« 『Web2.0BOOK』by小川 浩・後藤 康成 | Main | 『水晶内制度』by笙野頼子 »

April 08, 2006

『楽しい古事記』by阿刀田高

楽しい古事記楽しい古事記
阿刀田 高

角川書店 2003-06
売り上げランキング : 3,330

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

笙野頼子の本を読むためには古事記が欠かせないので
読んでみました。

古代、神々が高天原に集い、闘い、戯れていた頃。
物語と歴史の狭間で埋もれてしまった「何か」を探しに、
小説家阿刀田高が旅に出た。
イザナギ・イザナミの国造りなど名高いエピソードを
ユーモアたっぷりに読み解く。

古事記を優しく読み解いてあるのも嬉しいですが
阿刀田さんが古事記にまつわる土地を旅したエッセイが
また楽しいです。
アマテラス大御神が隠れた岩戸の前で
ウズメの命が踊ったというエピソードを神楽舞にした岩戸神楽。
本来、1番から33番まであり、
酷寒の戸外で徹夜で見るものらしいのですが、
観光客用に1時間で見られるお手軽コースもあるそうです。

その岩戸の舞の話、八俣の大蛇(やまたのおろち)退治の話、
因幡(いなば)の白兎の話、海幸彦山幸彦の話。
要は有名な話が、一番、おもしろいところであり、
有名じゃない話は系図的な記述が多くて
あまりおもしろいエピソードがないんですね。

それにしても古事記というのは
「まぐわう」か「殺す」ばかりだなあと思っていたら、
解説に
「古事記は端的にいえば、“まぐわって”“うたって”“殺す”物語である」
と書いてありました(笑)


|

« 『Web2.0BOOK』by小川 浩・後藤 康成 | Main | 『水晶内制度』by笙野頼子 »

Comments

古事記って私も大好きなんです。いろいろな風に読めると思いますが、梅原猛風だと「縄文人対弥生人」になります。そういえば先Semesterで塩のPaperを書いたときは「古事記」と「日本書紀」をずいぶん読みました。塩土翁という人が突然出てくるんです。結局塩作りを教えた人らしいんですが、すごくあいまいな記述で頭をかかえた記憶があります(というか頭を抱えている記憶しかない、、、)

Posted by: Miwako | April 08, 2006 at 13:57

 古事記はねぇ、読む人間はいればその数だけちがった読み方ができますよ。
 ちなみに僕には、政治権力の譲渡と侵略&支配の歴史プラス天皇の神格化に見えました。

 オオクニヌシ(因幡の兎を助けたイケメン兄ちゃんののちの名前ね)が国を譲るあたりから侵略の歴史に見えちゃうッス。ニニギとかモロ侵略でしょ?
 もちろんイイ話もいっぱいあるけどね。ヤマトタケルくんとオトタチバナたんの話は涙なくしては見れません。タケルくんのラストなんて号泣ものですよ。
 o( TωT)o

 LINさんにはどういうふうに見えたのかな?

Posted by: ろぷ | April 08, 2006 at 17:27

あ、この本僕も持っています。だからなんなんだと思われてもなんなんでしょうとしか言えないのです。
古事記は読み方によっては高天原系と出雲系の支配と被支配の構図が整然と描かれていて、神話としては多分に政治的意図に満ちたもので、そこらへんが外国の神話とちょっと違うんじゃないかなんて意見をどこかで読んだ記憶があります。
もしそういう権力者の意図の元に作られた神話だとしてもそういう意図から外れたエピソードもあると思うし、まぐわったり、殺したりとおおらかな(?)雰囲気はありますし、そういうところは結構好きでした。
とは言え、僕は神代の巻で力尽きたので、今度は最後まで読んでみたいです。

Posted by: kyokyom | April 08, 2006 at 22:58

こちらに書き込むのは久しぶりです。
阿刀田高は母親が好きだったようで、一時期、家に阿刀田高の本が沢山あって、よく読んでました。
小説が多く、ちょっぴり、ドライな感じの内容がおおかったように思います。
阿刀田高の神様本といえば、、ギリシャ神話の本を読みました。
自分の知らないことを優しい言葉でわかりやすく書いてあったように思います。専門家の本だと専門用語など当たり前のように出てきて、文章も読みにくいですが、さすが、小説家、読みやすいなぁと思った記憶があります。

Posted by: まき | April 08, 2006 at 23:21

おはようございます。
国粋主義者の私は、
『古事記』はそれほど繰り返し読んではおりません。
禊した後、正座して読まなくてはならないからです。
テキストとしては、岩波文庫か岩波古典文学大系版が、
注釈が詳しく便利です。角川文庫版は、現代語訳が併載
されていて便利ですね。
『古事記』というと、すぐ思い浮かぶのは、本居宣長の
『古事記伝』と、吉本隆明の『共同幻想論』です。
それはさておき、
『古事記』は研究対象として重要であるばかりではなく、
読み物として抜群に面白い一冊だと思います。
にもかかわらず、読んでいない日本人、とんでもない誤解
をしている連中が非常に多い。
たとえば、ヤマチノオロチが「8つの頭を持った大蛇」だと
思っている人や、大国主尊が「80人兄弟の末っ子」だと
解釈している連中など、乱暴な言い方をすれば、
「お前ら、ひらがなの読み書きからやり直せ」
であります。
失礼しました。

Posted by: 多摩のいずみ | April 09, 2006 at 06:23

>Miwakoさん
この本はあくまでも入門編ということで簡単にしか書いてないので
今度は古事記そのものをちゃんと読みたいです。
これを購入する時、梅原猛版『古事記』と迷ったんですよ。
梅原さんもおもしろそ♪
>塩土翁
興味深いですね。
大陸から来た人なんでしょうか?
ところで『The D'Oh! of Homer』
まだ到着してないんですけど、読むのが楽しみ~(わくわく)
今、AmazonでシンプソンズのDVDが半額中。
5月発売のコンプリートBOXを買うべきか悩ましいところです(・∀・;)

Posted by: LIN | April 09, 2006 at 09:35

>ろぷさん
ろぷさんは『源氏物語』とか『失われた時を求めて』とか『古事記』とか
大作をたくさん読んでいてすごいですね。
>LINさんにはどういうふうに見えたのかな?
あまのじゃくなので(笑)逆に「侵略の歴史」ではない見方をしたいと
つい思っちゃうんです。
この本はガイドブック的なので、まだ『古事記』を語るまでにはいたらないですが…
ろぷさんの読み方はいまどきの若者らしいですね(*^^*)
>タケルくんのラストなんて号泣もの
ヤマトタケルの旅も壮大ですから、彼を主人公に『指輪物語』が書けるかも!
どうです?ろぷさん、書いてみない?(笑)

Posted by: LIN | April 09, 2006 at 09:53

>kyokyomさん
この本によると、『古事記』は系図的な話が多くて、
神様のおもしろいエピソードというのは少ないみたいですね。
ギリシア神話はあんなにおもしろいというのに。
支配と被支配の構図という意味では『日本書紀』はもっとひどいみたいです。
>神代の巻で力尽きた
阿刀田さんの解説によれば、つまらない部分は相当、つまんないらしいですね(笑)
みなさんが読んでいらっしゃるので、私もきちんと読みたいとは思うのですが
つまらないのはイヤだなあ。
kyokyomさんはどの『古事記』をお読みになったのでしょう?
出版社によって読みやすいとか読みにくいというのもあるのでしょうね。

Posted by: LIN | April 09, 2006 at 10:07

>まきさん
阿刀田さんは星新一さんとSFショート・ショート全盛時代を
築き上げた方ですよね。
最近は、まきさんがお読みになった『ギリシア神話を知っていますか』のように
古典を優しく読みとくシリーズをたくさん書いていらっしゃいますよね。
私も『旧約聖書を知っていますか』と『新約聖書を知っていますか』を
持ってますが積んだまま…(^^;
>専門用語など当たり前のように出てきて、文章も読みにくい
難解に書くことがエライと思っている方も
世の中には多いように思います。
でも実は誰にでもわかるように易しく書く方が
難しいんですよね。

Posted by: LIN | April 09, 2006 at 10:32

>多摩のいずみさん
>ヤマチノオロチが「8つの頭を持った大蛇」だと思っている人
あれ?違うのですか!
ヤマタノオロチとはまた別物ですか?ヤマチノオロチ。
この本にもヤマタノオロチは頭が八つ尾が八つの大蛇と書いてありますが…
これはちゃんと読まなければ(・∀・;)
岩波文庫版と角川文庫版がオススメなのですね。
『共同幻想論』は読みたいと思いつつ未読なのです。
これも古事記と関連があったとは!

Posted by: LIN | April 09, 2006 at 10:45

>ヤマタノオロチ
『古事記』という本は、漫然と字面を追うよりも、想像力を
働かせると格段に面白く読めると感じます。
ですから、「頭が8つ」などと数学的に情報処理してしまう
と、とてもつまらない。
そもそも、具体的な数の問題ではないと思います。
『古事記』のヤマタノオロチのエピソードには、「八」という
表現が特に多く使われていますが、これは「8」という具体的
な数値というより、「たくさんの」という修辞表現と考えたほう
がエピソードの情景をよく読み取れると思います。
ヤオトメも「8人の娘」ではなく「とても大切な何人もの娘たち」
のほうが、より老夫婦の悲しみが伝わってきますし、「ヤシオリの酒」も
単に8回仕込みを繰り返したというより、「何度も醸造して濃厚にした酒」
と読んだほうが、「強烈な酒」というイメージがわいてくる。
そして、ヤマタノオロチですが、これは想像を絶するモンスターな
わけであって、もし人が出会っても、「頭が、ひとーつ、ふたーつ、
…。うむ、全部で8つだ」などと冷静に数えてなどいられる
わけがない。
「ぎゃああ、頭がいっぱいある大ヘビのバケモンだぁー」と、
命からがら逃げ出すに違いない。
つまり、ヤマタノオロチというのは、頭がうじゃうじゃといっぱいあって、
山のかなたまで続くほど巨大で、しかも尻尾もワシャワシャと
たくさんある、とてつもない怪物である、ということだと思います。
『古事記』は報告書でもルポタージュでもないわけです。そうすると、
私が思うに、「情報」よりも「感情」を読み取ることが大切なのだと思います。
だから、娘を失った「悲しみ」や、巨大な化け物に対する
「驚き」と「恐怖」を読むことのほうが大切なのだと思います。
それを、「8つの頭と8つの尾」では、「ああ、そうですか」
で終わってしまうような気がしたからです。
失礼しました。

Posted by: 多摩のいずみ | April 09, 2006 at 14:20

>どうです?ろぷさん、書いてみない?(笑)

 神話を自分的訳にするのは、もの書きはよくやりますよ。練習にもなるし。知り合いは聖書をやっております。
 じつをいうとね。
 僕もタケルくんとかスサノオさんをネタにしていくつか書いたことはあるんですよ。だから『古事記』を勉強したのよ。
 でも、結果はみごとに失敗(笑)。
 だってねぇ、時代考証が難しい(っていうか無理)ですからねぇ。どうしても現代人が服を着替えただけになっちゃうのよねぇ。
 あと、女性が魅力的すぎっ。
 アマテラス姉さんもタチバナたんも僕の筆では描ききれないほどの美女ですから。
 いつか決定版をやりたいけどね。

 そういえば。
 ヤマタノオロチって怪物だったの?
 僕は「数え切れないほどの山や谷を支配している、ヘビ神のような神通力をもったヤツラ」という読み方をしましたけどね。
 だから独自の宗教をもった地方の豪族とかとなりの国の軍隊だと思ってたッス。
 でも怪物のほうが何倍もロマンチックですよね。あぁ、僕は夢が無いのかもしれない(笑)。

 「ヤマタ」については前記多摩のいずみさんのおっしゃるとおりだと思うッス。
 ほら、無数の神さまのことを「八百万{やおよろず}の神」っていうでしょ。あれと同じ。
 そういえば関係無いけれど「八百屋さん」はどうなんだろう? いっぱいってことなのかな?

Posted by: ろぷ | April 09, 2006 at 16:28

>多摩のいずみさん
詳しい解説ありがとうございます。
>「頭が8つ」などと数学的に情報処理してしまうと、とてもつまらない
うーん(^^;
私は「8つ」じゃなくて「たくさん」ととらえる方がつまんないなあと
思うんです。
まして、大蛇は軍隊を表現しているという考えは
もっとつまらないような…
「たくさん」ととらえると、原文にある八つの門や八つの酒桶も
もっとたくさんの数を用意したってことなんでしょうか?
>冷静に数えてなどいられるわけがない。
多摩のいずみさんが書いていらっしゃることもわかるのですが
話が伝わっていくおもしろさという意味では、
「とにかくいっぱい」ではなく「8つ」という具体的な数が
必要だったんだと思います。
八俣の大蛇を火山活動ととらえている方もいらっしゃいますね!
http://uu.fantasia.to/plan/general/uuhasso/okuhito/dan-j.html

Posted by: LIN | April 10, 2006 at 09:30

>ろぷさん
神話の書き換えはむずかしいんですね。
じゃあ、笙野頼子の『水晶内制度』はやっぱりすごいんだなあ。
笙野さんはこの本の中で、古事記の書きかえをやってます。
そこでは、オオナンジは女だったということになってます。
>ヘビ神のような神通力をもったヤツラ
>独自の宗教をもった地方の豪族とかとなりの国の軍隊
私はヘビ神という考えの方が好きだなあ。
>無数の神さまのことを「八百万{やおよろず}の神」
数については、多摩のいずみさんへのコメントに書いたのですが
私はやはりここは「8つ」と考えるべきじゃないかと思ってます。
まあ、でも人それぞれ考え方があるからね。

Posted by: LIN | April 10, 2006 at 09:44

LINさんこんにちは。
>どの『古事記』をお読みになったのでしょう?
僕が読んだのは岩波文庫です。でも角川のも一応持っています。
まあ、こらからどうなるのかはわからないけど、それにしても江國香織の本より古事記の方にコメントされる方ばかり集まるってLINさんのとことはすごいなあ。面白いです(笑

Posted by: kyokyom | April 10, 2006 at 22:20

>kyokyomさん
>江國香織の本より古事記の方にコメントされる方ばかり集まる
あはは…(^^;
私はあまり江國香織のこと、よく書かないからなあ。
彼女はデビューした頃の方が、行間に何ともいえない
せつなさが漂っていてよかったように思います。
最近の作品は、そこらへんにあるフツーの恋愛小説になってしまったような…
結婚されて少し作風が変わり、
お子さんができて決定的に変わってしまったのではないでしょうか?
満たされてしまったのかもしれない。
>僕が読んだのは岩波文庫です
岩波文庫って不思議ですよねえ。
地味な出版物が多いのにつぶれない。
岩波は他の出版社と違って、書店の返本不可というのが大きいでしょうが
それにしてもすごいですよね。

Posted by: LIN | April 11, 2006 at 10:32

The comments to this entry are closed.

« 『Web2.0BOOK』by小川 浩・後藤 康成 | Main | 『水晶内制度』by笙野頼子 »