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April 02, 2006

『ソラリスの陽のもとに』byスタニスワフ・レム

ソラリスソラリス
スタニスワフ レム Stanislaw Lem 沼野 充義

国書刊行会 2004-09
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※早川書房の文庫本は画像がなかったので、
国書刊行会の単行本にリンクしてあります。

先月亡くなったスタニスワフ・レムの追悼ということで…

惑星ソラリス。
それは宇宙のかなたの謎の星で、
生物の存在は確認されないが、
理性を持った有機体と推測されるプラズマ状の“海”によって被われていた。
それを探査する宇宙ステーションが突如、地球との連絡を絶つ。
その調査のためにソラリスに派遣されるケルヴィン。
しかし、物理学者ギバリャンは謎の自殺を遂げ、
残った二人の科学者も何者かに怯えている。
そしてケルヴィンの前に現われたのは…

SFとしてはかなり地味。
あまり動きもないし
ほとんど宇宙船の中だけの物語。
哲学的。
ソラリスの“海”は、宇宙のかなたにある、ありえない存在ではなく
現代の私たちのそばにもあるのではないかと思う。
禅問答のようでもある。
一方ではハリーとの恋愛小説として読むとせつない。

映画化されてます。
アンドレイ・タルコフスキー監督作品
スティーヴン・ソダーバーグ監督作品があります。

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Comments

おー読んだんですね。
私はソラリスが積読状態です。
最近読書自体、滞ってます。
4月はもうちょっと読みたいです。

Posted by: るちあ | April 02, 2006 at 21:00

こんばんは。
私は『ソラリス』というと、タルコフスキーの映画しか経験
していないです。何回見たかわかりません。
レムの原作も、ハヤカワ文庫版がどこかにあったような気が
するのですが、またしても行方不明であります。
ちなみに、タルコフスキーの映画なら、『僕の村は戦場だった』
『鏡』『ノスタルジア』の3つも好きです。

Posted by: 多摩のいずみ | April 03, 2006 at 01:49

>るちあさん
私も『ソラリス』ずっと積んであったんです(^^;
先週、スタニスワフ・レムが亡くなって、
「あ、このタイミングを逃したら一生、読まないかも」
と慌てて読んだ次第です。
>最近読書自体、滞ってます。
年度末は何かと慌しいですものね。
「恋せよ乙女」の記事(!)興味深く、拝見しました。
何かコメントしようと思ったのですが、うまいことばが見つからず…
恋愛って要は勘違いなんだと思います。
相手のことを冷静に観察できず、わーっともりあがれる人が
いわゆる恋愛しやすい体質なのではないでしょうか?
それを繰り返すってことは学習能力がないということで。
と、私もこの年齢になってやっと冷静に自分を分析できるようになりました(^^;

Posted by: LIN | April 03, 2006 at 09:03

>多摩のいずみさん
残念ながら私はタルコフスキーの映画は見ていないのです。
青い太陽と赤い太陽、そして“海”がどんな風に描かれいてるのか
興味津々です。
今、検索したら、東京でもロケが行われたのですね!
多摩のいずみさんは原作は未読ですか?
それでしたら是非。
ケヴィンの場合、死んだ妻が現われるわけですが
自分だったら誰が現われるのだろうかと考えませんでした?

Posted by: LIN | April 03, 2006 at 10:15

初めて観た時、きっと何かの間違いだろうと思いましたよ、東京ロケシーン。
タルコフスキーは赤坂とか、この世のものとは思えなかったんでしょうね。
ちなみにボクは『ノスタルジア』『ストーカー』も好きです。

Posted by: yamatatz | April 03, 2006 at 16:35

>yamatatzさん
おひさしぶりです。
私も東京がロケ地という文字を見て驚きました。
これは是非、映画を見てみたいものです。
私の身近に「タルコフスキーの映画を見にいこう」と誘ってくれる
ボーイフレンドがいなかったことがまったくもって残念です。
タルコフスキーの映画、若い頃に見たかったような気がします。

Posted by: LIN | April 04, 2006 at 09:19

こんにちはです。
じつは、レム氏がまだご存命であったことを知らず、overQさんの記事で亡くなったニュースで驚きました・・。
『ソラリス』は映画が先でした。後で原作を読み、「映像を文字化する」感覚で楽しめましたです。
いまさらですが、これも「別れの文学」ですね(笑)
私はSFそんなに読まないのですけど、『ソラリス』は私にとっても最高の作品のひとつです。

東京ロケは首都高でしたよね。
タルコフスキーの映画は怖かったです。
ソダーバーグの映画は、すいません、見るの途中でやめちゃいました・・。

Posted by: shosen | April 04, 2006 at 21:43

タルコフスキーは、光で世界を描き、雨によって世界を変える、
そんな描き方をするので、映画『ソラリス』では海はとても
無機的に描かれています。
太陽は、まったく印象に残っていません。
首都高のシーンは、なかなか味があって好きです。都市の中を
曲がりくねって、しかもアップダウン激しく走る首都高。しかも、
時折見えるのは、首都高脇の我々が見慣れた民家や古びたビル、
さらにトタン屋根の町工場、それに「スバル」などの日本車の看板。
もちろん、表示は全て日本語です。
近代的な高架道路に古び疲れた街並みというのは、疲弊した未来都市
として、現在見ても不思議なリアリティがあります。
ただし、タルコフスキーは、アベックで見るものではないと思います。
あまりの映像の美しさと、その静かさにどうしても眠くなってしまいます。
学生時代には、前日には睡眠をたっぷりととり、体力を蓄えて
映画館に向かったものであります。

Posted by: 多摩のいずみ | April 04, 2006 at 22:17

>shosenさん
私はshosenさんとは逆でスタニスワフ・レムが亡くなったというニュースを知って
慌ててこの本を読んだ口なのです(・∀・;)
(ずっと本棚に積みっぱなしだったので)
shosenさんは映画をご覧になっているのですね。
どうも見ている人に男性が多いようですが、
タルコフスキー監督は男の子心をくすぐるのでしょうか。
えっ!怖いんですか?映画。
怖いのは苦手だなあ…
正直、小説もちょっと怖かったけど。
あれ、ソダーバーグ監督のはつまらなかったですか。
映像としてはソダーバーグの方がよさそうですけど。
私は青い太陽と赤い太陽が交互に現れるシーンが映像で見てみたいです。

Posted by: LIN | April 05, 2006 at 09:58

>多摩のいずみさん
多摩のいずみさんの解説、映像が目に浮かびます。
太陽が印象に残っていないということは、
青い太陽は登場しなかったのかもしれないですね。
SFと日本の風景?と思うのですが、きっとうまくマッチしているのでしょうね。
多摩のいずみさんの記事を拝見しているうちに
フランソワ・オゾン監督を思い出しました。
私は映画にあまり詳しくないので、この印象はまちがっているかもしれませんが
2人の作品は似ているような気がします。
多摩のいずみさんは、フランソワ・オゾン監督の作品を
ご覧になったことありますか?

Posted by: LIN | April 05, 2006 at 10:18

おお、男子ばかりなり(;・∀・)
この世代が少年の頃、男子の間ではSFブームで、その一貫としてレムも紹介されたからでしょうね…と他人事のように書く(笑)

レムは今、読み返し中。
レムのソ連批判という側面が興味深くなってきました。

SFには風刺や文明批判の機能があると言われます。
科学によってよりよい社会が築かれるという前提があり、
一方でそれが幻想に過ぎないのではないかという批評性がある、と。
「科学」を「社会主義」に置き換えると、レムのおかれた時代や社会が見えてきます。

ソラリスは人間の魂の底にある「理想」を再現してしまうのですが、
それはソビエトが人間の「理想」の実現であったこととパラレルかもしれない。
(この話は長いので、また記事に書きたいと思います)

SFでは「未来」をよく描くけれど、それは本当の未来というより、
現在・現状を批評的に捉えるためのたとえであることが多いです。
レムはソ連を批判するのに、なんとアメリカを比喩として用いる!
アメリカを批判しているように書きながら、それはほんとはソ連を批判しているんです。

冷戦期ポーランドの作家で、直接にソ連批判などとうていできないからですが、
これが今となっては非常に効いている。
ソ連が滅んだ今、レムの作品も役目を終えなければならないはずなのに、
むしろ今のほうが強烈なものとして読める。
つまり、「アメリカ=ソ連」の比喩が逆転して読める。
これは人類にとって不幸なことです。

タルコフスキーの映画版で、日本の高速道路が「未来」として出てくるのは、日本=ソ連(北朝鮮?)な比喩性・批判性があると言えるかもしれない。
この映画版、レム自身は大嫌いだったそうですが(笑)

レムは「完全な真空」も面白い。
架空の本の書評集。SFというより現代文学の大きな成果です。
科学と社会主義から出発したのに、「人間は日々進歩する」という考えを大きく否定するような場所に出てしまった…という点で、レムは現代文学的。
最後の小説の題名は、「フィアスコ」大失敗という意味です。

Posted by: overQ | April 05, 2006 at 12:52

>overQさん
そうなんです、男子ばかり(笑)
男子の心をくすぐるのはレムというより
タルコフスキー監督なんじゃないですかね?
レムの作品がソ連批判だったというのは興味深いです。
そしてさらに
>「アメリカ=ソ連」の比喩が逆転して読める
というパラドックスになっているとは!
えっ、ソラリスって人間の理想の再現だったんですか!
男って、昔の恋人との再会というシチュエーションが好きですよね。
そして相手も自分を忘れていないと夢想する。
しかし、女は男のことをとっくに忘れているという…(笑)
SFは今、下火ですけど、これからの文学ではないでしょうか。
少なくとも本屋大賞にランクインしている作品ではない。
というか、なぜ、あれらの本が売れるのか謎です。

Posted by: LIN | April 06, 2006 at 09:10

LINさん、こんにちはー。
ソラリス読みました。LINさんが仰るように、SFと哲学は相性が良いに納得です。あ、いえ、哲学のことはほとんど知らないけど、でもそんな気がします。
海が生命体ってすごい発想。確かにそんなものとコンタクトをとろうとしたら、従来の物理的・科学的な接触法だけではどうもならん、お手上げって感じが伝わってきました。まずは相手をどう認識するのかって根本のところから始めないとどうにもならないかも。行動よりも思考そのものをひっくり返すような発想をまず始めなければいけないんじゃないか、とか。そういうところが哲学的だなって感じます。
うーむ。僕はSFって好きかも。あらたな魅力を教えて頂いた気がします。

Posted by: kyokyom | October 02, 2006 at 22:21

>kyokyomさん
お読みになったのですね~♪
SF、いいでしょ?
今日は『銀河ヒッチハイクガイド』という本を読み終えました。
コメディなんだけど、深くておもしろかったですよー。
シリーズものなので、あと4冊、読む予定です。
最近、「本を読む人々」というSNS(mixiみたいなの)にはまってます。
SFに詳しい方もいらっしゃるし、何より、本好きばかりのSNSなので
ブログよりも濃いやりとりができます。
kyokyomさんもいかが?
http://moon.atpne.jp/booksns/normal.php?p=login_do_login

Posted by: LIN | October 03, 2006 at 15:44

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