« 『ベルカ、吠えないのか』by古川日出男 | Main | クリスタルガイザー・スパークリングウォーター »

July 12, 2005

本の本

book2005

『小説の自由』by保坂和志
「小説とは何か?」がテーマの本。
保坂さんは“ほぼ日”の連載で
小説家にとっていちばん真摯に受けとめたい読者は、
レビューを書く人ではなくて
「ただただちゃんと読む人」なんです。
評価しようという読みかたはだめだし、
読んだあとにすぐにレビューを書こうと思う
読みかたもだめなんです。

と、書いている。
でもそれって冷蔵庫を買ったら壊れてたけど
「うーん、この壊れ方が芸術的」と納得しちゃうって事?
本といえども商品なんだから、批評しちゃだめっておかしくない?

『偏愛文学館』by倉橋由美子
先ごろ、お亡くなりになった倉橋さんの書評集。
渋澤とかカフカとかコクトーとか並んでいる中に
宮部みゆきの『火車』があるのが不満。

『文芸漫談』byいとうせいこう&奥泉光
お二人が定期的に行ってきた漫談で文学を語るというライブがあって
それをを一冊にまとめたもの。
のっけからくすくす笑ってしまう。
奥泉さんがフィーボー村というフランスの村から招待されて
何のイベントかわからぬまま行ったら
古井由吉さん、多和田葉子さん、小川洋子さん、池澤夏樹さんと
そうそうたるメンバーが来ている。
村祭りらしいそのイベントのメインは
広場に運動会のテントみたいなのがあってそこで作家がずらっと並んで
自分の本を売る事だったという…(笑)
何かその様子を想像するだけでおかしい。

『志ん朝の風流入門』by古今亭志ん朝
日本がまだ粋だった頃の粋な話。
十五夜の月を見て十三夜の月を見ないことを片見月といって
忌み嫌ったとか
陰暦5月28日(今年は7月4日)の雨をどうして虎が雨というかとか
そんな話。
小唄や俳句もたくさん載ってます。
たまさかに逢う夜短き鐘の音も
鳥のそら音は知らねども
口惜しきものは玉手箱
あけるという字が気にかかる。

志ん朝、DVD出ないかなあ。

|

« 『ベルカ、吠えないのか』by古川日出男 | Main | クリスタルガイザー・スパークリングウォーター »

Comments

2記事続けてこんにちは~(笑)。

>でもそれって冷蔵庫を買ったら壊れてたけど
>「うーん、この壊れ方が芸術的」と納得しちゃうって事?

わははは。
その本は未読なので何とも言えませんが、おそらく「冷蔵庫買ったらここが壊れてましたよ!」と言ってきてくれるお客さんよりも、壊れてたら何も言わずにもうそのメーカーは買わないお客さん、あるいは「ここの機能がよかったわ、ここの機能が便利だわ」と触れて回らずにただただ何十年も愛着を持って使ってくれるお客さん、そういうお客さんのために冷蔵庫を作っていきましょう、ということなんじゃないでしょーか。

書いてすぐ周囲に向けて書評を書く人よりも、黙って心の中に刻んでくれる読者の為に本を書きたい、というような。

Posted by: ちょろいも | July 12, 2005 at 15:42

『文芸漫談』すごく気になっているんですけど、どうですか?
面白いであろうことは予想がつくんですが、「文芸」話としてはいかがですか?

保坂さんが言いたいのは、展開がどうの、文体がどうの言う前に、
もっと物語りにのめり込んでこいよってってことなんだろうな。
レビュー書いていると、一歩引いて読んじゃうところがありますからね。
ボクはその気持ちはわかるけど、みんながパソコンを持って、
一億総批評家みたいになっている現状で、説得力ないなぁ。
批評を書く人と、のんびり読む人って、もう分けておけないですよね。

Posted by: nobuta | July 12, 2005 at 16:44

池袋のジュンク堂でいとうせいこうと奥泉光のトークショーがたしかあるんですよね。内容までは見てなかったのですが、ここにある文芸漫談のことかしら?って少し興味が出てきました。
けれど、たしか、平日っぽかったので見に行けないと思われるのですが・・・・・・。

Posted by: まき | July 12, 2005 at 21:33

小説に限らず映画でも音楽でも、よい作品って、これについて誰かと語りたい、このすばらしさを記憶にとどめておきたい!という気にさせる。そんな力を持っていると思います。
もちろん、ひどいものを読んで頭に来て文句を書くこともありますけど、最初から「批評してやろう」という気負った気持ちで読む人ばかりじゃないでしょう。
「ただただちゃんと読む人」と「レビューする人」が全くの別物とも思えません。

ほぼ日の連載読みましたが、本のレビューを「デパートへのクレーム」にたとえていらっしゃる所はちょっとひどいのではないかと。
「大多数のふつうの人はだめだなと思ったら黙って去っていくし、店員の感じが悪かったらいちいちそれを伝えずにそのデパートにいかなくなるものにいかなくなるもの」
だからわざわざクレームをいいにくる人はほとんどが「変わっている人」で、そんなの真に受けちゃいけない、本のレビューも同じだ、とおっしゃるのですが、われわれ読者は悪質クレーマーですか…?
もちろん、意味もなく難癖をつけるようなのはどうかと思いますし、Amazonに時々ある誹謗中傷みたいなレビューは無視していいでしょうが、みんながみんな変わってる人のおかしな意見てわけじゃないですよね。

ちなみにデパートであっても、だめな所はだめだとはっきり言ってもらったほうが、店としても後々のためにはそのほうが良いと思うんじゃないでしょうか。まともな店なら。
かくいう私も黙って帰って来ちゃうほうなんですが、いつも後悔します。ああ、言えばよかった、って。

まあ、プロの小説家としては、ネットが普及して、素人レビュアーが増殖しているのがお気に召さないのでしょう(笑)。
これでも時には売り上げに貢献してるんですけどね。ものすごーーーく微力ながら。

Posted by: Mlle.C | July 12, 2005 at 22:33

彼が指摘するレビューの問題点は「すぐ」ってところで、まだかき混ぜたばかりのところをすくうな、沈殿したやつだけ出せ、ということが言いたいのだけど実際は浅薄で無意味で的外れで頭の悪いクレームが多すぎるのが彼は気に入らないのだと思う。だからもうちょっと冷蔵庫の気持ち考えてから来い、と。第一印象なんて聞いても意味ないからちゃんと3年くらい付き合ってからその女について教えてほしい。ほめてる場合にしても偏見に満ちた好き嫌いばかりで根拠がないとか。おれは山田優のデカイ口がマジで気持ち悪いよ、とか。よく考える保坂さんらしい意見だと思うけど。彼の言葉を使えばもっと「運動」しろってことですか(ちょっと違うと思うけど)。その運動がみたい。贅沢なひとだな。大好き。

Posted by: Rym | July 13, 2005 at 11:03

>ちょろいもさん
連続、大歓迎ですヽ(´ ▽`)ノ
よかったら毎日きて~
って私はキャバクラの呼び込みか(笑)

>壊れてたら何も言わず…
そうか!そっちですよね。
でも冷蔵庫、壊れてたら、絶対いうよね。
本はなぜ、ダメなのでしょう?
今どき、ネットがこれだけ広まって
ありとあらゆる罵詈雑言が2ちゃんねるにはびこる時代に
本だけは特別扱いって無理ですよねー。
いや、私は書くぞ!これからも!
ちょろいもさんもがんがん書いてください。(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 11:05

>nobutaさん
『文芸漫談』読み終えました。
今日、レビューを書くかもしれません。
具体的な本の紹介はあまりなかったです。
むしろ哲学的。
フロイトとか出てきます。
渡部直巳さんという方が脚注つけてるんですが
これまた難解。
でもうなずける箇所が多々あり。
nobutaさんも是非、読んでみてください。
で、お互い、わかりにくかった箇所を語り合いましょう。
って、何かの宗教みたい?(笑)

>もっと物語りにのめり込んでこいよ
あー、それはありますね。
でも、それこそ『文芸漫談』でね、作者が書いたことばと
読者が受け止めたことばはイコールじゃないって
いってるの。
イコールだと思う作家はバカだと。
ちょっとニュアンス違うかもしれないけど。
だから、「よし、ひとつこれを批判してやろう」という読み方も
いまどきっていえばいまどきのような気がします。
でも、結局、批判させてしまう最近の作品に
力がないのでは?
ドストエフスキーなんてどうこういう前に
おもしろくて批判しようがないもの。

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 11:22

>まきさん
ジュンク堂、19日のですね。
そうです、この本に書かれているトークセッションの事です。
HP見たらもう満席でした…(^^;
この本、タイトルは“文芸漫談”ですが
なかなか難解です。
読んでいても難解なのに、これを耳で聞いて理解する人たちって
すごいと思います。
ジュンク堂、ウチの近所にはないので一度、行ってみたいです。

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 11:34

>Mlle.Cさん
>最初から「批評してやろう」という気負った気持ちで読む人ばかりじゃないでしょう。
ですよねえ。
何も最初から「批判してやろう」と腕まくりしているわけじゃなく
こちらも感動したいんだけどあまりのつまらなさに
ついつい書いちゃうわけで(^^;

>「デパートへのクレーム」にたとえていらっしゃる所はちょっとひどい
私も読みましたよ。
クレームは商品開発に欠かせないとメーカーが
ありがたがる時代に何いってんだかですよ。
『文芸漫談』のお二人は誤読もありだといっているのに
何と懐が狭い話でしょう。

>素人レビュアーが増殖している
私は何いってるんだかわけわからないプロの文芸評論家より
素人の方がタチがいいと思うのですが(笑)
私なんてMlle.Cさんのレビューで何冊も買ったし
素人レビューの方が買わせる力があると思うんだけど。

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 12:17

>Rymさん
うーん、でもこんな時代に、「じっくり読んでから批評してくれ」というのは
現実的じゃないかも。
今や小説もどんどん消費され、また使い捨てされてしまうような
小説ばかり。
一度読めばもういいやって本が多くない?
どんどん消費される方が作家も儲かってありがたいのかも
しれないし(笑)

私も保坂さんのエッセイは嫌いじゃないけれど
「こう読め」っていっちゃうのはどうかと思う。
頭悪いクレーム書く人も一読者であるわけだから。
誤読もありだという『文芸漫談』の考え方の方が好きだなあ。
むしろ最近、気になるのはお金を出さないで図書館で
濫読する人。
いや、正確には税金という形でお金払ってるわけだけど。
あ、京極がNHKに出てる。
この件は長くなりそうなのでまた今度♪

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 13:10

一口に批評って言っても、「話の展開がツマラン」っていう中身の批評もあるし、「文章がなってない」っていう基本的な批評もあると思うッス。

中身に関連した批評なら、僕はむちゃくちゃありがたいと思うけどな。
物語を書いてみるとわかるんだけどね。
意見を言ってくれる人ってなかなかいないもんだよ。現に某有名作家さんはお金を払って読んだ意見を聞かせてもらったりもしてるらしいしね。
それを、「批評してくれるな」とも取られかねない発言もどうかと思うな。

批評ってね。
勉強にもなるし、自分が気が付かなかったことをいっぱい教えてもらえるものなんですよ(たしかに精神衛生上は良くないんだけど(笑))。
それをありがたいと思いこそすれ、イヤだっていう根拠が僕にはちょっと分からないですねぇ。


そもそも。
批評されるのがイヤなら、チラシの裏にでも書いて押入れにしまっとけ(笑)。
そしたら誰も批評しないからさ。

少なくとも、読者は「批評する・しない」を含めて、どう読んでも良いハズ。
だって、お客さんなんだからね。
そのお客に注文を付けるようなワガママ作家、いらんよ。
頑固なラーメン屋じゃあるまいし(笑)
(僕はそんなラーメン屋もキライだけど)


ちなみに。
「文章がなってない」って批評は、書き手としてはプライドが痛いですな。
文章が書けてない書き手は綱渡りが出来ないピエロと一緒だもん。

(あぁ、最近どんどん過激な意見になっていく……)

Posted by: ろぷ | July 13, 2005 at 14:46

>ろぷさん
保坂さん、いい事もたくさんいうんですけど
この件に関してはちょっと「ん?」と思ってしまいました。
確かに読者レビューは意味があるのかって事は
私も常に考えていることではあるのですが
でも作家に「書くな」っていわれるとちょっとカチンとします(笑)

最近の作家は話の展開も文章もうまいと思うのですが
“ため”がないような気がします。
小器用なんでしょうね。

>最近どんどん過激な意見になっていく…
ブログなんだからがんがん、書いちゃいましょう♪
(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!

Posted by: LIN | July 13, 2005 at 19:11

ジュンク堂のトークセッションには1度も行ったことはないのですが、なかなか、興味深い人たちがやっています。
私はジュンク堂で本は買わないのですが、ジュンク堂の中にある喫茶店が好きで、そこの喫茶店によく行っています。静かでテラスもあって本を読むのに適している喫茶店だなぁと。
そこの喫茶店でトークセッションをしてるんですよね。時々、トークセッションをやっているのを忘れて喫茶店に行くと入れなくって、ちょっと悲しい思いをしているときもあります。

Posted by: まき | July 13, 2005 at 21:28

>まきさん
ジュンク堂は他にもたくさん楽しそうなトークセッションがあるのですね。
都会っていいなあ…

>ジュンク堂の中にある喫茶店が好き
お気に入りのカフェで本を読むのっていいですよねえ。
贅沢な時間って感じで。
テラス!ますますいいですねえ。
私の住んでいる街はテラスのあるカフェが
ないんですよー。
東京に近いから、東京に行けばいいというのがあるみたいで
おいしいレストランもあまりないしジュンク堂規模の大型書店も
ありません。
かといってちょくちょく東京に行くほど近くはないし
非常に中途半端な街です。しくしく。

Posted by: LIN | July 14, 2005 at 09:51

なんかカフェっていうお洒落っぽい言葉の雰囲気はないですよ。本屋の中にあるから狭いし。
みんな本を読んでいるって感じなので静かなんですよ。静かな喫茶店が少ないなぁって感じてたのでお気に入りとなったんですよね。
テラスも表参道とかの洒落た感じのでなく、ビルの中にあるから景色も良くないけれど、静か(私には、これがかなり重要)で外気浴が出来て道路に面していないっていう感じです。
私の場合通勤に池袋を使うのでかなり本を選ぶと言うのは大きな書店が多い町なのでそれに関しては嬉しいのですが、池袋は場所によっては柄が悪いので一概には好きと言い切れない街ですね・・・・・・・。

Posted by: まき | July 14, 2005 at 22:41

>まきさん
確かに静かな喫茶店って意外にないですよね。
最近、チェーン系コーヒーショップが増えていて
あの手の店はいつもざわざわしているし。
私も一時、バーで本を読んでいた時期があるんですが
やっぱりざわざわしていてなかなか集中できなかったです。
池袋は大きな町ですよね。
昔、サンシャインシティに行こうとして目の前に見えているのに
いつまでもたどりつけなかった記憶が…(^^;

Posted by: LIN | July 15, 2005 at 09:31

こんばんは☆

なんか出遅れまくってます(;・∀・)

保坂さんの言ってることと、まったく同じようなこと、むかしむかし言われてた時代がありました。
戦前です。マルクス主義の文学理論が流行し始めた頃。プロレタリア文学とか出てきた頃のことです。
文学をことごとく、マルクス主義で読んじゃう人たちが出現したのです。
それに対して、「ただちゃんと読む」ことを主張した人々もあらわれた。代表は小林秀雄です。

論語読みの論語知らず、という言葉があるけど、論語とかマルクス主義とか、教条主義的に、世界のすべてを統一的に理解する「真理」が、ときたま人の心を捉えます。
すると、当然、それに反対する声も出てくる。
真理に対して、「真理はわからない、でも粘り強く付き合える」という微妙な立場で対抗することになるのですが、長期的にはたいてい、後者が勝ちます。

八十年代に、ポストモダン思想のブームがあって、その理論で「教条主義的に」本を読む人も、けっこういた。
で、保坂さんは、それが嫌だったということのようです。だいぶ手遅れな批判ですが(笑)

モダニズムもポストモダンもまったく知らない人も、もちろんたくさんいる。
というか、今ではそのほうがずっと多いはず。
そういう人々に対して、保坂さんは、語るべき言葉を持ってないかもしれないです。
つまり、保坂さん自身、批判してるように見えて、モダンやポストモダンの「教条主義」の中にいる。逆説的だけど。

Posted by: overQ | July 15, 2005 at 22:53

>overQさん
overQさんの意見、お伺いしたかったのですよー♪
ポストモダンって浅田彰とかの時代ですか?
コアなファンがいるんですよね。
保坂さんはご自分のHPに集まってくる人々に
同じ匂いを感じたのかも…
mort_a_creditさんのお話では、掲示板で自分を批判した意見は
全部、削除しちゃってるらしいですが(笑)
保坂さんがいう「小説はあらすじでは語れない」という説には
賛成ですが、そこにこだわりすぎちゃっているような気が
します。

Posted by: LIN | July 16, 2005 at 10:30

The comments to this entry are closed.

« 『ベルカ、吠えないのか』by古川日出男 | Main | クリスタルガイザー・スパークリングウォーター »