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July 27, 2006

『1984年』byジョージ・オーウェル

1984年1984年
ジョージ・オーウェル 新庄 哲夫

早川書房 1972-02
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1984年、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの
三つの超大国によって分割統治され、戦争が繰り返されていた。
主人公のウィンストン・スミスはオセアニアの住民であり
真理省に勤めている。
オセアニアでは、市民はたえず「テレスクリーン」と呼ばれる
双方向テレビジョンによって屋内・屋外を問わず、
あらゆる行動が当局によって監視されていた。
ウィンストンは、監視をかいくぐり、
禁止されていた日記をつけ始める。

最初、この作品をレイ・ブラッドベリの『華氏451』と勘違いしていて
「おかしいな、書物を焼くシーンがなかなか出てこないな」と
思ってたんですよね(・∀・;)

これは1946年に作者が書き始めたもので、
つまり1984年は作者にとって未来になるわけです。
その1984年からは20年も過ぎているし、
作者がこの作品を書くにあたり触発されたという
“スターリンのソヴィエト”も、もうないわけだけれど
「こんなの小説だけの世界、ばかばかしい」と思えないのは
やっぱり“あの国”のことを思い出さずにいられないからだろう。

第一部、第二部が、まったりとしているので
「あれ?このまま何も起きないのかな」と思うかもしれませんが
第三部、突如、変化が起きます。
怖いです。
あとがきに「執筆中、病のため9ヶ月、治療に専念したので
作品が2分されたような印象がある」
と書いてあるけど、三部以前、三部以後って事かしら?

自分メモ
P.258
戦争は各支配グループが自国内の民衆に対して
行なっているのである。
更にその戦争目的は、領土の征服を行なうのでも、
阻止するのでもなく、
ただ社会構造の温存を図るために過ぎぬ。

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Comments

>1984年、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの
>三つの超大国によって分割統治され、戦争が繰り返されていた。

 いいッスねぇ。僕はこういう設定が好きです♪
 それでほかにもそういう作品をチラチラ読んでるのですが(って言っても今思い出せるのは最近のガンダムと田中芳樹『銀河英雄伝説』の歴史設定くらいですけど(汗)、みんな日本が落ちぶれちゃうって予想してるのがちょっと残念。んま当の日本国民の僕も同じ予想をするけれどもさ。
 こういう世界設定の作品って、その時代の政治体制を風刺したものが多くていいですよね。いい作品はストーリ以外のそういう設定だけを読んでも面白かったりしますもんね。

 ふと思ったんですが、
 現在の“あの国”や"かの国"ね。小説にそのまま書いたとして、それを現代を知らない人が読んだら絶対「この小説はリアリティ皆無」とか言いそうですよね。そんな現代っていったい…… って気がしました。

Posted by: ろぷ | July 28, 2006 at 04:12

>ろぷさん
>僕はこういう設定が好きです♪
ああ、でも、これは派手な戦闘シーンとかなくて、
どちらかというと、静かめな小説です。
>日本が落ちぶれちゃう
この小説では日本は、イースタシアになります。
イースタシアは中国、モンゴル、チベットなどから構成されているんですが
おもしろいのが、そこに満州も入っているってことですね。
ジョージ・オーウェルは、1950年に死んでいるんですが、
もしかして満州が、太平洋戦争が終わったと同時に消滅したことを
知らなかったとか?
もしくは、戦前にその箇所を書いて、校正しそこねたか。
>それを現代を知らない人が読んだら
絶対「この小説はリアリティ皆無」とか言いそうですよね
うーん、それは逆じゃないかしら。
私は未読なんですが、村上龍の『半島を出よ』なんて
ミサイル実験があってからというものの、すごくリアルな話なはずなのに
ちょっと陳腐な感じがしない?
逆に半世紀前の小説である、この『1984年』の方が
あの国のことを考える時、リアリティを感じるんですよ
小説と時代設定は、ずれた方がいいのかも。

Posted by: LIN | July 28, 2006 at 09:30

ご無沙汰しております。

『1984』お読みになられましたか。
あの三部の怖さ、なんともいえませんよね。
個人的には「なんとかなるんじゃないか?」という思いを残しつつ
読ませてしまうところが気に入っています。

どこかに救いがあるかのように思わせる状況
 ↓
しかしことごとくその可能性が消される
 ↓
偉大なる兄弟へ・・・

こうして作り上げられた体制は
とても強固なモノだろうと思います。

もしご覧になってないのであれば、
『1984』を参考図書(笑)として
映画『未来世紀ブラジル』とハクスリーの『すばらしき新世界』を
併読されれば興味深いかもしれません。


Posted by: mow | July 28, 2006 at 11:20

>mowさん
うわあ、mowさん、コメントありがとうございます。
やっと読みました。
三部、怖いですね。
まったくないとはいいきれない話だから余計に怖い。
未来の世界がこんな風になったとしてもおかしくないですものね。
>『未来世紀ブラジル』
ちょっと検索してみたんですが、似てますね、設定が。
SF映画だと、今「AKIRA」がすごく見たいです。
『素晴らしき新世界』もおもしろそうですね。
SF小説って今、下火ですけど、今後の文学の可能性として
アリじゃないかなあと私は思ってます。
日本の最近の小説って、自分の身のまわりにある小さい世界を書いたものが多くて
ちょっとそういうのにうんざりしてます(・∀・;)

Posted by: LIN | July 29, 2006 at 09:06

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