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June 12, 2006

『東方旅行記』byJ・マンデヴィル

東方旅行記東方旅行記
J・マンデヴィル

平凡社 1964-05
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マンデヴィルはほら吹きで、
他人の本を切り貼りして、
行ったこともない国をさも見てきたかのように書いているに過ぎないとか
そもそもマンデヴィルという人物は存在せず、
何人かの偽作者が書き綴ったものだとか
いろいろいわれている『東方旅行記』
overQさんがこちらの記事で紹介されてました。
overQさんによれば、
この『東方旅行記』
ユルスナール『東方綺譚』
カルヴィーノ『マルコ・ポーロの見えない都市』
渋澤龍彦『高丘親王航海記』
これらは「連続して読むと、もう帰って来れない気のする本たち」
なのだそうです。
ちなみに私、澁澤は読み終わり、カルヴィーノは読書中で、
ユルスナールはすでに買ってあり待機させてます。

「そんな、バカな」と思わず笑ってしまうような記述も多いですが
もちろん、私がその時代の人間だったら、笑えなかったはず。
今は、すぐ、ウルルンが取材に行っちゃいますから、
秘境も何もあったもんじゃないですが、
東の果てには暗黒が広がっていると信じられた時代って
いいですよねえ。

あ、こんな本があった。

コロンブスをペテンにかけた男―騎士ジョン・マンデヴィルの謎コロンブスをペテンにかけた男―騎士ジョン・マンデヴィルの謎
ジャイルズ ミルトン Giles Milton 岸本 完司

中央公論新社 2000-03
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買っちゃおう。
トンデモ本じゃないといいんだけど…(;´Д`)

※『東方旅行記』は新刊では手に入りません。
古書店でさがしてください。

<関連記事>
『見えない都市』byイタロ・カルヴィーノ
古代史にはまってます~『高丘親王航海記』など~

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Comments

この本の記事を書いて以降、オリエントについての考えはもう少し深まりましたヽ(´ー`)ノ

たとえば。
マルコ・ポーロ…実在しません(笑)
マン・デヴィルとおんなじようなものらしいんです。
マルコ・ポーロという人物は、たしかにヴェネチィアに残る遺産目録に記載されているのですが、その人はおそらく中国に行ってない(´ヘ`;)
「見聞録」は、オリエント世界に関する当時のいろんな情報を寄せ集めたものらしいです。
だから、非常に正確なところと、わけわからんところが混在していますw
写本の時代からはじまって、膨大な異本があり、しかし「原本」は見当たらない。
マルコ・ポーロは、架空の人物なんです(;・∀・)

ヨーロッパが世界の辺境だった時代。
富は、物も知識も人物も、アジアにあった。
地政学的理由で、アジアの富がときどきヨーロッパに流入します。
そのたびヨーロッパは栄え、途絶えると衰弱する…というのが世界史の基本形みたい。

そもそもキリスト教も、地中海より東、つまりアジア生まれ。仏教やゾロアスターなんかと、たぶん親縁性をもっている。
アレキサンダーは、東に遠征する。つまり、富は東にしかないから、西方面には興味がない。ヨーロッパは蛮族の土地(笑)
ローマ帝国も、アジアに深く食い入ってるとき、繁栄します。
ルネサンスは、イスラムの繁栄の余波として生じたもの。

マン・デヴィルの本も、中心にあるのは「オリエント世界に、本物のキリスト教国が存在する」という伝説。
キリスト教のネストリウス派(中国に行って景教になる)なんかの話が、伝説化されたもののようですが、
「アジアに行けば本物がある!」という、貧乏くさいヨーロッパの憧れが、よく表れています(そこまで言うと怒られるけどw)。

ヨーロッパが世界の中心になるのは、18世紀以降。
喜望峰をぐるっとめぐり、アジアの富を効率的に奪うシステムができてから。
そして、ヨーロッパが中心だった時代は、もう終りつつあります。
世界史も、研究者のレベルでは、アジアのほうから見るような、ユーラシア史観が支配的になりつつあるそうです。
ダヴィンチ・コードみたいなベストセラーが現れるのも、この流れがおおもとにあるんでしょうね。

国家を領土としてじゃなく、道として見出すような人々がいた。
多国語を母国語とし、混血で、商人で。ユーラシア大陸を行ったり来たりしてる連中。
彼らの情報が断片的に伝わって、「見聞録」やマン・デヴィルになる。
興味深いのは、現在、世界経済で主役になりつつあるのも、その手の人々のように見えるということ。
ユーラシアン・コスモポリタン。
これは大昔の話じゃなくて、今の話なのかもしれないのです。

Posted by: overQ | June 16, 2006 at 12:48

訂正(笑)
なんでか、マンデヴィルを、マン・デヴィルと書いていますね。
なぜだろう…自分でも謎です。
どういう意味があるのだろう(;・∀・)
デビルを強調したいのでしょうか。。

Posted by: overQ | June 16, 2006 at 19:12

>overQさん
あれ?「マンデヴィルはデヴィルマンだ」って書いてたの、overQさんでしたっけ?
だから、思わずマン・デヴィルと書いてしまったのでは?
おお、マルコ・ポーロも実在しないんですね。
でも、そんな怪しげな本が広まるほど、当時のヨーロッパでは
アジアへの憧れがあったんでしょうね。
>ヨーロッパが中心だった時代は、もう終りつつあります
昨日もTVニュースで、アメリカ中心じゃない国際社会を作ろうという動きがあるって
いってました。
時代はユーラシア!?
ってことは、私たち、フランス語やってる場合じゃないですね(笑)

Posted by: LIN | June 17, 2006 at 09:50

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