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October 03, 2006

『ラー』by高野史緒

ラー

三浦しをんの『三四郎はそれから門を出た』に

ピラミッドの謎を知りたいがためにタイムマシンを作った
ジェディ(ピラミッドおたくの中年男性)は、
古代エジプトの地で信じられないものを目撃する。
建設途中であるはずのピラミッドが、
なぜか「発掘中」でだったのだ。
古代エジプト人たちは、砂に埋もれたピラミッドを
必死に掘り返しているところである。

と紹介されていて、その設定にひかれ購入。

設定は好みなのですが、登場人物がベタ。
読んでいるうちに、少女漫画の絵が思い浮かんでしまう。
男なのに、おじさんなのに、瞳の中で星がキラキラしている少女漫画。
少女漫画で描かれるおじさんって、本物のおじさんとはかけ離れているでしょう?
主人公のジェディはそんな感じ。
それから、作者が「エジプトはこんなもんだろう」と考えているイメージが貧困。
風景のスケールが小さい。
王位更新の儀式セド祭なんて、町の盆踊りくらいのスケールしかない。
そのくせ、毒には「ウエケドウ」、心理には「マアト」と、冥界には「ドウアト」と
それっぽいふりがなをいっぱいつけているのがうざい。
「そう、判る。
視覚に頼らなくても、瞳を閉じると、その輝く印象は逆転し、
空はどこまでも軽く、遠く、淡い白の印象となり…」
といった、著者自身が自分の文章に酔ってしまっている描写もうざい。
そして、時間跳躍にタイムマシンを使うのがあまりに安易。
時間跳躍をどうやったら読者に不自然さを感じさせないかが
SF作家の腕の見せどころじゃないか!

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