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第28回「あなたの街が舞台となった本」 »

October 23, 2006

『グラン・ヴァカンス』by飛浩隆

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

仮想リゾート<夏の区界>。
南欧の港町を模したそこでは、
ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、
取り残されたAI(人工知能、ゲームキャラクターのようなもの)たちが
永遠に続く夏を過ごしていた。
だが、それは突如として終焉のときを迎える。

家庭の事情により、田舎の親戚の家へ預けられた主人公の「ぼく」(プレイヤー)が、
夏休みの一ヶ月間、昆虫採集や探検、人々との触れ合いをして行く
というゲームがあるんです。
このゲームにはバグがあって、それが起きると、
日記の日付が8月32日、33日…とありえない日数に進んで行き、
登場人物のグラフィックがおかしくなる、家にも外にも人が誰もいなくなる…
この小説を読んで、それを思い出しましたね。
そのゲーム「ぼくのなつやすみ」+変態エロゲーム+戦闘ゲームって感じ?(笑)
今後の展開を考えると、『指輪物語』的でもある。

そういうわけで、前半は、自分がゲームプレイヤーとなり
ゲーム画面を見ているような気分なので、
ジュールたちが箱庭でうろちょろしているようにしか見えず、
なかなか、はまれなかった。
(読むのをやめようとさえ思った)
そして、中間あたりの、うさぎのスーシーのエピソードが…がーん!!!
不快だ。
小説とはいえ、こういう話は好きじゃない。
私は小説といえども、非倫理的なことが許せない。
そういう理由で、評判がいいカズオ・イシグロの
『わたしを離さないで』が読めなかったりするんですが…
後半も、残虐なストーリーが次から次へと。
そもそも「鉱泉ホテル」の役割が不愉快なわけで。

でもシリーズ第2巻の『ラギッド・ガール』も読んでしまうと思う。
私は相当、不快ではありましたが、でもオススメ。

<関連記事>
『象られた力』by飛浩隆

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Comments

えーーーー残念。
私を離さないでは、よかったですよ~。
非論理的でもなかったように思います。
LINさんには、読んでほしいな~。

こちらの作品は未読なので、ノーコメントです。
うさぎ・・残虐・・というと想像がつきます。
私もだめだな。きっと。

Posted by: pico | October 23, 2006 at 18:24

>picoさん
そうなんですよねえ。
『私を離さないで』はとても評判がいいので気になるのですけれど
先日、週刊ブックレビューで、設定がわかってしまうような紹介があって
(「本を読む人々。」では「ちょっとあのネタばれはひどいんじゃないか」と
みなさん、おっしゃってました)
その設定はちょっときついなあと…
多分、読んでしまえば、そんなこと気にならないくらい、すばらしい作品なんでしょうけど。
>非論理的
非倫理的ですね。
残虐な殺人とかレイプとかダメなんですよー。
『私を離さないで』もね、小説であったとしても、
そういう役割の人間を考え出す時点でダメなんですよねえ。

Posted by: LIN | October 23, 2006 at 20:00

LINさん、こんにちはー。
あ、非倫理的なんですね。僕も非論理的かと思ってしまいました。
そうですか、LINさんは、そういった非倫理的な発想自体も許せないのですね。LINさんの中では辛らつさと健全さがちゃんとバランスよく存在してらっしゃるんだなあ。
僕も意味も無く話を盛り上げるために人物や生き物を殺してしまうのには、ゲンナリします。ゲンナリすると同時にしっかり心に刻みつけてしまう。そういう自分の闇、残酷さも見えてしまうのはいやです。うーむ、歪んでいますね。

Posted by: kyokyom | October 23, 2006 at 22:45

あらら。

ハヤカワJ版では帯に「グランギニョール」ってあったんで、
ショック態勢がとれてたんですけどね。

上のコメントやりとりで、論理と倫理の交錯がありましたが、
勘違いとはいえ、ちょっと興味深かったです。


Posted by: ne_san | October 24, 2006 at 00:06

あー。
またやってしまいました。読み違え・・・
すみません。すみません。
なるほど。非倫理的ですね。
私もそれなら、ダメです。
伊坂のアヒルと鴨がそうでした。

週刊ブックレビューはわかりませんが、
『私を離さないで』は、もっと大きな枠にあって、
あの設定がテーマではないので大丈夫かと。
テイストは『日の名残り』とかわらないように思います。
でもって、やっぱり、LINさんには、読んでほしい~です。

Posted by: pico | October 24, 2006 at 00:07

>kyokyomさん
>辛らつさと健全さがちゃんとバランスよく
自分でも辛らつではあると思うのですが、健全なのかなあ。
「見たくない」だけなのかもしれない。
残虐な人というのは存在しますし、残虐なゲームというのもあるわけだし。
>しっかり心に刻みつけてしまう
私もこの本「イヤだな」と思ったけど、強く記憶に刻まれたのは確かです。
kyokyomさんも、機会があれば是非。
『象られた力』もオススメです。

Posted by: LIN | October 24, 2006 at 09:08

>ne_sanさん
グラン・ギニョールってことばを知らなかったです。
「コメディと恐怖心をそそるドラマとを合わせた一種の恐怖劇」
なのですね。
なるほどー。
何かビミョーな感想になってますが、インパクトある作品であったことは確かです。
ところで、『ラギッド・ガール』は読まれました~?
飛さんの日記に
「めざましテレビのbookランキングで『ラギッド・ガール』が3位だった」
というコメントがあるのですが、本当なのでしょうか!?(笑)

Posted by: LIN | October 24, 2006 at 09:29

>picoさん
『アヒルと鴨~』はそうだって、以前、おっしゃってましたね。
私は伊坂さんの作品は『オーデュボンの祈り』しか読んでないのですが
あれも何か残酷なシーンが一箇所あったような気がする。
伊坂さんってすごく人気があるので、
私は誤読しているのかなあと自信がなくなるのですが、
『オーデュボンの祈り』は、よさがまったくわからなかったんですよねー。
>『私を離さないで』
picoさんにそこまでいわれると、そそられます~。
そうそう、カズオ・イシグロ脚本の映画が公開ですって?
http://www.wisepolicy.com/thewhitecountess/top.html
来月には『浮世の画家』が文庫化されて復刊ですね。

Posted by: LIN | October 24, 2006 at 09:42

「ラギッド・ガール」は密林から明日届く予定です。
めざましTVで三位?
リサーチはどこなんでしょうねー。
まぁ、SFファンの初動がきっちりフォローされたんですかね。

Posted by: ne_san | October 24, 2006 at 23:34

>ne_sanさん
>めざましTVで三位?
ねえ、本当なのでしょうか?
今、Amazonを見たら、「SF・ホラー・ファンタジー」ベスト100に
『ラギッド・ガール』の名前はなく、『象られた力』がかろうじて96位でしたが…
『ラギッド・ガール』、今日、届くんですね。
ne_sanさんの感想を楽しみにしています。

Posted by: LIN | October 25, 2006 at 09:39

『ラギッド・ガール』読了しました!
TB送っておきます。
早くも第三弾が読みたいです。

三位ってのは、本当みたいですね。
飛ブログでも、検証されてました。

Posted by: ne_san | October 29, 2006 at 00:35

>ne_sanさん
>三位ってのは、本当みたいですね。
これですね↓
http://www.book1st.net/blog/ranking/010/010020/
ブックファーストって渋谷にあるから、
ランキングも若者っぽいというか前衛的というかおもしろいです。
第三弾はどうなんですかねー。
飛さん、公務員やめて、作家に専念する気はないんですかね?
私も早く『ラギッド・ガール』読まねば。
でも、あまりに前作のショックが大きすぎて、まだ読めない…(つД`)

Posted by: LIN | October 29, 2006 at 11:18

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