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May 07, 2007

『百万のマルコ』『邪馬台国はどこですか?』『占星術殺人事件』『明智小五郎対金田一耕助』『猫のゆりかご』

●『百万のマルコ』by柳広司
百万のマルコ

囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。
新入り囚人、マルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。
いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。
囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが……。

物語の形式としてはアシモフの『黒後家蜘蛛の会』を
思い浮かべてもらえればいいです。
ただ、謎かけ自体は一休さんの頓知みたいな感じ(笑)

●『邪馬台国はどこですか?』by鯨統一郎
邪馬台国はどこですか?

歴史ミステリ連作集。
カウンター席だけのバーに客が三人。
某私立大学文学部教授、専攻は日本史の三谷敦彦。
同じ大学の文学部助手、専攻は世界史の早乙女静香。
(ちょっと気が強い)
そして歴史研究家、宮田六郎。
宮田の爆弾発言に、静香が食ってかかって始まった歴史検証バトル。
回を追うごとに熱を帯びて……。
テーマは、ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、
光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活。

多分、本物の歴史学者が読んだら噴飯物なんだろうけれど、
こんな歴史の見方もあるってことで。
そもそも2千年前のことなんて、正解を出しようがないのだから
ロマンがあった方がいいよね。

●『占星術殺人事件』by島田荘司
占星術殺人事件

怪事件はひとりの画家の遺書から始まった。
その内容は、六人の処女から肉体各部をとり、星座に合わせて
新しい人体を合成するというもの。
画家は密室で殺された。
そして六人の若い女性の死体が次々と見つかる。

これ、すぐ、トリックがわかっちゃった。
ミステリーの名作といわれているけれど
御手洗が、ホームズやポワロのように天才肌じゃないのがつまんない。
(私は天才肌の探偵が好き)
京都で石岡と別れて、さんざん思わせぶりな行動を取って、
結局、何もつかめてなくて、
最後、石岡のヒントで「あっ!!!」でしょ?
この御手洗シリーズってもしかして石岡が主人公で
御手洗はサブキャラ?

●『明智小五郎対金田一耕助』by芦辺拓
明智小五郎対金田一耕助

古今東西の名探偵、パスティーシュ短編集。
登場するのは、明智小五郎、金田一耕助、フレンチ警部、
ブラウン神父、エラリー・クイーン…
ポワロは登場しないけれど、
「そしてオリエント急行から誰もいなくなった」なんていう作品もある。
『グラン・ギニョール城』もそうだったけれど、
芦辺さんってミステリーの雰囲気作りがとても上手。
昭和12年の大阪駅に明智小五郎が降り立ったシーンなんて
目に浮かぶようでしたよ。
「少年は怪人を夢見る」は両親に捨てられてしまった少年が
危険な目にあって、読者ははらはらさせられるのだけれど、
実はその少年は…
あっ!と驚かされます。
芦辺拓は今後も読んでいきたい作家さんです。

●『猫のゆりかご』byカート・ヴォネガット・ジュニア
猫のゆりかご

主人公のジョーナはライター。
原爆を発明したノーベル賞物理学者のハニカー博士に興味を持ち、
博士の息子に手紙を書く。
博士には娘が一人、息子が二人いたが、
一番目の息子は行方不明だった。
ある日、ジョーナはニューヨーク・サンデイ・タイムズの特別付録に
博士の一番目の息子、フランク・ハニカーの名前を見つける。
なんと、彼はサン・ロレンゾ共和国科学大臣になっていた。

「本を読む人々」というSNSで「励まし合って読書会。」という
みんなで毎月1冊、課題本を読んで語り合うというコミュニティがあり
今月の課題本がこの『猫のゆりかご』なのでした。
同じ著者の『タイタンの妖女』も好きだけど、これもすごくいい。
カート・ヴォネガットとは相性がいいのかも♪
『猫のゆりかご』ってタイトルがよくないなあ。
もっとのんびりしたストーリーを想像しちゃうもの。
英語では、“猫のゆりかご”って“あやとり”という意味なんです。
それにしたって、この物語にはもっとドラマチックなタイトルが似合うと思うな。

読書中はボリス・アクーニンの『リヴァイアサン号殺人事件』
リヴァイアサン号殺人事件
帯を高村薫が書いてますー、きゃー。

貴族の館での大量殺人。謎の財宝。
そして、豪華客船に怪しげな人々と名探偵が揃った。
さて、犯人は誰か─
とくれば、もう欠けているものは何もない。
優雅なグランド・ミステリーが現代ロシアで甦ったことを悦ぼう。
スリルもどんでん返しも、精巧な銀細工のような贅沢さである。

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Comments

ヴォネガット…
ヴォネガットらしい虚無感を満喫(?)したいなら「チャンピオンたちの朝食」
ヴォネガットには珍しい希望の光を観たいのならば「青ひげ」
 
… がおすすめです。
ちなみにわたしは、ヴォネガットにしては楽観的な「青ひげ」が好きです。

Posted by: ユイー | May 16, 2007 at 22:07

>ユイーさん
ヴォネガット作品の紹介、ありがとうございます。
『猫のゆりかご』は「本を読む人々。」の「励まし合って読書会」トピの
今月の課題本なんですよ。
私も「古今東西の名作を読もう」というコミュを立ち上げました。
http://moon.atpne.jp/booksns/page.php?p=c_home&target_c_commu_id=171
よかったらユイーさんものぞいてみてくださいね。

Posted by: LIN | May 17, 2007 at 09:21

なんだかスゴい事になっていますね「古今東西の名作を読もう」のコミュニティ…
わたしはもうあの場所から旅立とう(笑?)と思っていますし、陰ながらこっそり読ませてもらっています。 

Posted by: ユイー | May 17, 2007 at 23:11

>ユイーさん
お騒がせしております(笑)
え、やめちゃうんですか?
伺いたいこともあったので、メールしました。

Posted by: LIN | May 18, 2007 at 09:06

色々とその周辺を徘徊して来ました。
なかなか難しいですね…
 
わたしは、刊行後20年を経過していることなどの時間的な制限をつければ良いと思いましたよ、シンプルに。 名作と呼ばれる本は「時の洗礼」を受けてこそだと思うからです。

Posted by: ユイー | May 19, 2007 at 14:53

>ユイーさん
年代の定義を決めようかという動きもあったのですが
あまり定義でがんじがらめにしてほしくないという意見もあって…
むずかしいです…

Posted by: LIN | May 19, 2007 at 23:09

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