13, 2006 at 22:22

>indi-bookさん
お読みになったのですね(*^^*)
TBありがとうございます。
そうなんですよ、ピンチョンっていわれると
つい読みたくなっちゃいますよね。
ピンチョン、読んでないけど…(^^;
私は『クレーターのほとりで』の方が好きかも。
その後、青木さんは書いていらっしゃるのだろうかと
Amazonで検索してみたけどこの本しかなかったです(笑)
文芸誌には書いていらっしゃるのでしょうが…
純文学って大変ですね、いろいろな意味で。

Posted by: LIN | March 14, 2006 at 09:29

LINさん、わざわざ、書き込みとTBありがとうございます。
ピンチョンだと、やっぱり「重力の虹」ですかね、、??
あはは、ミーハーですいませんって感じですね、。
でも、あくまでも、予定です。なんかちょっと敷居が高そうなので、。
「V」とか、「ヴァインランド」なんかも、
出てますね、最近は、出てないみたいです。
 では、、。

Posted by: indi-book | March 14, 2006 at 18:11

>indi-bookさん
池澤夏樹さんは『世界文学を読みほどく』の中で
『競売ナンバー49の叫び』 を紹介されてました。
と、このコメントを書くために検索したら、
池澤さんがパリに移住されたことを知り
また、その日々について書いたブログも見つけました。
indi-bookさんのおかげです。
ありがとうございます。

Posted by: LIN | March 15, 2006 at 09:23

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