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March 25, 2006

『ダロウェイ夫人』byヴァージニア・ウルフ

ダロウェイ夫人ダロウェイ夫人
ヴァージニア ウルフ Virginia Woolf 富田 彬

角川書店 2003-04
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第一次世界大戦終了から5年後のロンドン、
1923年6月のある晴れた朝、国会議員夫人クラリッサ・ダロウェイが、
自宅で催す夜会のために花を買いに出かける。
街をあるきながらクラリッサは、30年前の輝くような青春の日々を振り返り、
ロマンティックなピーターとの波瀾に富んだ人生ではなく、
政治家リチャードとの平穏な人生を選んだことが正しかったかと自問する。

登場人物全員の心情を“ひとりごと”のような形で表現していく。
その独特な手法は「意識の流れ」と呼ばれているらしい。
シェークスピアの独白シーンを思い出す。
ただひとりだけ、その“ひとりごと”がはたから見てもわかってしまうセプティマス。
しかし登場人物全員の独白を並べてみると彼だけが不安定なのではなく、
人間というのはみな不安定なのだということがわかる。

<自分メモ>
「私は生と死、正常と狂気とを書きたい。私は社会制度を批判したい。」
 (V.ウルフ「日記」1923年6月19日)
第一次世界大戦は人間を大量に虐殺する兵器の使用により、
人類がかつて経験したことのない初めての全世界規模の戦争であった。
危機の時代こそ、人間の生死の意味は改めて真摯に問い直されねばならない。
大戦に勝利した大英帝国の栄光の陰には犠牲者がいる。
セプティマスもその一人だ。

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Comments

こんにちはです。
ちょっと前に映画『めぐりあう時間たち』を見ました。
ニコール・キッドマンがヴァージニア、メリル・ストリープがクラリッサという、中々豪華な顔ぶれです。
この本が原作となっているわけではなさそうですが、
映画中では重要なアイテムになってました。

きっとこういう話を映像化するのは難しいのでしょうね。
その分、活字だと読み手の想像がどんどん広がって、
いい読書となっていけるのでしょう。
LINさんのご感想を読むと、雰囲気よくわかる気がします。

Posted by: shosen | March 25, 2006 at 23:31

>shosenさん
この本の帯にも「めぐりあう時間たち」の宣伝が書いてありました。
私はてっきり『ダロウェイ夫人』の映画化なんだと思ってましたが
そうじゃないんですね。
原作はまた別にあるんだ!
是非、見てみたいです。
ところで、京極夏彦の『鉄鼠の檻』を読みました。
shosenさんはお読みになったことありますか?
禅の薀蓄が満載でおもしろかったです。
私は「十牛図」の話が気に入りました。

Posted by: LIN | March 26, 2006 at 11:31

はい、どうも別物のようですね。
映画はフィリップ・グラスの音楽もすばらしいです。

ところで京極さんは、『うぶめ』だけなんです。
でも禅の蘊蓄とは、そそりますね(笑)
『鉄鼠』は4作目なんですか?
2つ飛ばしていきなりそちらに行く・・というのはアリでしょうか・・。

Posted by: shosen | March 26, 2006 at 14:20

>shosenさん
shosenさんは『鉄鼠の檻』は未読でしたか!
でしたら是非、是非。
むしろ『新リア王』よりオススメしたい。
京極堂シリーズは一応、順番通りに読めといわれてますが
この『鉄鼠の檻』に関しては『姑獲鳥の夏』が読んであれば
大丈夫じゃないかなあと私は思います。
山奥の寺が舞台で、次々と僧が殺されていく話です。

Posted by: LIN | March 27, 2006 at 09:19

「めぐり逢う時間たち」が、2000円とセールをしていたので、つい買ってしまいました。(笑)
あとは、こちらの原作を読んでないので、いろいろと確認してみたいと思ってます。
「ダロウェイ夫人」の映画化は、私の方のコメントにも書きましたが、
淀川さんの銀幕旅行でみつけました。
http://www.sankei.co.jp/mov/yodogawa/98/980707ydg.html
もっと、古いものかと思っていたら、19997年の映画なのだそうです。
淀川さんなので、美しく賞賛されてますが、他をみてみるとあまり評判はよろしくないようで。
でも、どんな風になったのか、みてみたいです。
美術とか、興味深いです。

Posted by: pico | March 27, 2006 at 09:57

>picoさん
「めぐりあう時間たち」は『ダロウェイ夫人』が原作なんだと思ってました。
原作はまた別にあるのですね。
でも見てみたい&読んでみたいです。
映画「ダロウェイ夫人」も見てみたいです。
これ、映画化、むずかしいと思います。
評判がよくないというのも何となくわかるような気がします。
>美術とか、興味深いです。
ね、映像としてどうなっているか見たいよね。

ところで、今日、お友達のサイトで『八本脚の蝶』という本を知りました。
ネットで公開されている日記を書籍化したものなんですが、
今朝はこれを読んでショックでがっくりきてます。
http://homepage2.nifty.com/waterways/oquba/oqsearch.html
私も全部じゃなくて最初の方ちょこっとと
最後だけしか読んでないんですが…
ヴァージニア・ウルフと自殺つながりということで
書きました。

Posted by: LIN | March 27, 2006 at 11:00

八本脚の蝶は、今年、2冊目に読んだ本です。ああ
ダロウェイ夫人も八本脚の蝶も、辛いですね。
油断すると、すぅっとすくわれてしまう。
いつのまにか水に浸され溺れていることにもきづかない心地よさにはまると非常に危険。
こういうの読むと、変な話ですが、自分が「ばかぁー」でよかったと安堵してしまったりです。

Posted by: pico | March 27, 2006 at 12:23

>picoさん
お読みになったのですね。
私も買って読みたいのですが、後半、読むのがつらい。
一度、はまってしまうともう逃れられないものなのでしょうか?
「ばかぁー」は私も一緒です(笑)
何しろ忘れっぽくて、飽きっぽくて(・∀・;)
フランス語が続いているのはほぼ奇跡。
フラン研のお仲間であるみなさんのおかげです。
感謝。
ところで漢字バトンをまわしてしまいました。
もしよかったらやってみてください。
お忙しかったらスルーしてね。

Posted by: LIN | March 27, 2006 at 14:52

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