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June 09, 2006

『安徳天皇漂海記』by宇月原晴明

安徳天皇漂海記安徳天皇漂海記
宇月原 晴明

中央公論新社 2006-02
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今年の山本周五郎賞受賞作品。
タイトルからして、澁澤龍彦『高丘親王航海記』の
影響を受けているんだろうと思ってはいたが、
やはり、本の最後に
小林秀雄『実朝』、太宰治『右大臣実朝』、
澁澤龍彦『高丘親王航海記』、花田清輝『小説平家』
この四作品がなければ、本作は生まれえませんでした

と、書いてあった。

壇ノ浦の戦いで、祖母、平時子に抱かれ入水し
8才で崩御した悲劇の天皇、安徳天皇。
その御霊を鎮めようとする若き詩人の王、源実朝と
クビライ・カーンに巡遣使として仕えるマルコ・ポーロの
二人の視点から描いた幻想歴史小説。
一部と二部に分かれており、
一部が、源実朝編
二部が、マルコ・ポーロ編

正直、『高丘親王航海記』が大好きなので、
こんな風にいじらないでくれーと思った。
特に高丘親王が渡天したことについて
「つきせぬご無念とお恨みの炎を消したもうことがかなった」
というあたりがなあ。
高丘親王にそういうぎらぎらした気持ちは似合わない。
イメージを壊さないでくれー。

源実朝編は、私がそんなに鎌倉時代に興味がないせいもあるが
ちょっとだれて退屈かも。
マルコ・ポーロ編は、舞台が大モンゴルの首都、大都なので
異国情緒満載です。
南宋、最後の皇帝、衛王(8才)のエピソードはどれも泣けます(つД`)

中国の歴史をきちんと知りたいと思いました。
マルコ・ポーロの『東方見聞録』も読みたい。
あ、そういえば、以前、overQさんに紹介していただいた
マンデヴィルの『東方旅行記』が積んであったっけ。
読もうっと。

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Comments

宇月原さんって、澁澤龍彦お好きみたいですね。
ファンタジーノベル大賞受賞作「信長あるいは戴冠せるアンドロギュノス」のタイトルを見てもその趣味はヒシヒシと伝わって来ますが、あまつさえ作中に龍彦という名の少年を登場させたりしてます。
しかし『安徳天皇漂海記』の高丘親王はギラギラしてるのか…ちょっとやだな…。

Posted by: Mlle C | June 10, 2006 at 21:36

>Mlle.Cさん
今、改めて、自分の記事を読んで「どうして“ギラギラ”なんて書いたのかしら?」
と思ったのですが、そうそう、最後に高丘親王が登場するんですけれど、
そのお姿がギラギラしてるの(笑)
気持ちじゃなく、見た目がね。
もちろん、高丘親王に「つきせぬご無念とお恨み」があったという記述は
ギラギラとまではいかないけれど、違和感は感じました。
是非、Mlle.Cさんに読んでいただき、感想を伺いたいです。
南宋最後の皇帝、衛王はけなげで泣けます(つД`)
ネットでいろいろ検索しているうちに、土方巽の葬儀で
渋澤龍彦がスピーチをしている動画を見つけましたよん♪
http://www.youtube.com/watch?v=ziyXNddgyhE

Posted by: LIN | June 11, 2006 at 09:50

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