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October 10, 2006

『神殺しの日本~反時代的密語』by梅原猛

神殺しの日本―反時代的密語

前半は朝日新聞で連載していた「反時代的蜜語」をまとめたもの。
後半は日本経済新聞で連載していた「私の履歴書」を加筆修正したもの。

「私の履歴書」はいわば自伝なので、
あまりおもしろくなさそうだなあと思っていたのが
これが予想に反して、おもしろかったのである。
夜更かしして一気読みしてしまった。
生後すぐにお母様を亡くされて、養父母に育てられたいきさつ、
京大哲学科で学んだ西洋哲学のこと、
本当は作家になりたかったこと、
京都市立芸術大学に就職してすぐ、
大学移転問題で京都市と闘ったこと。
どれも感動した。
梅原さんご自身は、「文章が下手だから作家はあきらめた」と
書いていらっしゃるが、いやいや、文章がうまいのである。
梅原さんは、10代の頃、川端康成に夢中になったそうだが、
その後、川端の方から、梅原さんの『地獄の思想』を読み
会いたいといってくるくらいですから。

前半の「反時代的蜜語」では
「仏教の道徳を中心にして、儒教の人間への信頼、
神道の自然崇拝、キリスト教の希望などを総合した
新しい道徳体系の樹立が必要不可欠である。」
と書かれている。
特に、道徳が大事だということを、梅原さんは繰り返しいっている。
アニミズム、柳田國男、西田哲学などにも触れている。
梅原さんにはまだ二つの大きな学問的課題があるという。
「どれだけの時間が残されているか」と書いていらっしゃるが
長生きして、がんがん、書いてほしい。

<読書メモ>
22
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教においては
殺していけないのは人間にかぎられ、
しかも同じ神を信じる人間のみである。
しかし仏教では、殺していけないものは人間ばかりか、
動物はもちろん植物をも含む生きとし生けるものすべてに及ぶ。

93
一神教は人間のみが神の似姿である理性をもつことによって
他の動植物よりはるかにすぐれていて、
動植物に対する生殺与奪の権を与えられているという考えをもつ。

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Comments

絶対に読みた~い!これからもず~っと書き続けて欲しい作家ナンバー1なんですが、もう80歳ですか。やっぱりこの梅原先生というのは西洋哲学の基礎が大きいと思います。また、この人の芸術性というのは、詩歌に重きをおいているところにあると考えます。こういうのをほんとの教養っていうんだなあ、と自分を省みると愕然としてしまいますが。

Posted by: Miwako | October 13, 2006 at 04:18

>Miwakoさん
この本は、梅原ファンなら、絶対、読むべしですよ。
梅原先生の著作も是非、コンプリートしたいと思いましたよ。
>この人の芸術性というのは、詩歌に重きをおいているところ
同感です。
私、まだ『水底の歌』が未読なので、読まなくちゃ。
>自分を省みると愕然としてしまいます
Miwakoさんは、今の自分に甘んじることなく、常に努力されているじゃないですか。
すばらしいと思いますよ。
私もそうありたいです。
私は「学習」ほどおもしろい遊びはないと思うのです。
哲学しかり、語学勉強しかり、詩歌しかり。
なぜ、みんな、もっとトライしないのかなあと不思議です。
はやりのドラマを見ても1時間、詩歌を研究しても1時間なら、
私は後者を選びたいです。

Posted by: LIN | October 13, 2006 at 11:00

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