« 『見えない都市』byイタロ・カルヴィーノ | Main | 『秘密結社の手帖』by澁澤龍彦 »

June 16, 2006

『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』by宇月原晴明

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス
宇月原 晴明

新潮社 2002-09
売り上げランキング : 104782

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1930年、ベルリン滞在中のアントナン・アルトーの前に現れた日本人青年は、
ローマ皇帝ヘリオガバルスと信長の意外なつながりを彼に説いた。
ふたりはともに暗黒の太陽神の申し子である。
そして口伝によれば、信長は両性具有であった、と……。
ナチ台頭期のベルリンと戦国時代の日本を舞台に、
伝承に語られた信長の謎が次々と解き明かされて行く。
第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

この本のタイトルの元となった『ヘリオガバルス、または戴冠せるアナーキスト』を
読んでいなかったのが残念。

ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキストヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト
アントナン アルトー Antonin Artaud 多田 智満子

白水社 1996-01
売り上げランキング : 207070

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ヘリオガバルスについてもっと知っていたら、もっと楽しめたと思う。
でも、信長が両性具有という発想は新鮮だし、
何より今まで異常と思われていた彼の行動すべてが、
理屈にぴたりと収まる。
私は、司馬遼太郎や池波正太郎が書く時代小説が苦手なのだが
これは、時代小説の部分もさくさく楽しめた。
かといって、最近、ありがちな「ありえねーっ!!!」的な
ライトノベルのノリともまた違う。
年配の方が読んでも楽しめるはず。
同じ著者の『聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ)』を買った。
宇月原氏は、永原孝道名義で
『ワードウォーズ 言語は戦争する』と
『死の骨董 青山二郎と小林秀雄』
という評論集も書いている。

<関連記事>
『安徳天皇漂海記』by宇月原晴明

|

« 『見えない都市』byイタロ・カルヴィーノ | Main | 『秘密結社の手帖』by澁澤龍彦 »

Comments

LINさん、こんにちは、、
宇月原シリーズですね、、。
私、この、「信長―あるいは、、」は、読みました。
日本ファンタジーノベル大賞は、いつも注目しているので、
佐藤亜紀さんの、「バルタザール、、」のときは、吃驚したなぁ、、。
この「信長、、」も設定に吃驚したけど、、。
司馬さんが、ダメなのですか、ちょっと残念です。
司馬さんは、時々、暴走して、歴史エッセイみたいになりますけど
池波さんは、私も、あんまり手が伸びませんね、、。

Posted by: indi-book | June 16, 2006 at 19:25

>indi-bookさん
宇月原さん、はまりました!
日本ファンタジーノベル大賞は、なかなかいい作家を輩出しますよね。
indi-bookさんは『安徳天皇漂海記』は読んでいらっしゃらないですか?
いいですよー、オススメです。
『バルタザールの遍歴』もいいですよね。
~今朝起きたらひどく頭が痛んだ。バルタザールが飲みすぎたのだ~
の一行目が好きです。
>司馬さんが、ダメなのですか
司馬さんがダメというよりか、時代小説全般がダメなんです。
あの独特の語り口調と文体が苦手で…
でも読まずギライかもしれないので、今度、チャレンジしてみたいです。

Posted by: LIN | June 17, 2006 at 10:00

 「○○、または戴冠せる××」っての、一時期やたらめったら見たような気がするんだけれど……やっぱ元祖は『ヘリオガルバス~』なのかな?

 ところで信長に何か特殊な理由があったってのはわりと当たり前の説ですよ。
 昔読んだのでは、宇宙人に拉致されて記憶を吹き込まれていたとか(笑)、タイムスリップしてきた現代人だったとか、ありがちなところでは女性だった(これは上杉謙信が有名ですね)とか、本人は早く死んじゃって影武者数人がよってたかって「チーム信長」を作ってたとか。まぁイロイロあります。
 当時では常識はずれという言葉でもあらわせないくらいぶっ飛んだヒトですからねぇ。絶対のタブーをいくつもやぶってるし。
 だからかなり突飛な理由でも納得できちゃいますね。

 司馬先生は、僕は好きだけれどタマにダメなときがあるかな。なんちゅうか地の文の中に作者が出てきちゃう時があるんだよね。これは物語でしょ? 作者は黙っててよ。という時はある。

 時代講談口調では、だれかウマイ人がいたんだけれどなー。ちょっと思い出せません。古いのだと式亭三馬の文章とか馬琴の『南総里見八犬伝』とかはリズムがいい感じだけれど……古すぎますね(笑)。

Posted by: ろぷ | June 17, 2006 at 14:57

初めまして。既にお読みかも知れませんが、澁澤龍彦の『異端の肖像』にあるヘリオガバルスへの記述が纏まっていて読みやすかった覚えがあります。
『安徳天皇標海記』も『高丘親王航海記』のオマージュ的要素があるとのことなので、けっこう澁澤ファンなのかも知れませんね、宇月原氏。

Posted by: 烟月 | June 17, 2006 at 22:03

>ろぷさん
>一時期やたらめったら見たような気がするんだけれど
え?ホント?
Amazonで「戴冠せる」って検索してもこの2冊しかないけど、
でもライトノベルとかにありそうな気はする。
宇宙人拉致説、いいねえ(笑)
今ね、信長つながりで加藤廣の『信長の棺』を読んでる途中。
本能寺の変の後、信長はどこに消えたかという歴史ミステリなの。
小泉首相絶賛って奴です。
司馬先生が苦手というよりか、時代小説の文体がどうも苦手なんですよー。
でも、ミステリー仕立てだと何とか読めるの。
>『南総里見八犬伝』
千葉の話ですから興味あるんですよー。
子供の頃、子供用は読んだけど、原作は10冊もあるのねー。
もともとは98巻106冊!?
ひえー。
ろぷさんは原作、読んだの?

Posted by: LIN | June 18, 2006 at 10:10

>烟月さん
はじめまして。
といっても、私は勝手にリンクして拝見してました(・∀・;)
澁澤のことを検索していて、烟月さんとこにたどりついたのです。
You Tubeの澁澤の肉声、すごいですね。
私はへなちょこ読書家ですが、今後ともよろしくお願いします。
『異端の肖像』未読です。
教えていただきありがとうございます。
今度、読んでみます。
宇月原さんは澁澤、好きそうですよね。
でも青山二郎論も書いていらっしゃるし、
はてなキーワードによれば、
「ゾロアスター教から第三舞台まで、彼の繰り出す話題は尽きることなく」
らしいですから、今後が楽しみです。

Posted by: LIN | June 18, 2006 at 10:22

おおー、宇月原さんにハマりましたか。
この信長が両性具有という設定は面白かったですね!
色んなことに説明がついて、妙に説得力があって。
ただ、その辺りがものすごく面白かっただけに、
もっと戦国時代に的を絞って欲しかった気もしました。
細かい部分は忘れたんですが、好きなモチーフが満載なのに
決着のつけ方があまり好きじゃなくて、
あれれれれ?となってしまった覚えがあるんです。
ヒットラーが出てくる部分も今更?とか思っちゃって。
でもこれがデビュー作なんですものねー。
ファンタジーノベル大賞はやっぱり好きです。
「聚楽―太閤の錬金窟」の感想も楽しみにしてますね。

ろぷさんが書いてらっしゃるのは、アルトナン・アルトーの著作の
「ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト」かと。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4560070806/
どんなのか読んでみたいと思いつつ、なかなか手が出せてません。

Posted by: 四季 | June 18, 2006 at 20:15

>ろぷさんは原作、読んだの?

 一応ね。
 なにぶん時代が違うので熟読というところまでは達していないけれど、まぁそれなりに楽しめたよん。目で読んでも耳で聞いても良いリズムで上質のエンタメを作っちゃう才能ってすごいッス。
 現代の時代小説ってそのあたりの二番煎じだからツライのかもね。いちど本物に触れるとイイ感じだよ。

 それにしても約百巻だもんねー(笑)。数字を聞くと尻込みしちゃうかも。
 でもね。
 あの時代の読み物(読本(とくほん)っていうんだっけかな?)って、一冊のボリュームがとっても少ないのよ。ちょうど現代のマンガの一話ずつが一巻になってる感じなのね。だからわりとサクサク読めるよ。
 それに『八犬伝』は深読みすればいろいろ宗教的なウンチクのある話だったりもします。なぜ「八」なのか。なぜ「智」や「仁」のタマなのか。なぜ犬なのか……。
 んまご自分で調べてくださいまいし。


>四季さん
 僕も読んだことはないのです。
 やたらと目に付くタイトルって、逆に敬遠しちゃって……。だって黙っててもどこかの書評家センセーがウンチクを語ってそうだもんね。

Posted by: ろぷ | June 19, 2006 at 09:14

>四季さん
>戦国時代に的を絞って欲しかった
おお、私は逆に、ドイツの話と混ざっているところが好きです。
もろ時代小説というのが苦手なもので…(・∀・;)
でも四季さんの感想も、わかるような気がします。
ナチスの話は「出た!ロンギヌス!」って感じで(笑)
『鳥類学者のファンタジア』を読んどいてよかった、って思いました。
雪斎、武田信玄、上杉謙信の視点で書かれている章があるけれど
あそこも短いながらもよく書けてるなあと思いましたよ。
ラノベにならないぎりぎりの線を守っているところも好みでした。
>ファンタジーノベル大賞はやっぱり好きです
ねー、本屋大賞なんかに比べると、あまり話題にならないけれど、
あの賞はなかなかですよね。
>「ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト」かと。
ろぷさんが「元祖は『ヘリオガルバス~』なのかな?」と書いていらしたので
この2冊の他にもあるのかなあと思ったのですが…
でも私も、このタイトル、この2冊に関係なく、どこかで聞いたような気もするんですよねえ。

Posted by: LIN | June 19, 2006 at 10:35

>ろぷさん
うわっ、八犬伝、全巻、読んだんだ!すげ。
確か、ろぷさんは源氏物語も読んでたよね?
古典を読んでいて、偉いなあ。
>二番煎じ
それはあるねー。
ラノベなんて、同人誌によくある二次創作っぽいもんねー。
最近、思うけれど、現代小説が薄っぺらなのは、
著者に教養がないからだと思うよー。
彼らに『レ・ミゼラブル』について聞いたら、
「新しくできたレストランですか?」とかいうんだよ、きっと。
その点、ろぷさんは完ぺきだね。
>自分で調べてくださいまいし
原典に当たらなくちゃいかんとは思うのだけど、古典の教養がなくて(・∀・;)
ちゃんと、学生時代に、古典、勉強しとくんだった。

Posted by: LIN | June 19, 2006 at 10:43

LINさん、おはようございます~♪

え?
ヘリオガバルスと信長ですか!?
利休への執拗なからみ方を考えるとなきにしもあらず。なのかしら。
おもしろそうですね。
ちなみに、澁澤「異端の肖像」では、ヘリオガバルスは、あまり好みではなかったです。
大体、信長、嫌いだし・・・
好みはやっぱ、ルードヴィヒ二世と、サン・ジュストです。
って、私の好みなんか聞いちゃいないよ~ですね。^^

それにしても、この「宇月原 晴明」って、名前がすごいですね。
「雨月物語と安倍晴明のハネムーンや~」のようです。(ヒコマロ風でお願いします。笑)
ライトノベル作家までいたらないギリギリな感じがします。
いやいや、ノーチェックだったので、読んでみます。ファンタジー大好きだし。おもしろそうっ!

Posted by: pico | June 20, 2006 at 08:32

>picoさん
おはようございます~♪
picoさんは信長嫌いでしたか。
私は好きでも嫌いでもないんだけれど、
秀吉や家康のずるさに比べたら、信長は純粋だったのかなあとは思いますが…
それともただのわがまま!?
信長がお好きじゃなかったら、宇月原晴明さん、『安徳天皇漂海記』をお読みになるといいですよー。
あの『高丘親王航海記』の影響を受けている作品です。
私の感想です。↓
http://linlinlin.cocolog-nifty.com/lin/2006/06/by__c0f5.html
>ルードヴィヒ二世と、サン・ジュスト
西洋史の教養がないものですから、全然、知らなかったです(;´Д`)
ヘリオガバルスも、この本、読むまで知らなかったの~。
Mlle.Cさんやワルツさんやpicoさんが、いつも、西洋史の話でもりあがっているのを
うらまやしく拝見してるですよー。
なんで私だけ、わかんないのーっ_| ̄|○
と、今、サン・ジュストについて検索して思ったのですが、
学生時代、少女漫画をマジメに読んだかどうかって大きい?
私は、あまりちゃんと読んでこなかったので。
今から、読もうかな…
学生時代、やりなおしたい…くすん。
>雨月物語と安倍晴明のハネムーンや~…ヒコマロ風
ウケました(≧∇≦)ノ彡
今、ヒコマロ風、はやってますよね。
このあいだ、「天丼の梅雨明け宣言や~」っていってました。
カラッと揚がってるからですって(笑)

Posted by: LIN | June 20, 2006 at 10:33

The comments to this entry are closed.

« 『見えない都市』byイタロ・カルヴィーノ | Main | 『秘密結社の手帖』by澁澤龍彦 »