« 作家の条件 | Main | 北海道新聞の書評欄&大学芋&おせち »

October 24, 2005

『ネクロポリス』by恩田陸

4022500603ネクロポリス 上
恩田 陸

朝日新聞社 2005-10-13
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

恩田陸ファン&これからこの本を読もうと思っている人は
読まないでね。

物語の舞台は、アナザー・ヒル。
そこは英国による植民地支配後、
日本の文化が移入した歴史をもつ極東の島国V.ファーの聖地で、
死者たちが実体ある存在として現世に還ってくるというのだ。
そして死者たちが現れる「ヒガン」という祝祭の期間、
V.ファーの国民は、彼らを『お客さん』として温かく迎えることが
風習となっている。

朝日新聞社HPより)

「ヒガン」がテーマということで
私の好きな民俗学がらみの話もあるだろうと期待して読んだ。
確かにあった。
が、ただの単語の羅列&無茶苦茶
陰陽師、百物語、かごめかごめ、補陀洛山、
八咫烏(やたがらす)、ドルイド、ギリシア神話…
どれもきちんと調べた様子はなく、ちらっと触れているだけ。
「もとをたどれば、全部、神様。一緒じゃん」という考えかもしれないが
無理がある。
また、柳田國男、ヘンリー・ジェイムズと実在する人物の名前を出しておいて
肝心のところにくると「むにゃむにゃ」とうやむやにして、空想に逃げている。
いくらフィクションだからといって、
民俗学で実際に研究されている話と自分の空想を
ごちゃまぜにするのはまずいでしょう。
主人公は東大の人類学専攻という設定なのに
この程度の民俗学の知識でいいのか!
舞台を架空の土地にしているのは
そのあたりのまちがいを突っ込まれないようにするための防御策なのかも。
京極先生に読んでいただき、是非、まちがいを正してほしい。
金毘羅を語らせたら日本一の笙野先生にも読んでいただき
「ばかーっ」(笙野先生の決めゼリフ)といってほしい。

その他、気になった箇所。
●なぜ、ここまでして日本とイギリスをリミックスしたかったのか
その真意がさっぱりわからない。

●物語に出てくる「丘の懐」という小説の著者が
実はヘンリー・ジェイムズではないかと書かれているが
その話はウソとしても、ヘンリー・ジェイムズは
少しでもそれらしい本を書いているのだろうか?
(そうでなくては、あまりに唐突)

●右が茶色、左が深緑である目を見て
「浅田飴を思い出す」というチープな表現にがっかり。

●滞在中の記録を書く手帖、ブラック・ダイアリーの存在は幻想的なのに
「爪でこすると匂いがするシールを貼る」という記述があり
なぜ、ここでそんな安っぽくて現実的な小物をが出すのかとがっかり。

書いているとキリがないので、このへんで。
picoさんの感想はこちらです。
次は27日発売予定の『新リア王』を読みま~す。

|

« 作家の条件 | Main | 北海道新聞の書評欄&大学芋&おせち »

Comments

LINさん、こんばんは。
そっか、やっぱりあかんかったんやね。
ごちゃごちゃ、知識をひけらかすという感じが確かにしますもんね。
こんな作品ばっかりだったら、みんなにあきられちゃうね。。
>恩田さんのイギリス行き。
かじったものは無理やりにでも反映させなくっちゃって感じなのでしょうか。
「理瀬シリーズ」の次の舞台が英国みたいなので、その為の取材旅行なのかと思ってました。

Posted by: ワルツ | October 24, 2005 at 20:34

LINさん、おはようございます~!
恩田さん、イギリスにいって、とち狂っちゃったとしかいいようがありませんねぇ。
もしくは、出版社から脅されたとか・・笑

オッズアイの表現、「浅田飴を思い出す」
ほう、そんなこと書いてありましたか!?
すっかり読み飛ばしてました。笑
オッズアイというと、デビッドボウイ~が浮かんでくるのですが、
このキャラは、彼ほどのカリスマ性はないなぁって思いつつ、読んでました。
あと関係ないのですが、白猫さんってオッズアイ、多いんですよ。
白猫でブルーの瞳だと、耳が聞こえないそうなんです。
なので、オッズアイができやすくなるってのを聞いたことあります。
種の保存の防衛反応で、そのようにできるのってすごいなーと思います。
人間も、農耕民族か狩猟民族の血かで性質が違うので、この瞳の色って重要ですよね。
そういう意味でキャラ設定も、あまあまですよね~。
LINさんのおっっしゃるっとおり、東大人類学専攻、それも大学院なのに、ぺらんぺらんの知識だし。
ほんと、形だけー。中身がなさすぎですよねー。ぶんっ。

新リア王、27日なのですね。
先日は、予習のリンクありがとうございました。
とても楽しみにしてます。まだかまだかと待ち遠しい~です。
そうそう、昨日、「アンボス・ムンドス/桐野夏生」を買おうか悩んでやめちゃったのですが、LINさんは、もうお読みになられました?

Posted by: pico | October 25, 2005 at 09:05

>ワルツさん
あー、ワルツさん、未読なのに読んじゃいましたねー(笑)
これだけぼこぼこに書いておいて、何なんですが
ワルツさん、お読みになります~?
もし読むなら、さしあげますよん♪
よろしければ、サイドバー下にあるメール欄から
ご住所とTEL.No教えてくださいませ。
いらなかったらスルーで。
私もこれを読んでいて「恩田さん、イギリスに行ったから
強引に結びつけたな」と思ったのですが
イギリスに行かれたのは最近(2003年?)で
こちらの連載は2001年に始まってるんですよー。
だから、もともとイギリス好きなのかも。
『小説以外』でもそういう話がちらちら出てるし。
理瀬シリーズって『麦の海に沈む果実』?
読んでないんですよー。
あ、そうか!
『回転木馬』に出てきた理瀬ですね。
恩田陸はダメだといいつつ、こうしてだらだらと
全部、読んでしまいそうな予感…

Posted by: LIN | October 25, 2005 at 10:34

>picoさん
おはようございまーす♪
>イギリスにいって、とち狂っちゃった
ワルツさんのコメントにも書いたんですが
どうもイギリス行きより、こちらの連載の方が先みたい。
おお、オッズアイっていうんですね!
そういえば、聞いたことあるかも。
何かね、瞳って重要なパーツなのに、浅田飴はないだろって
思っちゃってね。
>白猫でブルーの瞳だと、耳が聞こえない
えー、そうなんですか!
白猫いいですよねー。飼いたいなあ(うっとり)
私の理想カラーはこばんちゃんですけど。
『アンボス・ムンドス』どうしようかなあ。
短編集なんですね。
ヘミングウェイの定宿だったホテルの名前なんですってよ。
ネットで見たらちょっとステキなホテルですよん。
http://www.ne.jp/asahi/momose/akira/cuba/img8.htm

Posted by: LIN | October 25, 2005 at 11:29

きゃ~LINさん、ありがとう。
優しいね、ほんとに、ホントに感激してます。
嬉しい(*^。^*)
先日本屋さんで、「ネクロポリス」見つけて、上下巻の長さに手を引っ込めてしまいました。(^_^;)
LINさんやpicoさんの感想を読ませてもらって満足してしまって、読んだ気になってしまいました。
とっても嬉しい気持ちだけ今回は頂きます。
(ほんとに、言ってもらえて嬉しかったです。でっかいはあと。)

>理瀬シリーズ、
そうで~す。(*^。^*)「麦の海に住む果実」(理瀬・中学生)→「黄昏の百合の骨」(理瀬・高校生)と続いていってます。
その次辺りが、巷では、理瀬大学生(英国留学)になると予想されてます。(笑)

Posted by: ワルツ | October 26, 2005 at 00:02

>ワルツさん
わわ、かえって気を使わせてしまってごめんね。
確かに、他の人の感想読んで、おなかいっぱいって
あるある(笑)
そもそも、picoさんと私であれだけぼこぼこに書いておいて
「ワルツさん、読む?」なんて失礼な話でした(^^;
ふうむ、理瀬シリーズはおもしろいのですか?
読んでみようかなあ。
でも一方で、学園物が苦手というのも事実。
あはは(^^;

Posted by: LIN | October 26, 2005 at 10:25

The comments to this entry are closed.

« 作家の条件 | Main | 北海道新聞の書評欄&大学芋&おせち »