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October 09, 2005

『贅沢貧乏』by森茉莉

4061961845贅沢貧乏
森 茉莉

講談社 1992-07
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エッセイということになっているがそれでは片付けられない作品である。
作者自身も随筆めいた小説もしくはBelles lettres(ベルレツトウル)と
いっていた。

だいたい贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、
贅沢な精神を持っていることである。
容れものの着物や車より、
中身の人間が贅沢でなくては駄目である。
(中略)
簡単にいうと贅沢というのは、人を訪問する時に
いい店の極上の菓子をあまり多くなく詰めさせて持って行く
(その反対はデコデコの大箱入りの二流菓子)。
夏の半襟は麻のあまり高くないのをたくさん、買って
掛け流しにする(一度で捨てること)。
上等の清酒を入れて出盛りの野菜を煮る。
といったたぐいである。
隣の真似をしてセドリックで旅行するよりも
家にいて沢庵でお湯づけを食べる方が贅沢である。

という具合に、随所で、本当の贅沢について書かれている。
TVで、ブランド品を質屋で売っては新しいブランド品を買い漁る
女性たちのことをよく放送しているが
森茉莉が見たら、何というだろうか。
「デコデコの大箱入りの二流菓子」は私も時々いただくことがある(笑)
地元のチェーン系菓子店なのだが、量ばかり多くておいしいわけでもないのに
道路沿いにあって便利なせいか、なぜかつぶれない。
謎である。

西ドイツに行くことになった池田満寿夫と鎌倉の澁澤邸に招かれた際
駅前のロオマイアで食事をしたとか、
著者は食にこだわりを持っている。
“笹重の味噌”というのが出てくるのだが、
“笹重”で検索しても見つからない。
するとne_sanさんが「佐々重じゃないかしら?」と教えてくださった。
今、使っている味噌がなくなったら使ってみよう。
ちなみにne_sanさんは
料理酒用には「酔心」(辛口)、みりんは古式製法「九重櫻」、
酢は京都の「千鳥酢」、醤油はマルシマ「伝承三十石杉桶仕込」
塩は「海人の藻塩」
を、お使いになっているそうです。
さすが!
私も京都のお酢、使ってみたいなあ。

この本を読んで、三島由紀夫と室生犀星が大森に住んでいたことを
知った。
私も大森に住んでいた事があるのだが、
三島邸は私のマンションのすぐそばにあったのだ!
全然、知らなかった。ショック。

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Comments

こんばんは。
当家では、家族そろってたべるお粥やおでんが、何よりの贅沢であります。
森茉莉は個人的な感覚として、近くて遠い作家です。
非情に身近な題材を採用するかと思うと、極めて技巧的な、というより虚構に過ぎる
イメージを描いたりもします。
『枯葉の寝床』や『恋人たちの森』などを読みましたが、あまりに「作り物」という
感じが強くて違和感がありました。むしろ、挙げられた『贅沢貧乏』などの
エッセイや随筆などのほうが面白い。個人的には非常に好きです。
小説にしろ随筆にしろ、文章がとても上手で構成が巧みなのは、
父親譲りでしょうか。
ただ、その育ちのよさとは対照的な、あまりに寂しい、寂しすぎる臨終は大きな
ショックでした。

Posted by: 多摩のいずみ | October 09, 2005 at 21:53

贅沢貧乏、器用貧乏。
ココロは贅沢、カラダは贅肉
(..)(・.)(: )(¨)( :)(.・)(..)ゴロゴロ
脳みそでつまんない語呂合わせをしてしまったponsukeだす、こんばんわ。

無理をしたり、変にディスカウントしたものではなく、身の丈にあったものを慈しむってのが贅沢なのかな~と思ったり…
たまにいるんだよね。
「食べ放題で元取った」とか、何を食べても「あっちの方が安くてウマイ」とか、いちいち言う輩。
確かに色んなもの、それも安いとは言えないものを食べてて詳しいけど、そういう食べ方って品がないっつーか、情緒ないっつーか…
それなら超高級なものを、ちょっぴりだけ堪能した方が余程粋で贅沢ではなかろうか。(そんで、それをひけらかさない)

あ、こういう人がいるからケーキ屋さんは安泰なんだなw

話が横道にそれちゃったが、この本読んでみたいかも。
多摩のいずみさんのコメント見て、そんなにカナシイ最期だったの?と、さらに興味を持ってしまいましただ。

Posted by: ponsuke | October 10, 2005 at 00:31

>多摩のいずみさん
今日、奥様、退院なのですね。
おめでとうございます。
森茉莉の小説は元祖ボーイズ・ラブといわれているようなので
やおいギライな私は「げげっ」なのですが
笙野さんが森茉莉をモデルにした小説を書いていて
それを読みたいものですから、
森茉莉の小説も一冊くらいは読まなくちゃと
なかば義務的な気分です。
そのうえ、ファザコン!
『甘い蜜の部屋』は父と娘のべたべたな生活を描くですって。
げんなり…
しかし、戦前は津和野藩御典医の娘で、
お風呂は自分ひとりで入ったことがなかったという人が
戦後、自活したわけですから、
相当、つらいものがあったのではないかと思います。

Posted by: LIN | October 10, 2005 at 10:44

>ponちゃん
やあやあ、せっかくのお休みなのに雨だねえ。
>カラダは贅肉
うあああああ!禁句!それは禁句よっ!
数々のダイエットに挫折してきた私が今回は
これにチャレンジしてます。
http://watch.impress.co.jp/game/docs/20020701/konami.htm
格闘技系のゲームで、両手と両足に専用コントローラーをつけて
なぐったりけったりするの。むふ♪
最近、ジャッキーチェンが「この国の運動不足をなくす」って
CMやってるじゃない?
http://www.xavix.jp/
でもこれは飽きたら機械もムダになっちゃうので
プレステでできるマーシャルビートにしたの。
ponちゃんも一緒にやろうよー。
仲間がほしいよー(笑)
>身の丈にあったものを慈しむ
慈しむっていい言葉だよねえ。
さすがponちゃん。
味もわからないまま、ただ量だけおなかにつめればいいという
食生活はわびいしいよね。
私も有名フレンチを食べたいとかではなくて
もぎたての野菜とか水揚げされたばかりの魚とか
そんなのが食べたいです。
スーパーの野菜は死んでるもん。
森茉莉は死後2日たって、お手伝いさんに発見されたの。
生まれた時は、森鴎外の娘でお姫様だったから
その差を多摩のいずみさんはいってるんだと思う。
よかったら読んでみてね。
(小説は好き嫌いがあるみたいだから
エッセイの方がいいかも)

Posted by: LIN | October 10, 2005 at 11:06

ウチの調味料が大々的に…(笑)
で、その中で一箇所間違いがありまして、
もともとはこちらのミスなのですが、
みりんは「八重桜」じゃなくて「九重櫻」でした。
スイマセン。

森茉莉は、上質のセーターを虫食いだらけにしたあげく、
何枚も重ねて川にほうり捨てた、というエピソードから、
「管理すること」が苦手だったんだろうな、と思います。
もちろん「管理される」のも。

Posted by: ne_san | October 11, 2005 at 01:53

>ne_sanさん
ne_sanさんの許可なしにアップしてごめんなさい。
でも、みなさんに紹介したかったの♪
でもって、私も使ってみたいです♪
みりん、なおしておきました。

>「管理すること」が苦手
お姫様ですからねえ。
子供の頃、お風呂も侍女に入れてもらっていたんでしょう?
一人になって自活して、相当、大変だったのではないかと
予想します。
あの楽天的な性格だから何とかなったのかも。

Posted by: LIN | October 12, 2005 at 12:41

LINさん、こんにちは。
「贅沢貧乏」、わたしも笙野さんの小説を読みたくて、読みました(^^;)
「幽界森娘異聞」はかなり面白かったですよ。
栗本薫、谷崎潤一郎などの作品が思いっきり酷評されています。
LINさんもお暇ができたらぜひどうぞ(^^)

Posted by: 空猫 | November 15, 2005 at 12:32

>空猫さん
『幽界森娘異聞』おもしろかったですか!
これは読むのが楽しみ~。
森茉莉の小説も読んでおいた方がいいのでしょうか?
私、『贅沢貧乏』しか読んでないんだけど(^^;
>谷崎潤一郎などの作品が思いっきり酷評されています。
谷崎潤一郎、好きじゃないから、こりゃまた楽しみ(笑)
うひゃひゃ。

Posted by: LIN | November 15, 2005 at 18:11

>森茉莉の小説も読んでおいた方がいいので>しょうか?
読んでなくても大丈夫だと思いますよ(^^)
未読の人向けにあらすじが紹介されているところが多かったので読みやすかったです♪

Posted by: 空猫 | November 17, 2005 at 10:56

>空猫さん
情報、ありがとうございます。
これで心おきなく読むことができます。
『幽界森娘異聞』は鏡花文学賞だったでしょう?
今年は寮美千子さんの『楽園の鳥』という作品なのですが
イマイチ、そそられな~い。

Posted by: LIN | November 17, 2005 at 12:03

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