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September 28, 2006

『象られた力』by飛浩隆

象られた力

1992年発表『デュオ』を最後に2002年までの10年間
作品の発表が途絶えていたSF作家。
が、知る人ぞ知るの作家のようです。
ne_sanさんに紹介していただきました。

「デュオ」
これはSFが苦手な人でも、全然、SFっぽくないので
いけます。
特に佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』が好きな方にオススメ。
主人公は双子の天才ピアニストです。
どんな双子かは読んでからのお楽しみ。

「呪界のほとり」
竜のファフナーと一緒に呪界(プリガドウーン)を旅する
回廊旅行者、“万丈”の物語。
ちょっと、短すぎて、これからってときに終わっちゃう感じ。
呪界をプリガドウーン、破片造形をぺブル・アーツと読ませたり
「モラル・マルチプレックスなる思考システム」とか
SF独特の単語がばんばん出てきちゃうとこがちょっと苦手。

「夜と泥の」
こちらもSF独特の世界観。
リットン&スティンズビー協会の関係機関で一緒に仕事をしていた
仲間の“蔡(ツァイ)”の星(200光年離れている!)に訪ねてきた“洪”。
「いいものを見せてやる」と蔡にいわれ、二人でナクーン河口にやってくる。
そこで見たものは…

ここに出てくるリットン&スティンズビー協会というのが
星をリースし、入植者をつのり、星の運営ノウハウを
オリエンテーションする会社なんですね。
その会社が次の作品「象られた力」でも重要な役割を
果たします。

「象られた力」
これもSF、SFしてますが、すごい作品でした。
百合洋(ユリウミ)という星が忽然と姿を消す。
シジックでは、百合洋のエンブレムがブームとなっていた。
それは、図形の一種で、ひとつひとつに抽象的な意味や寓意があり
一種の図形言語として機能するようになっていた。

この「象られた力」を読んで思いだしたがのが恩田陸の『光の帝国』。
見えない敵、一族、そして裏返される街。
「夜と泥の」に出てきたチェス盤とか「象られた力」の魔方陣とか、
『光の帝国』のオセロと重なるなあ。
作品としては「象られた力」の方が古いし、
もちろん、飛浩隆さんの作品の方が断然、すごいです。

飛さんは、この本と『グラン・ヴァカンス~廃園の天使(1)』しかなかったのですが
今月、『グラン・ヴァカンス~廃園の天使(1)』が文庫化され
来月は、『ラギッドガール』が発売されます。
この作家は買いですわよ、みなさま。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

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Comments

わ、偶然!
わたしもこの本、ついこの間読んだところです。
もう表題作の「デュオ」で引っ張り込まれちゃうんですよね。
『グラン・ヴァカンス』も借りてきて、今手元に積んでます♪

Posted by: ちょろいも | September 28, 2006 at 13:30

>ちょろいもさん
わあ、ちょろいもさんも読まれたんですね。
『デュオ』いいですよねー。
佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』や
皆川博子の『死の泉』を思い出させます。
といっても、この2作品は異形の双子ではないですが…。
あれ?『死の泉』は双子でさえなかったか?
ちょろいもさんは、『死の泉』は
ちょうど、今、読んでいらっしゃるとこかしら?
あ、そういえば、『暗黒館の殺人』にも出てきましたね。
異形の双子。
結局、違うんだけど(笑)
おー、『グランヴァカンス』すでにお手元ですか。
私もすぐにでも買って読みたいところなのですが
『邪魅の雫』もあるし、大忙しです~(笑)

Posted by: LIN | September 28, 2006 at 16:27

こんばんは。
「飛浩隆SFまつり」まで開催した甲斐がありました。

「象力」もいいですが、「グランヴァカンス」。
これは本当にイイですぞ。
断言しますが。

Posted by: ne_san | September 29, 2006 at 02:13

>ne_sanさん
読みました。
ご紹介、ありがとうございました。
『グラン・ヴァカンス』も早速、買いたいと思います。
今は手に入らないらしいのですが「神魂別冊 飛浩隆作品集」
ほしいですねえ。
http://www.trash-box.net/tobi.htm
ne_sanさんにいいましたっけ?
飛さんの日記があるのご存知でした?
http://d.hatena.ne.jp/TOBI/

Posted by: LIN | September 29, 2006 at 12:02

飛さんのサイトは、知っていましたよん。
作品集は、熱烈なファンの人が企画した限定本ですよね。
根強い人気のある人なんだなぁと感心します。
また、彼は推敲・改稿の鬼らしいので、
初出の形が読みたいってのも、ありますね。


Posted by: ne_san | September 30, 2006 at 00:22

>ne_sanさん
さすがne_sanさん、サイトも作品集もご存知でしたか。
グラン・ヴァカンスで人気が出て、過去作品も出版されるといいですよね。
彼の作品が掲載されているSFマガジンなら、手に入るかなあ…
>彼は推敲・改稿の鬼
高村薫みたい(笑)
それにしても彼は10年間、何をしていたのか
気になる。
ファンサイトには「沈黙を守っていたわけではない 怒(本人談)」
と書いてありましたが(笑)

Posted by: LIN | September 30, 2006 at 09:19

公務員さんですyo

Posted by: ne_san | September 30, 2006 at 14:08

>ne_sanさん
公務員さんでしたか!
専業作家だと、食べていかなくちゃいけないから
売れる本を書こうとしたり、編集者のいいなりになる恐れがあるので
何か仕事を持っているというのはいいですよね。
どうも島にお住まいのようですが、島の公務員というと
灯台守?(そもそも灯台守は公務員なのか!?)

Posted by: LIN | October 01, 2006 at 09:18

由緒正しい島流しの地らしいですyo

Posted by: ne_san | October 01, 2006 at 22:02

>ne_sanさん
ん?竹島?(笑)
飛行場があるらしいので、隠岐ですね。
出雲の神とSFをミックスしたような話を書いてほしいなあ。

Posted by: LIN | October 02, 2006 at 11:01

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