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第21回「教えてください!あなたのフランス本」 »

February 08, 2006

『蒼穹の昴』by浅田次郎

蒼穹の昴(1)蒼穹の昴(1)
浅田 次郎

講談社 2004-10-15
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中国清朝末期、貧しさゆえ宦官となり都で一旗あげようとする春児。
その義兄弟で、科挙の試験を受け官吏をめざす文秀。
一方、宮廷では西太后が権勢を誇っていたが、
光緒帝を擁立し、新しい政治をしようという動きもあり
やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。

壮大な物語でしたし、ちょっと涙ぐむところもあり、
まあよかったとは思うのですが
浅田次郎の文体がどうもダメでした。
軽すぎるんですね。

春児が、小さい頃、自分を「おいら」といいますが
田舎の子供であることを表現したかったのでしょうけれど
「おいら」って、あまりに漫画的な表現。
そして、何といっても西太后が誰もいないところでキレる
「もういや!いやいやいやいやいや、いやっ!」とか
乾隆帝の霊との会話
「おじいちゃんこそ、ひとごとのようにいわないでよ。
少しはあたしの身にもなって考えてちょうだい」とか
まるで渋谷の女子高生のようです。

そして最後、これからじゃないかというところで
ぷつんと終わります。
今、小説現代で連載中の『中原の虹』という作品が
続きらしいのですが…


私は時折はさまれる、ジュゼッペ・カスチョリーネの手紙のところが
好きです。
実在する人物なのでしょうか?

この小説でも誰が皇帝になるかというのが問題になるわけですが
日本も今、紀子様のご懐妊により、皇位継承問題で
揺れています。
何にせよあまりシステムを複雑にして揉めるようなことになるのは
避けてほしいですね。

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Comments

浅田さん、あ~、私も分かる。全体を通しておとぎ話っぽかったですね。(そもそも歴史物語は、作者の創作なのでしょうけど。)読んでて、さめた部分で「ほんま?」って突っ込んでました。でも確かにどんどん読めていって、私は『蒼穹の昴』は、前半が好きです。
>西太后=渋谷の女子高生
LINさん、最高~♪
西洋史版で、こういう作家さんは、佐藤賢一だと思うんですが。(笑)
あっ、ユン・チアンの「ワイルド・スワン」はその点、良かったですよ。(としつこく言ってみる。笑)

Posted by: ワルツ | February 09, 2006 at 02:14

渋谷の女子高生、確かに!(笑)

私は、前半の老公胡同の宦官たちの場面とか、科挙の場面とかが好きでした~。
前半は史実以外の「物語」の部分が大きくふくらまされてて、それがすごく面白かったと思うのに、後半はなんだか史実を書くのに精一杯って感じになっちゃって、結局史実に負けてしまったようなとこが、すごく残念だったんですよね。

ジュゼッペ・カスチョリーネは、実在の人物です。中国名は「郎世寧」なので、そちらで検索すると出てきますよ。
↓こんな本も出てるようで、面白いのかなーどうなのかなー と思ってるんですが… 「異色の庭園小説」って一体何なんでしょう?(笑)
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Posted by: 四季 | February 09, 2006 at 05:20

>ワルツさん
>佐藤賢一だと思うんですが
そうそう!まさに佐藤賢一を思い出しました。
どうしてせっかくの重厚な物語を
子供っぽくしちゃうんですかねえ。
浅田次郎は他の作品もやっぱりこんな文体なのでしょうか?
『ワイルド・スワン』はずっと気になってます。
でも大作ですから、まず積んである本を
少しでも片付けてと思うのですがなかなか減らない!(^^;
先に『マオ』を読むかも~
(つい新しい方に手が出ちゃう 汗)

Posted by: LIN | February 09, 2006 at 09:44

>四季さん
確かに後半、バタバタでしたね。
宮廷や科挙のシーンはとても幻想的。
そのあたりが好きというのは四季さんらしいですね(*^^*)
私は日本が満州国を建国した過程が気になるので
いよいよその時代だと思ったら、話が終わってしまった。
今、連載中の『中原の虹』でも
やっと今月、西太后が死ぬところらしいです。
おお、『カスティリオーネの庭』の紹介ありがとうございます。
いろいろ検索してみたのですが、なかなか興味深い作品のようです。
要はカスチョリーネが作った庭を切り口に
カスチョリーネの人生を語っている作品なのでは?
現在は手に入りにくいみたいで、復刊リクエストもされているようです。
あ、Amazonのマーケットプレイスにありました。
ぽちっと押しちゃった…
また読んだら報告します。

Posted by: LIN | February 09, 2006 at 10:08

 さっすがLINさん。ポイントを押さえますな☆
 時代ものとかシチュエーションものってのは会話の言葉ひとつでも変わってくるものなんですよね。書く人は「~の」と「~が」の違いひとつでも気を遣うもんです。とくに時代ものはそれが難しいんだけれどな。読んでるととっても簡単に思えてなりません(笑)。
 物語としては悪くないと思うんだけれど、それだけに、ね。

 この調子がわざとだとするとハズしてると思うし、本気だとすると……言っちゃ悪いけれど時代ものには向いていない作家さんじゃないかな。

 今の作家さんってこういうの、多いですよ。
 現代人が服を着替えただけみたいなの。

Posted by: ろぷ | February 12, 2006 at 11:59

>ろぷさん
時代小説とか歴史小説は重厚な文体でなくちゃ。
仮にも直木賞受賞している作家が、ライトノベルのような文体
勘弁してほしいです。
最近の作家は、軽い文体なら読んでもらえると思うのか
それともそんな風にしか書けないのか。
これからますます増えるのでしょうね。鬱…

Posted by: LIN | February 13, 2006 at 10:55

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