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October 17, 2006

『ららら科學の子』by矢作俊彦

ららら科學の子

男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。
文化大革命、下放をへて帰還した。
「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。
携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、
変貌した街並をひたすら彷徨する。
1968年の「今」から未来世紀の東京へ…。(表紙より)

主人公が、30年ぶりの東京の街を見てまわり、
昔はこうだった、ああだったというのが
ノスタルジックで説教くさい。
バーで酔ったオヤジがいいそうな話。
ホテルの部屋から外出できなくなった主人公が、
借りてきてほしいと頼むビデオが
「博士の異常な愛情」「加山雄三が殺し屋を演じた映画」
「ヤアヤアヤア・ビートルズ」「気狂いピエロ」
だったりする。

乾いた文体は、片岡義男に似ていると思った。
“傑”というベトナム系中国人は、高村薫の『李歐』を思い出させた。

文化大革命の頃、中国がどういう状態だったかというあたりは
おもしろく読めた。
その中国と比較した日本はポリシーのないアホみたいな国に見えた。
いや、著者はわざと、そういう風に書いているのだろう。
この作品は「文学界」で連載されていたものであるが、
著者は米国における同時多発テロの影響で一時執筆を断念したという。
その時はどんな気持ちでいたのだろう?
やはり反米のままだったのだろうか?
帯に「映画化決定」と書いてあるが主演は誰だろう?

主人公が中国に密航する前に、妹にせがまれて買う本が
ケストナーの『点子ちゃんとアントン』である。
それで納得。
『スズキさんの休息と遍歴』が、道理で、ケストナーの『五月三十五日』に
似ているわけだ。
矢作さんはケストナー好きだったのですね。

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Comments

これは前から気になっていました。こんど文庫になって、やっと注文しました。邪道としかられそうですが、単行本は重くて(笑)苦手なのです・・。

科学の子つながりでは、『Pluto』を今出てる3巻買って一気読みしました。これはおもしろいです。浦沢直樹も巨大な人になってきましたね・・。

Posted by: shosen | October 17, 2006 at 22:48

おはようございます。
>「博士の異常な愛情」「加山雄三が殺し屋を演じた映画」
「ヤアヤアヤア・ビートルズ」「気狂いピエロ」
なかなか「それらしい」チョイスですね。でも、これらをビデオで見ようとするところが、
主人公の中途半端さを表しているような気がいたします。

Posted by: 多摩のいずみ | October 18, 2006 at 06:36

こんにちは。
私は結構楽しく読みました。題名から想像していた内容と全然違って最初はとまどいましたが・・・。とくに裏社会に興味津々。
>“傑”というベトナム系中国人は、高村薫の『李歐』を思い出させた。
読んでいてなんか気になるな・・・と思っていたのがLIN様の↑で発覚。そうです裏社会の場面がちょっと高村薫に似ていて (;´Д`)ハァハァしていたんですね。

Posted by: moji茶 | October 18, 2006 at 09:11

>shosenさん
私もです。
単行本はできることなら買いたくないです。
重いし、スペースは取るし。
だから、文庫化は嬉しいですよね。
この記事ではあまりよく書いてないように見えるかもしれませんが
なかなかおもしろかったですよー。
shosenさんの感想、楽しみにしています。
浦沢直樹、私も好き、好き。
「MATERキートン」を全巻そろえたいんですけど、
今は中古でしか手に入らないんですよねー。
「Pluto」、おもしろいですか!
そそられるなあ。

Posted by: LIN | October 18, 2006 at 09:12

>多摩のいずみさん
私は右と左の違いがどうもよくわからなかったのですが(笑)
これを読んで、ちょっとわかったような気がするんですけど
左は、反権力、反警察、反米みたいな感じなのでしょうか?
このビデオ4本は左っぽいチョイスなのですか?
>これらをビデオで見ようとする
説明不足でしたが、主人公は、1960年代に映画で見ているんだと思います。
で、ずっと中国にいて、30年ぶりに日本に帰ってきて、
時間を持てあましていたので、ビデオで見てみたという感じです。
多摩のいずみさんが、この本を読まれたら、どんな感想を持たれるのか
興味があります。

Posted by: LIN | October 18, 2006 at 09:21

>moji茶さん
おー、moji茶さんも読まれたんですね。
ねー、表紙のイメージと内容が全然、違いますよね。
私、もっといいお話っぽいのかと思ってました。
が、考えてみれば、矢作俊彦がいいお話を書くわけがなく…(笑)
moji茶さんは裏社会萌えなのですね(笑)
ね、ちょっと高村薫の作品に似たものを感じますよね?
『ららら~』は、さらーっと書いてあって、本当の裏社会は見せてないけど。
映画化するようですが、moji茶さんだったら、キャスティングはどんな風にしますか?(*^^*)

Posted by: LIN | October 18, 2006 at 09:31

キャスティングですか!?
うーん!悩みます。あまり役者さんの名前を知らないので・・。
主人公は色黒でやせ形の俳優さんがいいですよね。
色黒でやせ形だと岩城滉一さんしか出てこない・・・。(汗 そんなイメージじゃないんですが。温水さんと岩城さんを3で割った感じ。
志垣さんは、背の高い堂々としたおじさまにお願いしたいです。
50過ぎの俳優さんでそんな人いるのかな。
瀬島は阿藤快で。(断言)玄人ぽくて人間味もあふれてるそんな感じ。
義父は加藤剛で。(断言)一徹でインテリっぽい。
ジェイはもちろん演技はの美形俳優にお願いします。
あとどこかに佐々木蔵之介を入れてもらえると個人的に嬉しいです。

Posted by: moji茶 | October 19, 2006 at 08:51

>moji茶さん
うわーい、考えてくださったんですね。
岩城滉一ね、うんうん。
温水さんと割るんだー(笑)
それも2じゃなくて、3で割るというのがミソですね♪
>どこかに佐々木蔵之介
moji茶さんは、佐々木蔵之介さんがお好きなのですか!
私も劇団出身の俳優さんは全般的に好きです。
私は見てなかったんだけど、先シーズン、小劇団のドラマに出てましたよね?
下北沢サンデーズだっけ?
私は主役はどうしても矢作さん自身になってしまいます。
矢作さんってかっこいいんですよー。
映画のキャスティングがどうなるか楽しみですね。
(どうかジャニーズだけは入れないでほしい…
矢作さん自ら監督をする場合は、絶対、それはないと思うけど)

Posted by: LIN | October 19, 2006 at 10:19

こんにちは。
>左は、反権力、反警察、反米みたいな感じ
いえ、まったく違います。
右でも左でも、「反権力、反警察、反米」はいますし、そうでないのもいます。
一般に、「右」というと国家主義、民族主義、国粋主義、保守主義などの傾向が強く、
「左」は社会主義、共産主義、国際主義などを呼ぶことが多いです。
とはいえ、何が「右」で「左」かは、感覚的に把握するのは難しいと思います。
どちらが悪いとか、よいというものでもありません。どちらの陣営にも、
頭の良い人格にすぐれた人から、救いようのないダメな人までいろいろです。
同じ「左」でも、共産党系と一部の非共産党系はものすごく仲が悪いですし、
「右」同士でもよくケンカしたりする。
「右」と仲がいい「左」の人や団体もいますし、その逆も珍しくない。
中身や考えが伴わない、ポーズだけの「左」やポーズだけの「右」もいます。
取りとめのないコメントで、申し訳ありません。

Posted by: 多摩のいずみ | October 19, 2006 at 13:01

ああー!ジャニーズは確かに。
ジェイがジャニーズだったら泣きまつ。

佐々木蔵之助はいま気になってしょうがない俳優さんです。
一時期よくドラマにも出ていたのでTVストーカーしてたんですが。
またCMに出て欲しいなあ。

Posted by: moji茶 | October 20, 2006 at 08:07

>多摩のいずみさん
よく知らない人間からすると、
左も右も同じじゃんという気もしますが…(・∀・;)
たとえば、中国ですけど、社会主義の国なのだから“左”なんでしょうけど、
「中国が世界の中心なんだ」という中華思想は“右”っぽいし。
宗教の違いもそうですけれど、自分と違う意見を聞き入れないというのが
問題ですよね。
“左”にしても“右”にしても。

Posted by: LIN | October 20, 2006 at 10:03

>moji茶さん
どうも私はジャニーズが苦手で…
来年、山崎豊子さんの「華麗なる一族」がドラマ化されるんですけど
主役がキムタクってことで、早くもがっかり(つД`)
佐々木蔵之介さんは今シーズンは「僕の歩く道」にご出演ですね。
主役がジャニーズだけど(笑)
佐々木さんは、舞台が見てみたいような気がします。

Posted by: LIN | October 20, 2006 at 10:15

私は単行本が出てすぐに購入して読みました。とてもおもしろかったです。
彼らの世代というのはとかく斜に構えて力んでいるので(藤原伊織のように)、
矢作のように客体化してねたにできる書き手は貴重だと思います。
全共闘世代でこれを手放しで絶賛している人は、例外なく莫迦です。

彼らは、
文芸書というか哲学だとサルトルとマルクスで、
音楽はコルトレーン以降のジャズとウッドストック、
映画も、市川雷蔵や溝口は理解の範疇を越えるのでそれらの固有名詞にぐっときます。

矢作と同世代が、矢作の罠に気づかないところが絶妙です。

Posted by: kota | October 23, 2006 at 03:04

>kotaさん
そうなんですよね、これは笑って読む小説なんですよね。
実際、私も何箇所か、声をあげて笑いましたし。
でも、『スズキさんの休息と遍歴』を読んでなかったら
私もマジメに読んでしまったかも。
あとは『あ・じゃ・ぱん』なんですが、文庫化されないかなあ。
>コルトレーン以降のジャズ
私はジャズは好きなんだけど、ジャズオヤジがどうも苦手で(・∀・;)

Posted by: LIN | October 23, 2006 at 09:33

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