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August 15, 2006

『異星の客』byR.A.ハインライン

異星の客異星の客
R.A.ハインライン

東京創元社 1969-02
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火星に到着したチャンピオン号は火星で一人の青年を発見する。
彼、ヴァレンタイン・マイケル・スミスは
25年前、エンヴォイ号による第1次火星探検隊の8人が
消息を絶った際の遺児で、火星人によって育てられた。
火星人の教育を受けて育ったヴァレンタイン・マイケル・スミスは
地球とは大きく異なる思想を持っていた。
地球に帰ったマイクはジュバル・ハーショー、ジリアン・ボードマン等の
友人・恋人を得る。
彼等との議論を通じて地球人を理解した彼は、
世界の全ての教会(Church of All World)という、
火星人の影響を色濃く受けた独自の宗教を開く。

新興宗教小説とでもいうのでしょうか?
文庫で778ページとかなり長い作品なのですが
当初80万語だったのを編集者に「長い」と文句を言われたので
削りに削って 22万語まで落とし、
さらに、現在、出版されているのは17万語に削ったものだそうです。

ヒッピーの経典とあがめられたっていうのは、わかるなあ(笑)
といっても、私のヒッピーに関する知識というのは
『ダーマ&グレッグ』のダーマの両親が全てだったりしますが…(;´Д`)

「この作品に登場するすべての人物、神々、天体は
空想の産物である」
と、冒頭に書いてあるのですが、
やはり最後のあのシーンは、
キリストの最後とだぶってしまいます。
まさに「最後の晩餐」じゃないですか。

「SFは苦手」とまったく読まない方もいらっしゃるようですが
それはもったいないです。
最近、私は、SFこそ、現代小説の生き残る道じゃないかとさえ思います。
ハインラインは他の作品も読んでみたいです。

火星語メモ
グロクする:認識する、水を飲む、愛する
水兄弟:自分と同じコップから水を飲んだ人物
和合生成:性行為
分裂する:死ぬ
汝は神なり:生けとし生けるものは全て神である

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Comments

ハインラインは・・ビッグネームですよね。私『宇宙の孤児』だけ読みました。・・そんなにおもしろくなかったのですが、うーむ、これはまだ序の口なのでしょうか。
宗教をネタとしたフィクションは、正直ちょっと苦手であります。リアルにある姿の方が、圧倒的に迫るものがあるからです。
でも、SFはやはり興味ありますね。LINさんの、SFへの力強い思い入れも目にして、ちょっとSF読んでみたいな・・と思います。

Posted by: shosen | August 15, 2006 at 21:27

 文学とSFに境界線はない。これが僕の意見。
 だから文学の生き残る道がSFってのは、意味としてはわかるッス。ハインラインなんか思いっきりSFのレッテルが貼られているけれど、言ってること書いてることは文学だもんね。きちんと素直に読めば文学だとわかる。
 でも。「たかがSFが」といってマトモに読まずに頭っから否定されちゃったりもするんだよね。悲しいけれど。
 うーむ。この文学|SFの壁はいったい誰がつくったんだろうねぇ。まったく。

 ちまたに溢れる駄作SFどもにも少しの原因がある気がするけれども。
 駄作SFどもをどうにか虐殺し尽くす手段はないものか……
(過激発言)

 でもでも。
 本作は僕は未読だったりします。
 この際、家にあるハインライン本もあわせて再読すっかな。

Posted by: ろぷ | August 16, 2006 at 05:55

>shosenさん
お盆、お疲れさまです。
少しは、お忙しさから脱出されましたでしょうか?
>そんなにおもしろくなかった
正直、この『異星の客』もおもしろくてページをめくる手が止まらない
というわけではなく、3度ほど挫折しそうになりました。
でも、確実に何かが私の中に残ったと思います。
>宗教をネタとしたフィクション
フィクションではあるのですが、かなりリアリティがありましたよ。
読んでいる時、最近、話題の韓国の某宗教団体のことが頭をよぎりました。
ラストは自分が、キリストの一使徒になった気分でした。
SFといえば、Amazonで、『ダーク・タワー』もSFに分類されていました。
読んでみたい気もするのですが、スティーヴン・キングは怖そうだしなあと
ひるんでみたり…(;´Д`)
追伸
雑誌掲載の件、読みました。
でも、買おうと思いつつ、買いそびれてしまった~(;´Д`)
どんなことが書いてあったのでしょう?
気になる~

Posted by: LIN | August 16, 2006 at 09:08

>ろぷさん
>文学とSFに境界線はない
だよね~。
SF=宇宙もの=興味なし。
という考えはつまんないよね?
かくいう私も、つい最近までSFってスペースファンタジーの略だと思っていて
全部、宇宙ものなんだと思ってましたが…
ハヤカワも何でもかんでもあの青背表紙にしないで、
現代文学っぽいのは分けたらいいと思うな。
『タイタンの妖女』とか『ソラリスの陽のもとに』とか。
>駄作SFどもをどうにか虐殺
駄作はSFだけじゃないおー。
他のジャンルでも駄作は溢れてるおー。
それもあわせて虐殺してください(笑)
>家にあるハインライン本もあわせて再読
オススメあったら教えてね。

Posted by: LIN | August 16, 2006 at 09:17

LINさん、おっはようございま~す!
「異星の客」といえば、私の敬愛するデヴィッド・ボウイが影響をうけた小説。
中学の時に読んだのですが、難しくて何度も何度も読み返してました。
そして、ハインラインといえば、私は「夏への扉」♪
「未来はいずれにしよ過去にまさる。誰がなんといおうと、世界は日に日によくなりつつある」
あの胸のすくような気持ちは忘れられません。大好き!

え?SFって、文学の中のジャンルではないのですか?
と、非常にぼけかました発言ですみません。
音楽もすごくジャンルが細分化されてきてますが、よいものはよいわけで、だめなものはダメ。
乱暴なのですが、ジャンルなんてどうでもいいじゃんって思ったりです。(榎さん風♪)

キングは、よいですよ~。
人や真理とちゃんと向き合ってるので、怖さより刹那が際立ってます。

Posted by: pico | August 17, 2006 at 11:35

>picoさん
そうそう!デビッド・ボウイ!
この小説を映画化するという話は
彼主演ということではなかったでしたっけ?
>中学の時に読んだ
その年齢でトライすること自体がすごいですよ!
私なら読む前からきっとギブアップでした。
『夏への扉』も是非、読みたいなあ。
『異星の客』を薦めてくださったのはoverQさんなんですよ♪
SFは、文学の中のみそっかすって感じですよねー。
というか、SFという分類自体に問題ありだと思うなあ。
>キングは、よいですよ~。
今、『ダーク・タワー』は読みたいと思っているんですけど…
怖いのダメなので、ひるんでます(笑)
今日は一日、変な天気でした。
かーっと晴れたと思ったら、ざーっと雨が降ってきたり。
昨日はウチのマンションの廊下で、炭火でバーベキューをしている人が
いました!
なかなか勇気ある行動です(笑)
私も実はやってみたいんだけど、勇気がない。
ウチは、近所に消防署があるので、消防車が駆けつけてきたら
困るしとも思ったり。
でも炭火で焼くサンマがおいしいんですよね。
picoさんちはお庭があるから、炭火焼きがやれそうでいいなあ。

Posted by: LIN | August 17, 2006 at 17:48

こんにちは。
今日からR.A.ハインライン『夏への扉』を読み出したところなのです。
実はこれがSFということを知らなくて、
それどころかハインラインの名前も知らなくて、
図書館で見つけたときに、
文庫本の表紙に描かれている猫が可愛かったから借りたんです。
それが、大当たりでした。面白くてするする読めちゃいます。
読み終わるのはまだ先ですが、次もハインライン読もうかなと思っています。

Posted by: 菊花 | August 17, 2006 at 22:38

>菊花さん
『夏への扉』は未読ですが、いろんな方が「いいよー」と書いてらっしゃるので
私も期待しているのです。
菊花さんの感想、楽しみにしていますね♪
>描かれている猫
後ろ姿の猫ですね。
かわいいですよねー。
>次もハインライン読もうかな
記事を書いていて何ですが、
この『異星の客』はハインライン好きの人でも「苦手」と書いていらっしゃる方もいるので
ちょっと異質な作品かもしれません。
もし、読まれるようでしたら、そのあたりをご注意くださいませ。

Posted by: LIN | August 18, 2006 at 09:56

はじめまして。epiと申します。
「たら本企画」からお邪魔しました。
読まれた本、コンテンツ、ともに質・量が凄い。コメントもとっても丁寧で楽しく拝見しました。

>最近、私は、SFこそ、現代小説の生き残る道じゃないかとさえ思います。
同感です。SFがこの先、文学の中で占める重要さは増す一方だろうとわたしも思います。それは早川書房的なというより、バラードの『コカイン・ナイト』やウエルベックの『素粒子』のような人類の行き着く先を予言するという形でより顕著になってくるのではないかなあと思うのです。脳科学ももっと取り入れられてくるのではと思います。だんだんジャンルは解体されていくのかもしれません。

わたし自身は『夏への扉』も『火星年代記』もディックも全然理解できない理系の素質ゼロの人間なのですが、SFを楽しめないって、なんかすごい損している気がして悔しいです。

>ハヤカワも何でもかんでもあの青背表紙にしないで、
現代文学っぽいのは分けたらいいと思うな。
これも同感です。あと表紙とか、もっとなんていうか、お洒落っぽい感じ?にすればいいのにと思ってしまいます。

Posted by: epi | August 19, 2006 at 12:42

>ハヤカワも何でもかんでもあの青背表紙にしないで、
>現代文学っぽいのは分けたらいいと思うな。

 いや、むしろ分けるよりもすべてを同じ背表紙で統一しちゃえばいいと思う。出版社すら関係なくね。統一規格を作っちゃって、あいうえお又はABC順だけで全部の本をずらーっと並べちゃえばいいんだよ。
 『徒然草』や『夏への扉』や『魍魎の匣』や『アンナ・カレーニナ』や『緋色の研究』その他モロモロが同じ棚で同じ背表紙で並んでる光景を一度でいいから見てみたいと思わない? オールスター夢の共演みたいな棚をさ。

 世の中には、日本の古典しか読まない人もいれば現代ミステリーしか読まない人もいるしSFフェチもいる。そういう人が本屋に行ってもいつも同じ棚しか見ないじゃない。
 でもこうやればガチガチのロシアマニアが、ふと『徒然草』を手に取るようなこともおこるんじゃないかな。と思いまする。
 そこうしているうちに、読みもしないくせに「たかが○○が」というジャンルへの偏見も自然に消えちゃうんじゃないかな。
 たしかにクソ本を掴まされる確率も増えるかもしれないけれどね。でも、クソ本をゴミ箱に投げ込む権利をもってるのは、きっと読者だけだよ。

 んま。
 出版社各位が商売をするためには、細かいジャンル分けも必要なのかもしれないけれども。でも、それが広い読書の世界を細かい小さな世界に分けちゃってるのは悲しい限りだよね。

Posted by: ろぷ | August 19, 2006 at 15:04

ハインラインはいいですよね!
好きな作家さんがみなさんもオススメしてらっしゃる『夏への扉』を薦めてらっしゃってから読んだんですけど変なところで現在より古くてその「過去から見た未来像」がかなり面白かったです。
SFと言うと未来を描いた広大なスケールの戦争物などが多いんですけどむしろ未来を単なるツールとしたヒューマンストーリーを描いてらっしゃるのでSF嫌いな人にも是非薦めたいですね。
ハイラインの他にもアイザック・アシモフも良いですよ『鋼鉄都市』とかSFミステリの傑作なので機会があれば是非。

Posted by: 春夏冬二升五合 | August 19, 2006 at 18:11

偶然ですが、近頃SFをもっと読まなくちゃ、というか読みたいなと思っていたとこでした。
今までなぜか敬遠していたのですよ。根拠不明の苦手意識。
LINさんのおっしゃるところの「リアリティに欠ける」みたいな偏見があったのかもしれません。
でも、SFをよく読む人たちの話を聞くと、敢えて現実から離れた空間・時間を舞台にすることで
現実社会を抽象できる、現実をより客観的に表現できるという可能性があるようです。
SFの名作といわれている作品の多くは、大きな問題提起をしているものが多いみたいです。
↑ろくに読んでないから、人から教わったことばかり書いてますが(^^ゞ。
すでにコメントされてる方いますように、ディックやアシモフはすごくお勧めらしいですね。

Posted by: ねる | August 20, 2006 at 07:38

>epiさん
はじめまして♪
そして、たら本、ご参加くださったのですねー。
>ともに質・量が凄い。
恐縮です。
質はさておき、このブログも2年、やってますので、
数だけは多いかと…
ただ、本の話題より、雑談も多かったりして(笑)
>SFがこの先、文学の中で占める重要さは増す一方だろう
ですよね。
どうも、日本において、SFは味噌っかすというか
特殊分野というのか、いまひとつ認知されてませんが
epiさんのおっしゃる通り、バラードの『コカイン・ナイト』とか
単なるSFでは片付けられない作品も多いですよね。
SFというジャンルわけがいけないんじゃないかという気もします。
>SFを楽しめない
えー、でも読んでいらっしゃるわけだし、これだけSFに肯定的ということは
楽しんでいらっしゃるということではないでしょうか?
私も機械の細かい説明なんかは飛ばして読んだりします(・∀・;)
>お洒落っぽい感じ?
同感ですー。
いかにも宇宙っぽい表紙とかイラスト表紙はやめてほしいです。

Posted by: LIN | August 20, 2006 at 09:53

>ろぷさん
>出版社すら関係なくね。
それはまた、壮大な計画ですね(笑)
ろぷさんが、中古書店をやってさあ、
で、すべての本にオリジナルカバーをかけてしまうというのは
どうでしょう?
>クソ本を掴まされる確率も増える
と思うよー。
それは私もイヤだなあ(;´Д`)
>ジャンルへの偏見
私、ライトノベルだけは絶対、ムリ。
会話も内容もマンガみたいなんだもん。
>小さな世界に分けちゃってる
確かに!
でも、その狭い世界のマニア的需要があるからこそ
生きのびている作家もいるのかも?

Posted by: LIN | August 20, 2006 at 10:03

>春夏冬二升五合さん
『夏への扉』はみなさん、いいっておっしゃってますね。
私も読もう読もうと思いつつ、
どうもタイムトリップものに苦手意識があって…(・∀・;)
でも機会を見て、是非、読みたいです。
>未来を単なるツールとしたヒューマンストーリー
そうそう、舞台が未来というだけであって、
現代の人間とさほど変わらないのですよね。
恋愛もするし、悩みもあるし。
むしろ、現代を舞台にした作品より、リアリティがあったりしますよね。
>アイザック・アシモフ
は、『黒後家蜘蛛の会』が大好物でございます(*^^*)
彼のSF作品はまだ読んだことがありません。
ご紹介ありがとうございます。
是非、読んでみたいです。

Posted by: LIN | August 20, 2006 at 10:10

>ねるさん
私もSFに詳しいわけではないのですが、
人にすすめられたものを何冊か読んでいるうちに
文学としての新しい可能性を感じました。
私がここ1、2年で読んだSFで印象に残っているのは
J.G.バラードの『コカイン・ナイト』
カート・ヴォネガット・ジュニアの『タイタンの妖女』
スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』
ジョージ・オーウェルの『1984年』
です。
この4冊はどれもオススメですよ。
スターウォーズのようなスペース・オペラ的SFとはまるで違う作品です。
(スター・ウォーズをけなすつもりはないですが
あれがSFのイメージを定着させてしまっているような気もします)
SFの中にはハズレもあると思うのですが
そのハズレを読んじゃうと「一生、読むまい」と思ってしまう方も
いるでしょうね。
もったいないですよね。
是非、ねるさんも読んでみてくださいね♪

Posted by: LIN | August 20, 2006 at 10:39

LINさん、こんにちは。
横から割りこんでしまいますが、
>ハヤカワも何でもかんでもあの青背表紙にしないで、
現代文学っぽいのは分けたらいいと思うな。
ふふ、僕はそういう石の中に玉が混じっているというのが、宝探しみたいで嫌いじゃないです。
SFの可能性ってこと、考えたことなかったから、LINさんの意見、新鮮です。僕は完全に文学とSFとの間に線引きしてました。普段は、純文学と大衆文学の間の線引きは、いつか消えてなくなって欲しいなあなんて思っていたのにも関わらず。
SFは老後の楽しみにとっておこうと思ったのですが、また読んでみたい気になりました。

Posted by: kyokyom | August 20, 2006 at 21:43

>kyokyomさん
>宝探しみたいで嫌いじゃない
確かに、書店の本棚というのはそういう楽しみもありますよね。
でも、現実には、私はあの青表紙コーナーにはほとんど近づかないです(;´Д`)
考えてみると、本って、ぱらぱらと見ただけでは
その中身のよしあしってなかなかわからないじゃないですか。
裏に解説が書いてあったとしても。
私はブログをやるようになって、みなさんにいろんな本を教えていただいて
世界がぐっと広がりましたが、ほとんどの人が、冒険できずにいるんじゃないか、
そんなことを思いました。
>SFの可能性
私もついこの間まで、SFはスペースファンタジーの略だと思っていたくらいで(笑)
うといんです。
でも、それこそブログ仲間のみなさんに紹介していただいた作品が
みんなすごくて。
上のねるさんのコメントにも書きましたが
J.G.バラードの『コカイン・ナイト』
カート・ヴォネガット・ジュニアの『タイタンの妖女』
スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』
ジョージ・オーウェルの『1984年』
あたりは、もうSFなんて狭いジャンルの話じゃないんです。
人生とは?人類とは?世界とは?
そんなことを考えさせられる作品でした。
kyokyomさんも是非、チャンレジしてみてね。

Posted by: LIN | August 21, 2006 at 09:02

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