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May 05, 2006

『美食の道』by立原正秋

美食の道美食の道
立原 正秋

角川春樹事務所 2006-02
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直木賞作家、立原正秋のグルメエッセイ。
かなりの酒好きで
朝、10時頃に目をさますとまず中壜のビールを飲むらしい。
時には朝からビフテキと一緒にウイスキーやブランデーも
飲むらしい。

しかし、毒づくというか、口が悪いというか。
私はこの作家をを好きになれそうにもない。
たとえば、妻が作った料理に対して、
「おいしい料理だが私は家人の腕をほめたことがない。
こうしたのをこしらえるのが当然だからである」
と書いている。
エライ作家だか何だか知らないが、大変、感じが悪い。
また
「ニコチンの少ないタバコがいいなんて馬鹿な話だ」
「“友吉屋”というはなはだ田舎くさい名の店」
など、人を見下したような発言も多い。
何か逆にコンプレックスでもあるんだろうか?

エッセイ自体は美食の本質を突いており、
本当のグルメなんだと思う。
湘南に住んでいたからか、魚には相当、うるさいようだ。
ある時、編集者に連れられ、鯵のたたきがおいしいという店に行くのだが、
鯵を見たとたん、いやになる。
鯵が大きくて、色のつやもよくないのである。
果たして、その鯵のたたきは生臭くて食べられる代物ではなかった。
「東京で売っている魚は前日あがった魚であり、
鯵のたたきを都会で食べようということがどだい無理である」
とも書いている。
これには私も賛成で
「東京のものは何でもおいしい」という考えは田舎臭いよね。

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Comments

>「おいしい料理だが私は家人の腕をほめたことがない。
こうしたのをこしらえるのが当然だからである」

あら確かにやな感じ!当然って何よっ。(笑)
まあ夫婦のことに口は出しませんが、美食が過ぎると「痛風」が心配ですねえ。

Posted by: TRK | May 05, 2006 at 23:13

立原正秋って傲慢でええかっこしいではったり好きでしかも嘘つきというろくでもなしですねえ。でも僕はどこか憎めないんです。その傲慢さは強い者に対しても平等に発揮されるし。だから上の言葉もついいいようにとってしまって困ってしまいます。台所仕事を褒めないというのは、主婦業をプロフェッショナルと扱っているともとれるんですよね。この人いつも言葉が足りないというか余計なことを言おうとしない。でも嘘つきです(笑)

Posted by: kyokyom | May 06, 2006 at 12:05

>TRKさん
ねー、感じ悪いですよねー。
百歩ゆずって、友人たちに妻の料理をほめられ、かっこつけるために
「いやー、このくらいできてあたりまえだよ」っていうのなら
まあ、わからなくもないですが、わざわざエッセイに書くっていうのがねー。
料理を作る人に感謝できない人間は、大したグルメじゃないと
私は思います。
料理って、食べる時はあっという間ですけれど、
作る方は買物やら下ごしらえやら、すごく手間がかかるのにね。

Posted by: LIN | May 06, 2006 at 16:37

>kyokyomさん
立原正秋に寛容でいられるのは、kyokyomさんが男性だからかもしれませんよ。
女は生まれながらにして男の世話をするのが宿命みたいなものですからね。
男女平等だなんだっていったって、既婚者で自分で洗濯をする男が
この日本に何人いることか。
結局、結婚すると女が損するんです。
最近じゃ、男の稼ぎが悪いから、共働きまでさせられる始末。
「夫が、仕事をしてもいいっていってくれてるの」なんてことをいう女性がいますが
「夫の稼ぎが悪いから働いてやってるの」くらいいってやればいいんです。
あ、興奮しすぎました!

>主婦業をプロフェッショナルと扱っている
私はそう思えないなあ。
だって、彼のこのエッセイの中に、妻を尊敬しているといった言動が
全然、なかったですもの。
おそらく、相当、亭主関白だったと思いますよ。

>嘘つき
小説家ですから、嘘つきはいいと思います。
でも、この人は、嘘つきというより
自分を高みにおいて、他人を見下げている感じがするんです。
そうすることで、虚勢を張っている気がします。
むしろ己に嘘をついているような…

Posted by: LIN | May 06, 2006 at 16:48

LINさん、こんにちは。
お返事のお返事を書いていたらちょっと長くなってしまい自分のブログに載せることにいたしました。よかったら読んでくださいね~。

Posted by: kyokyom | May 09, 2006 at 00:04

>kyokyomさん
お返事、書きました。
決して、kyokyomさんを責めているんじゃないからねー(笑)
書いてはみたのもの、どうも言葉が足りなかったような気もします。
反論あったら、また書いてください。

Posted by: LIN | May 09, 2006 at 08:55

こんばんは。
>東京のものは
当家では「地元のもの」をおいしくいただいています。
たとえば、農協まつりなどで売っている、近所のおばあちゃんたちの
手作りこんにゃくがとてもおいしいです。
日本全国、どこにでもおいしいものはいっぱいあると思います。
わざわざ東京に出かけるという考えこそが、田舎臭いのではないでしょうか。

Posted by: 多摩のいずみ | May 10, 2006 at 01:39

>多摩のいずみさん
地元のものを食べるのは体にもいいらしいですよん♪
おお!手作りこんにゃく。
おいしいそうです。
田楽にして、味噌でいただきたいですねえ。
>わざわざ東京に出かけるという考えこそが、田舎臭い
まったく、まったく。
何でも今年のGWは、東京観光が人気だったとか。
今、深夜バスで大阪-東京間、3200円なんて格安コースがあるんですね!
特に買物目当ての女性が多いらしいです。
食べものにしろ、服にしろ「東京」というブランドがほしいんでしょうね。
自分の審美眼を信じていないのでしょうか?
地元で買った服で、おしゃれに見せることの方が
ずっとステキなのに…

Posted by: LIN | May 10, 2006 at 10:51

LINさんこんにちは。
以前たらいまわしの時にお話させて頂いたもろりんです。
覚えていらっしゃるでしょうか?

こういう食べ物のエッセイって、個性的なほうが面白く感じるんですけど、これは嫌な感じですねえ~。
>料理を作る人に感謝できない人間は、大したグルメじゃない
これには同感です。食べ物って命そのものですものね。
食べ物そのものにも、作ってくれる人にも、感謝を忘れてはだめですよね。

この前、同じく食べ物のことを書いたエッセイで、
作曲家團伊玖磨さんの「舌の上の散歩道」という本を読みました。
この方もかなり好みが激しくて、ぎょっとするような発言もありましたが、私はなかなか好感がもてましたよ~(^^)

Posted by: もろりん | May 10, 2006 at 13:10

>もろりんさん
「アリスは私も好き」だとコメントしてくださったもろりんさんですね(*^^*)
ごぶさたしてます~♪
おお、『アンジェラの灰』をお読みになったのですね。
私もあれは大好き。
もう、泣けて、泣けて…(つД`)
>感謝を忘れてはだめですよね。
ねー、そうですよねー。
なかなかおいしそうなものを紹介しているエッセイなんですが
「こうしたのをこしらえるのが当然だからである」のひとことで
がっかりしてしまいました。
>「舌の上の散歩道」
グルメエッセイ大好きなので、読んでみたいです。
あれ、今、検索したら、復刊ドットコムの記事がトップに。
ということは、今、絶版ですかね?
くさやとか豚の耳とか、目次を見るとなかなか個性的(^^;
もろりんさんのところはHPなので、更新が反映されないかなと
Blogpeopleに登録してなかったのですが、登録してみますねー。
更新がうまく反映されるといいんだけど…
今後ともよろしくお願いします。

Posted by: LIN | May 11, 2006 at 09:30

LINさん、こんにちは。
反論載せました。長いものになってしまいましたが、一番下の段に結論がありますのでそこだけでも読んで頂ければと。
ところで、男ってまぬけですね。いきなり何を言うんだ?と思われそうですが、以前、川上弘美のことでLINさんの意見を読んでそう思いました。
でも思うんですけど、ある種のことを見抜けないってのは男だけなんでしょうか。女であるから見抜けないってこともあるんですか?
今、女性のことを語ろうとすると慎重にしないとやばいなあという気分です(笑)

Posted by: kyokyom | May 11, 2006 at 22:24

>kyokyomさん
反論、ありがとうございました。
あれを読むことで、私の頭の中が整理されました。
kyokyomさんのお返事にも書かせていただきましたが、
kyokyomさんは、立原正秋になみなみならぬ思いがあり
彼の著作全体で、立原正秋について考えている。
一方、私は、『美食の道』1冊から見えた立原正秋について
書いたわけです。
視点が違うのですね。
でも、私が書いた立原正秋も、またひとつの立原正秋像ではないかと
自負しておりますが。
>ある種のことを見抜けないってのは男だけ
これは、また生意気ないいかたになるかもしれませんが
体験ではないかと思います。
たくさん恋をし、たくさん人と出会ううちに
人を見る目が養われるというか、人生にスレてくるというか…
kyokyomさんはある意味、純粋なんだと思います。
ぱっと人を見た瞬間に「あ、こいつはインチキだ」とわかってしまう人生は
ちょっとつらいです。

Posted by: LIN | May 12, 2006 at 10:06

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