« クリスタルガイザー・スパークリングウォーター | Main | 誤読する?しない? »

July 19, 2005

『ホワイト・ティース』byゼイディー・スミス

4105900234ホワイト・ティース(上)
ゼイディー スミス 小竹 由美子
新潮社 2001-06-29

by G-Tools

物語はロンドンの下町育ちで、優柔不断きわまりないが
底ぬけに人のいいアーチーと
バングラデシュ出身のムスリムで誇り高い教養人サマードとの
半世紀に渡る友情を軸に
地理的にはヨーロッパ大陸からインド、そしてジャマイカ、
時間的にはセポイの乱(1857)にジャマイカ大地震(1907)
第二次大戦から現代へと自在に行き来しながら進んでいく。
登場人物もまた一筋縄ではいかない面々ばかりだ。
イスラム原理主義の若者たち、生真面目なエホバの証人、
過激な動物愛護主義者、
リベラルなインテリを気取る遺伝子工学者と園芸家の夫妻、
フェミニストのレズビアン。
複雑で不安定な現代のありさまを鮮やかにすくいとった本書には、
宗教、人種間の軋轢、世代の断絶、移民のアイデンティティー、
遺伝子工学の倫理と多様なテーマが盛り込まれている。

(あとがきより)

日本にいると日本人という人種について考えていれば済んでしまうところがあるが
世界にはたくさんの人種がいる。
それを知るにはよい一冊だと思う。
といっても、タイム紙がこの本を評して「お説教も垂れず、どちらの味方にもつかない」と
書いているように、決して説教臭くなくむしろコミカルでさえある作品だ。
著者が24才の時に書いたこの作品は2000年のベストセラーとなり
数々の賞を受賞した。
日本では翌年、『世界の中心で愛を叫ぶ』が発売されベストセラーとなった。
この違いって…(以下略)

|

« クリスタルガイザー・スパークリングウォーター | Main | 誤読する?しない? »

Comments

何だか興味をそそられる本だす☆
小利口も、おっぺけぺー(死語?方言?!)も、国籍や人種や性別にはカンケーなく存在するけど、
やっぱし日本のジョークとアメリカのそれが違うように、ズッコケ具合も違うもんね☆
(相変わらず例えが変だ、おいら…汗)

もしかして、そーゆー深いところも書いてあるのかなぁ。
想像膨らましてるうちに、ますます読みたくなってきちゃったぞぃ☆

Posted by: ponsuke | July 19, 2005 at 22:09

>ponちゃん
ドタバタしていておかしいんだけど、移民の悲哀みたいなものも
感じるの。
ジョークも書いてあるみたいだけど英語や文化がわかってないと
理解できないみたい。
でも読む分にはさしつかえないので
ponちゃんも機会があったら是非~。

Posted by: LIN | July 20, 2005 at 11:16

おお、これはポスコロって呼ばれるジャンルですね。
ポストコロニアル。
かつて植民地だった地域から出てくる現代文化の総称だそうです。

文学だと、ここ20年くらいのノーベル賞って、かつて大英帝国などの植民地だったところの出身の人が多いです。
英語などヨーロッパ語で書くせいで、ノーベル賞候補になりやすい。
また、英語も現地で独自進化してて、言葉つきが面白くて、それも賞を狙いやすい(?)特徴になるのだとか。

日本ではあまりポストコロニアルの話は出てきませんが、
90年前後にはやったワールドミュージックなんかも、この流れの中に入れていいと思います。
現地の伝統音楽じゃなくて、伝統と現代性とが組み合わさったようなポップソング。
メジャーリーグで、野球がヒスパニック化してるのも、広い意味ではポスコロかも。

わりと明るくて、あっけらかんとしてて、笑いの要素が強い気がします。
悲惨な状況を語ったり歌ったりしてるときでも。

あと、ハイテクが好き(笑)
極端に土俗的なもの(呪いとか)と、先端技術が組み合わせて、その違和感をおもしろがる…という特徴もあるよう。

日本でも、ポスコロ系を意図してる作家は何人かいます。池澤夏樹さんとかもそうではないでしょうか。

Posted by: overQ | July 20, 2005 at 11:26

>overQさん
そうそう、ポストコロニアルです。
本にも書いてありました。
とはいうものの、よくわかっていなかったので
overQさんの解説で「そうだったのか!」と
理解した次第です。
ありがとうございます。
日本は植民地体験がないから移民といわれても
あまりぴんと来ないかもしれないですね。
overQさんが書いていらっしゃる通り、
悲壮感はなくて淡々と現実を描く中に
ユーモアがあるという感じです。
池澤さんはポスコロ系なのですか。
是非、読んでみたいです。

Posted by: LIN | July 20, 2005 at 20:37

こんばんは、いつも興味深いものをご紹介いただき感謝です。
ポスコロという言葉ははじめて聞きましたが、よくわかりました。

音楽で言うとジプシーキングスとかその系統なんでしょうね。
これも「現地発」のものと、英米のミュージシャンがサンプリングして
発表するのと2種ありそうですが、ポスコロとしては前者のみを言うのでしょうか。
ビョークが後者のあり方を批判するのを聞きましたが、何となくわかる気がします。

Posted by: shosen | July 20, 2005 at 23:01

こんにちは~。この本、とても面白そう(^_^)。
私もポストコロニアルという言葉は初めて聞きました。
移民が新しい土地での文化とのギャップに悩みつつ
親しむプロセスが、ちょっと自分に重ねて読めるので
結構興味があります。小説がよく映画化される
パキスタン系英国人ハニフ・クレイシなど好きです♪
最近はフランスなどでも、北アフリカからの移民の
次世代(フランスで生まれ育った若者たち)が書く
小説が注目されてるみたい。
日本には、イギリスやフランスほどの規模ではないけど
中国や朝鮮半島出身の方たち(その二世、三世)がいますよね。
柳美里さんや金城さん、もしかして日本のポスコロ?

Posted by: ねる | July 21, 2005 at 09:07

>shosenさん
ポストコロニアル、Yahooでちょっと検索しただけでも
膨大な数の記事があってなかなか深そうです。
何でもかんでもポストコロニアルって
いっちゃっているような人もいたり…(^^;
アンチ西洋みたいな考えなのかなあと
私は直感的に思いましたが。
音楽関連の記事は少なくて、やはり文学の記事が
圧倒的に多いです。
確かにビョークがいう通り、英米のミュージシャンが
発信するのはおかしいような気がします。
アンチ西洋なわけですから。
私もにわかじこみの知識なのでまちがっているかも
しれません。
もう少し調べてみます。

Posted by: LIN | July 21, 2005 at 10:14

>ねるさん
おはようございます~~~ヾ(^∇^)
ハニフ・クレイシ、知りませんでした。
『郊外のブッダ』のAmazonレビューに
「『ホワイト・ティース』に本書の色濃い影響がみえる」って
書いてありました!
これは読まねば。

>自分に重ねて読めるので
ねるさんが日本の本が簡単に手に入らないという事を
書いていらっしゃるのを読んだ時、海外生活のご苦労を
感じました。
いや、実際にはもっといろいろあると思うのですが
私にはそれが一番、印象的でした。
日本のポストコロニアル。
梁石日さんの『血と骨』がそうみたいです。

Posted by: LIN | July 21, 2005 at 10:50

The comments to this entry are closed.

« クリスタルガイザー・スパークリングウォーター | Main | 誤読する?しない? »