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July 11, 2005

『ベルカ、吠えないのか』by古川日出男

4163239103ベルカ、吠えないのか?
古川 日出男

文藝春秋 2005-04-22
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もちろん、無邪気に「あー、おもしろかったね」と読んでもいいのだろうが
それだけの話だ。
恩田陸もそうだけれど、最近は物語としておもしろければそれでよしなんだろう。
昔と違って、食べる物を我慢して本を買うという時代じゃない。
どんどん、消費される物語たち。

内容は犬の目から見た20世紀戦争史である。

扉に手をかけていた。
コンクリート塀を、通過しはじめていた。
足のさき、半分。
激しい銃声が一発、背後から、した。
空砲ではなかった。
実弾は発射された。

といったように短い文がぶつぎれで「~した。~だった。~であった。」と
ずっと続いていく。
たー。たー。たー。と耳にうるさい。
そのうち田口トモロヲの声さえ聞こえてくる。(注:プロジェクトXのナレーター)

ロンドンのテロ事件といい、21世紀になっても相変わらず
戦争は終わっていない。
先日、何の考えもなしにホワイトバンドを購入した私だが、
overQさんがこんな記事を書いていらっしゃる。

以前、“あいのり”というTV番組のバスが南アフリカに行ったことがあって
日本の若者が愛だの恋だのとわーわー騒いでいる中
バスの運転手である現地の若者(あいのりメンバーと同世代)が
南アフリカが抱えている人種問題について語るのだが
日本の若者はぽかーんとしていた。
日本と世界の隔たりを感じた一瞬だった。

何をいいたいのかわからなくなってきたけど
小説は作家自身も迷いつつふらふらとあっちへ行き、こっちへ行くのが
おもしろいと私は思う。
この本のようにゴールまでひとつの方向に向いているのなら
映画でよいではないか。

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Comments

わはは。
わたしはこの作品、かなり好きですよ。文章も含めて。最近の読みやすいだけの作品とは一線を画すモノがある気がします。
でも、LINさんが「ゴールまで一つの方向に向いている」というのもナルホド、と思いましたわ~。

Posted by: ちょろいも | July 11, 2005 at 13:11

>そのうち田口トモロヲの声さえ聞こえてくる。(注:プロジェクトXのナレーター)

ウケました (≧∇≦)ノ彡
逆にそのナレーターが喋ってると思って読んだら面白いかも~(笑)

しかし犬の視点からの20世紀世界史って、どうなんでしょうね?
私はそこに疑問を感じてしまいました。
だって、犬の気持ちって犬にしかわかんないわけで、結局は人間が犬になりきって書いてるって事でしょ?
そういう作品は個人的にはあんまり触指が伸びないなぁ。
作者が何か変化をつけたかったのかもしれないけれどね。
『我輩は猫である』みたいな感じの物語なのかな?
それにしても、ね。

>“あいのり”

私もその回見てました。
確かにその事実を話されていた時は神妙そうな顔をしてたけど、もう次の日は愛だの恋だのにもどってましたものね。
まぁ、それが素直な反応なのかなぁとも思います。
結局自分がその立場に置かれないと受け止めはしないのでしょうね。

Posted by: すのう | July 11, 2005 at 13:52

LINさん、はずしましたねぇ。
これは、好き嫌いが分かれるのでしょうね。
とくに文体。
決して上手とはいえないですからね。
私は最近にない、大雑把でがさつなところが好みで、犬現代史のアイデアだけで買いでしたが。
20世紀はこんなものでしょうということで(^^;

Posted by: uota | July 11, 2005 at 18:21

>ちょろいもさん
いっきに読ませる作品ではありましたよね。
私の好みとしてはもうちょっとじっくり描いてある方が
好きなんだと思います。
古典のような。
だったら、無理して最近の作家の本なんか読まなきゃいいって
話なんですが、みなさんと語り合いたくてついつい(^^;
本棚もいっぱいになってきたことだし
しばらく単行本は買わないかも…

Posted by: LIN | July 11, 2005 at 21:56

>すのうさん
ホントに田口トモロヲ口調の文章なんだってば(笑)
犬の視点から見たっていうとちょっとニュアンスが違うかな。
軍用犬の話でね、太平洋戦争に参加した軍用犬の子孫が
その後、ベトナム戦争やアフガン戦争に巻き込まれていくの。
で、そこで田口トモロヲのナレーション登場で
「お前はシベリアを離れた」というような文章で
犬の動きが語られていくの。

あ、あの時のあいのり、すのうさんも見てた?
女の子の一人が運転手を好きになっちゃうんだよね。
女の子はきゃあきゃあしていてその運転手さんと
温度差あるなあと思いながら見てました。
ちなみに私の世代であのての番組といえば
「ねるとん紅鯨団」です。
バブルだなあ。わっはっはっ。

Posted by: LIN | July 11, 2005 at 22:08

>uotaさん
これが直木賞、取っちゃったりするんですかねえ(^^;
うまいとは思うのですが、『gift』もそうだったけど
文体が苦手というか、何か欠けているというか。
でもスケールの大きい話だとは思います。
さてさて、直木賞は誰でしょうか。
楽しみですね。

Posted by: LIN | July 11, 2005 at 22:17

LINさん、こんばんは。
こちらの本は、未読なのでなんとも・・ですが。
恩田さんしかり。
確かに、最近の読み物は非常にわかりやすいものが多いですよね。
よりエンターテイメントで、より売れるもの。
行間や、読み手の想像力を失わせるもの。
LINさんのおっしゃるように苦労して手にいれることがないから、わかりやすく垂れ流しのものがはやる。
それでなくても、読書人口へっているから仕方ないんでしょうね。
読書に求めるものが違っているので、仕方ないともいえますね。
昔の方の作品を読むと、明らかに、質が違うのがよくわかります。(永井さん読みました!感銘)
それでも、人柱的にたくさん読み続けるLINさんは、素晴らしいです!

PS1.ゴールのない映画、たくさんありますので、映画もよろしくです♪

PS2.LINさんのエントリーを読むと考えさせられます。
  今日、ほぼ日デリバリーから、中沢新一さんの「アースダイバー」のご紹介が届きました。“歩きながら考え、考えながら歩くという中で生まれた、体と頭がつながる本なんです。”
  とのことです。
  タイムリーなので、早速、読んでみることにしました。
  LINさんは、お読みになられました?  

Posted by: pico | July 11, 2005 at 23:13

ちょっと記事からピントがずれちゃうけど。

最近の直木賞って、「映画化可能な物語」が賞を取っちゃうってのが多くないですかねぇ?
もしかして直木賞ってそういう賞なのかな? とか思っちゃいます。

>映画でよいではないか。

の、お言葉にはまったく同感。
映像と活字ってぜんぜん違うモノなのにね。最近では「小説が映画化=出世した」ってイメージが強いですね。
なんか映画が一段高く扱われてるのが不思議でなりませんよ。

絵で言えば、
写真のような写実主義が映画で、印象派でいろんな解釈ができるのが活字だと思うんです。

それらは決して上下の関係じゃないですもんね。お互いが「ジャンル」として尊敬しあってる。
そういうものだと思うけどなぁ。

でも今の世の中では違うみたい。
なんだか小説のほうも映画やドラマになろうとしてるみたいな気がしますね。実際、ハデなアクション"だけ"の小説も多いですし。

んまぁ、ハッキリ言って映画になった方が儲かりますから(笑)。しかたない流れなのかもしれないけど。
映画にもできないことがあるし、活字でしか表現できない世界ってのも必ずある。
……と、思うけどな。

いち読者としては、儲けよりもソッチを目指してほしいなぁ……


追伸:
ホワイトバンドは同じような記事を書こうとしてました。んでもあまりにも過激な内容になっちまって公表できないですぅ(笑)。
ホトボリが冷めて、そして記事が修正できたらそのうち公開したいけどね。

Posted by: ろぷ | July 12, 2005 at 06:46

>picoさん
おはようございま~す♪

>行間や、読み手の想像力を失わせるもの。
そうそう!
私もそういうことがいいたかったの!
がーっと読ませてしまうので、余韻がない。
でもライトノベルとかボーイズラブとか
すごい売れてるんですよねえ。
時代はそういう方向なんでしょうか?

>ゴールのない映画
なかなかレンタル店まで足を運ばないので
今、WOWWOWの導入を検討中です。
あ、フジのCSは加入しましたよーん。
関東では日曜の深夜、民法でLIVE8放映したんですが
見そびれました(^^;
映画、今まであまり見てこなかったんですけど
picoさんと映画のこと、語り合いたいなあ。

>中沢新一さんの「アースダイバー」
おもしろそー。
彼の本は「カイエソバージュ」気になってたんです。
picoさんの感想、楽しみにしてます。

>人柱的にたくさん読み続けるLINさん
あまのじゃくなだけかもよ(笑)ぷぷ。

Posted by: LIN | July 12, 2005 at 09:57

>ろぷさん
芥川賞は純文学、直木賞はエンターテイメントという
位置づけのようです。
確かに最近の作家は後世に残る作品よりお金の方が大事だから(笑)
映画化のことはいつも頭にあるかもね。
そもそも、昔の作家と違って、生れた時からTVがあった世代だから
文章を考える時、知らず知らずのうちに頭の中で
本人が映像化してしまうのかも。

>活字でしか表現できない世界ってのも必ずある。
まったく同感ですね。
わからないのはライトノベルがなぜあれだけ売れているかということ。
ああいう類のものを活字にする意味がわからん。

>ホワイトバンドは同じような記事を書こうとしてました。
おお、その記事、読みたいですねえ。
ウチもここ数日、飛躍的にアクセス数が伸びたので
何事かと思ったら、ホワイトバンドで検索してきた人の
多いこと、多いこと。
ホワイトバンドを購入するというのはまあ、よしとしてさ
ホワイトバンドの記事を書いた人同志でトラックバックしあって
何か意味あるの?と思いました。

Posted by: LIN | July 12, 2005 at 10:12

>小説は作家自身も迷いつつふらふらとあっちへ行き、こっちへ行く
そうですね、そうですね・・・。とてもよくわかります♪

Posted by: take | July 13, 2005 at 15:11

おぉ、文学賞メッタ斬りはこの本を最有力に挙げてますね。
批評家の評価は軒並み高いですね。
http://media.excite.co.jp/book/metta/

ボクも読んでみようかな。

Posted by: nobuta | July 13, 2005 at 15:45

>takeさん
おひさしぶり♪
takeさんのブログ、拝見しているのですが
いざコメントを書き込もうとすると、こうじゃない、ああじゃないと
悩んでしまって…(^^;
作家が作品の中で揺れ動くってわかっていただけます?
うれしー。
そういえば「くじらねこ」も揺れ動いていましたよね(*^^*)

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 19:15

>nobutaさん
トヨザキ女史、大絶賛ですね。
そもそも私もトヨザキ女史がミステリーチャンネルで
この本をべたぼめしていたので買ったのですが…(^^;
nobutaさんがもしお読みになるのなら感想が楽しみです。
いっそのこと、この本に直木賞受賞してもらって
世間の評価をたくさん聞いてみたいです(笑)

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 19:18

私もいつもお邪魔してるんですが、コメントできなくって・・・。ビールの美味しい季節、そろそろお酒記事を♪

Posted by: take | July 14, 2005 at 00:13

>takeさん
実は最近、あまり飲みにいっていないのですよ。
どうもバーがスナック化してるんですよねー。
店側もこの不景気で贅沢いってられないんだろうけど
どこもわいわいがやがやうるさくて…
客側もゆったりお酒を飲む時間を楽しむのではなく
ただただしゃべりたくてきている感じです。
「昔のバーはよかった」と年寄りみたいなことを
つぶやいてみたりして…(・x・)ぷっ

Posted by: LIN | July 14, 2005 at 10:08

 田口トモロヲの物真似もやってて面白いんですが、「プロジェクトエーックス」ていうナレーション?の真似も面白いです。
 息をかすれ気味に吐きながら「プロジェクトエーックス」って言うんです。たまに一人でやります。

Posted by: LSTY | July 15, 2005 at 13:00

>LSTYさん
このコメントを見て「アズマーックス」を思い出しました。
それならたまに私も一人でやります(笑)
今度、「プロジェクトエーックス」もやってみますです。

Posted by: LIN | July 15, 2005 at 17:28

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