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July 05, 2005

『容疑者の夜行列車』by多和田葉子

4791759737容疑者の夜行列車
多和田 葉子

青土社 2002-06
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あなたはしばらくすると、車体に揺られながら気持ちよく眠りに落ちてしまった

と、主語が“あなた”であるこの物語に導かれ
私はベオグラードへハバロフスクへと旅をする。
深夜から明け方にかけて、電気スタンドの下、地図を横に置いて読んでいたせいか
部屋にいる私と夜行列車に揺られている私の境界が実に曖昧だった。

島国である日本にいると外国へのの移動手段といえば飛行機になってしまうわけだが
大陸なら夜行列車という方法があるのだ。
うらやましい。
文明はより速く目的地に移動する方へ進んでいるが
本来、旅というのはゆるゆると行くものだし、そもそも自分がどこに行くはずだったか
忘れるくらいがおもしろいのだ。
水戸黄門を見よ!
そのうち東京→アメリカ間が1時間なんていう時代がきたら
もう自分がどっちに住んでいるのかわからなくなるに違いない。

先月末、盗んだ金で各駅停車の鉄道旅行をしていた窃盗犯がつかまった。

約3年前から、鍵が付いたままの車を狙って千葉県や神奈川県などで
自動車盗や車内荒らしを繰り返した。
金が手に入るとJRの割安きっぷを購入し秋田や新潟、栃木、三重、愛知県などに旅行。
その先々でも同様の犯行を続けていたという。

窃盗はもちろん悪いことだけど、各駅停車の旅三昧だなんてちょっとうらやましい。
この犯人に「内田百けん、好きでしょう?」と聞いてみたい。

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Comments

読んだのですね、「容疑者の夜行列車」。
LINさんが書かれてるように大陸続きの海外旅行は夜行列車が可能なんですよね。
本当に羨ましいですよね。

不思議な感覚で自分自身も旅行しているのか浮遊しているのか、とにかく、日本にいる自分じゃない感覚になる不思議な作品でした。

Posted by: まき | July 05, 2005 at 23:51

>まきさん
読みました~♪
帯に半醒半睡と書いてありましたが
まさにそんな感じ。

>本当に羨ましいですよね。
列車での旅行、あこがれますよね。
オリエント急行乗ってみた~い。

>旅行しているのか浮遊しているのか
そうそう、そんな感じ。
多和田葉子は他の作品も読んでみようと思います。

Posted by: LIN | July 06, 2005 at 10:17

多和田葉子は、いい。現代の横綱作家は彼女と堀江敏幸のふたりかな、と個人的に。もったいなくて読めない感じ。で、容疑者は未読。楽しみ~。

Posted by: Rym | July 06, 2005 at 11:59

>Rymさん
多和田さん、次は『旅をする裸の眼』を読もうと思うのですが
カトリーヌ・ドヌーブの映画を一本も観たことないんだよねえ。
Rymさん、読んだ?

>もったいなくて読めない感じ。
ああ、そういう本、あるよねえ。
で、やっと読んだらがっかりなんて事もあったり(^^;
『容疑者の夜行列車』はRymさんのご期待に沿える作品だと
思うけど。

Posted by: LIN | July 06, 2005 at 13:15

読まずにいうのもなんなのですが事前情報みたいなのがなかったから楽しめなかったっていう作品はやっぱり合ってないというか、たとえ準備して読んだとしても楽しめないはずなので、わたしはわりとそういうこと考えずに読んで、面白かったら調べてみるし、調べてまた読めばいいと思うです。ま、世界最高の美女を観ない手はないですけどね。笑

Posted by: Rym | July 06, 2005 at 15:32

>Rymさん
Amazonレビューに映画を観てないとあらすじが理解できないと
書いてあったものだから(^^;
私も本を読むための事前準備なんて七面倒な事は
好きじゃないです。
倉橋由美子さんもお亡くなりになり、純文学における
女性作家の重鎮みたいなのがいないので
多和田さんが担ってくれるといいですね。
って私が知らないだけで他に誰かいるのかなあ?

Posted by: LIN | July 06, 2005 at 18:41

笙野さんがいますね。笙野頼子。でも多和田葉子とくらべればスケールが小さいか。最近では絲山秋子なんかいいですね。こちらもスケール小さいけど、意外と趣味が乗馬だったり(関係ない)。かなり期待してます。小川洋子とか川上弘美はもうライトなほうへ寄ってしまいましたしね。まあそのほうが向いてるとは思うのでいいんですけど。

Posted by: Rym | July 07, 2005 at 10:32

>Rymさん
>笙野頼子
未読だったので早速、調べたら最新刊の『徹底抗戦!文士の森』
「私の純文学闘争十二年史」ですって。
勇ましいですね(笑)
絲山秋子もいいんですか。
『逃亡くそたわけ』ね。
へえ、読もう。
乗馬は村山由佳もうまかったですよ。
川上弘美はなんで人気があるのかわからないです。
七夕の短冊、私もお願いしようかと思ったのですが
「Rymさんにいつか会えますように」なんて
ほたさんに叱られるのでやめました(笑)

Posted by: LIN | July 07, 2005 at 11:08

そんなもん、願わなくても会えますよ。いま、会いに逝きます。

Posted by: Rym | July 07, 2005 at 18:41

Amazonのレビューにはあんなことが書いてありましたけど、映画を見てないと理解できないなんてことはありませんよ。
多和田葉子は読者にそんな理不尽な「予習」を強いるようなちゃちな作家ではないです。

もちろん映画を見ていればより楽しみが増す可能性は否定しませんが…。
私の場合、この本を読んだ後に『反撥』を観て、あるシーンにさしかかったとき思わず「おおっ」と思いました。

現代の女性作家でとりあえず新刊をチェックするのは多和田葉子、笙野頼子、津島佑子の三人かなあ。
川上弘美はずいぶん前に決別しました。
デビュー当初は百鬼園ぽい感じで、結構好きだったんですけどねえ。
もっと若い世代にがんばってほしいのですが。
絲山さんは、直木賞候補になってましたね(芥川賞じゃないんですね?)。読んでみようかな。

Posted by: Mlle.C | July 07, 2005 at 22:57

>Rymさん
昨夜、どうもうなされると思ったら
Rymさんが枕元に立っていたのですね(笑)
まあ、あれです。
男と女は「会いたいなあ」と思っているうちが花です。

Posted by: LIN | July 08, 2005 at 10:43

>Mlle.Cさん
『容疑者の夜行列車』よかったです。
教えてくださってありがとー♪

お、『旅をする裸の眼』は映画を見ないでも大丈夫なんですね。
でも読んだ後に見たくなりそうですね。

>絲山さんは、直木賞候補になってましたね。
今、純文学じゃ売れないから作家の方も
エンターテイメントにいきたいのかも(笑)
笙野頼子、津島佑子は読んでみたいと思います。

Posted by: LIN | July 08, 2005 at 11:12

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