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July 28, 2007

『風の払暁 満州国演義1』『漱石の夏やすみ』『古代からの伝言 水漬くかばね』『パンプルムース家の犬』「ツイン・ピークス」

Dostoevsky
「本を読む人々。」というSNSで
私が管理人をしております「古今東西の名作を読もう」コミュの中に
「『カラマーゾフの兄弟』を読む!」というトピができました。
読みやすいと話題の光文社古典新訳文庫『カラマーゾフの兄弟』を、
この夏、みんなで読もうという企画です。
「この機会に私も」という方は是非、ご参加ください。
みんなでわいわい楽しみましょう。
カラマーゾフの兄弟1

●今週読んだ本
『風の払暁 満州国演義1』by船戸与一
風の払暁

麻布の名家に生まれながら、それぞれに異なる生き方を選んだ
敷島四兄弟。
奉天日本領事館の参事官を務める長男・太郎。
日本を捨てて満蒙の地で馬賊の長となった次郎。
奉天独立守備隊員として愛国心ゆえに
関東軍の策謀に関わってゆく三郎。
学生という立場に甘んじながら無政府主義に傾倒していく四郎。
未曾有のスケールで描かれる満州クロニクル。

今回は2巻までしか出版されていないが、全8巻になるという噂。
船戸与一の作品は初めて読んだ。
歴史背景の説明も細かいし文章も重厚で、私好みなのだが何か足りない。
登場人物の個性が弱いのではないだろうか。
小説というのは、リアリティを出そうとすると、
登場人物が現実に近づき過ぎてしまい、個性が弱くなるんだと思う。
だからといって、個性を出すために、大袈裟なキャラクター設定にすると
漫画のようになってしまう。
引き続き、2巻を読むかどうか迷うところ。

『漱石の夏やすみ』by高島俊男
漱石の夏やすみ (ちくま文庫 た 37-5)
先月、文庫化されました。
夏目漱石が23歳のときに作った漢文紀行「木屑録」を解説した書。
「木屑録」自体は22ページの短いものだが、
この本には「木屑録」の訳と解説以外に、
“漱石と子規”“「漢文」について”“日本人と文章”の3つのエッセイも
収録されている。
そもそも「木屑録」は正岡子規ひとりに見せるために書いたもので、
一種の手紙である。
漱石と子規は東京大学予備門の同級生であった。
「木屑録」では二人がふざけあう様(それも知的なふざけあい)が
垣間見え興味深い。
また、「漢文」について書かれたエッセイは目からウロコであった。
もともと漢詩は音読されていた。
しかし、9世紀の末に遣唐使が廃止されて以後、
音読できる人がいなくなってしまった。
つまりHere is a dogを「ヒア イズ ア ドッグ」と読めなくなった。
しかし暗誦はしなくてはならない。
そこで「ココニヒトツノイヌアリ」と声に出しながら
Here is a dogという原文を見て、おぼえる。
「ココニヒトツノイヌアリ」は日本語訳でもなければ、本来の発音でもない。
あくまでも漢詩を暗誦するための符牒である。
それが、私たちが授業で習った漢文ってやつなのである。
しかし、現代においては、漢詩を覚えたいなら、
中国語の発音がわかるのだから、中国語で覚えればいいわけで、
漢文で覚えるのは意味がないのである。
また、漢詩には複雑なルールがたくさんあることがわかった
この本で解説しているのは、ほんのさわりだけなので
漢詩について解説した本を買ってみようと思う。

『古代からの伝言 水漬くかばね』by八木荘司
古代からの伝言 水漬くかばね
1999年~2004年まで、産経新聞で連載されていたもので
「日本書紀」の世界をリアルに再現したシリーズ。
全7冊。
この巻では中臣鎌足と中大兄皇子の出会いから始まり、
大化の改新、白村江の戦いを経て、二人の死までを描く。
同じ歴史ものでも、上述の『風の払暁 満州国演義1』の登場人物が
あまり生き生きしてないのに対し
この作品は、中臣鎌足らが目の前にいるかのようである。
特に白村江の戦いでの秦田来津(はたのたくつ)の最期が泣ける。
白村江の戦いについては名前しか知らなかったのだが、
この作品を読んで、詳細がよくわかった。
このシリーズは引き続き、読んでいきます。

『パンプルムース家の犬』byマイケル・ボンド
パンプルムース家の犬
元パリ警視庁刑事で現在はグルメ・ガイドブックの覆面調査員の
パンプルムース氏と元警察犬のポムフリットを主人公にした
ミステリーシリーズ。
正直、そんなにおもしろいわけではないのだが、
なぜか何となく読んでしまう。

●今週見た映画
ツイン・ピークス

ツイン・ピークス  ゴールド・ボックス【10枚組】【初回限定生産】

アメリカ北西部の田舎町ツイン・ピークス。 犯罪とはおよそ無縁なこの町で学園祭の女王で町一番の人気者だった 17歳の少女ローラ・パーマーの遺体が、ビニールに包まれ湖畔で発見される。 同じ頃、州境を越えた線路の上で、別の少女ロネット・ポラスキーが 極度の緊張状態で歩いているところを保護される。 州をまたがる犯罪のおそれがあるためFBIが介入、 特別捜査官デイル・クーパーが町を訪れる。

11月にDVD-BOXが発売されるので、キャンペーンの一環なのか、
先週からLaLaTVで再放送が始まった。
私は、日本で初放送された1991年当時は一度も見ていない。
今回、初めて見る。
今週は、序章と1章を見た。
カイル・マクラクラン(SATCのトレイだ!)演じるデイル・クーパーが
ICレコーダーを使って、秘書のダイアンに何でもかんでも報告するのがツボ。
たとえば、クーパーが初めて、ツイン・ピークスにやってきた時の報告がこれ。

ダイアン 2月24日 11時半
カナダ国境から南に8キロ
木が実にたくさんある
かなりの田舎町だ
12度 曇り 予報では雨
6割も外れるのに給料を取るとはな
走行距離12万8千キロ
町で満タンにする
金額は後で報告
昼食はランプライター・インで6ドル31セント
ルイス・フォークの近くだ
ツナサンド チェリーパイ コーヒー
うまかった
特にパイは最高だった
これから会うのは──
トルーマン保安官
覚えやすい名だ
病院で待っている
線路で見つかった娘に会いに行く
保安官にいいモーテルを紹介してもらう
清潔で安いモーテルだ
もう一つ
木の名前を調べよう

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Comments

漢詩のきまり…ニシフドー、ニロクツイ、コヒョー…
ヒョーソクってのが、あって、白黒考えなきゃならなかった気が。
パズルっぽいっすよ、なんか。
漱石の漢詩はかなりヒョーソクがきちんとしているらしいです。

歌えないのに音符で書く人、って、切なくていいです。

Posted by: ne_san | July 28, 2007 at 11:35

>ne_sanさん
モルトラリー完走、おめでとうございます。
ニシフドー?ニロクツイ?コヒョー?
おお、二四不同、二六対、狐平ですね。
(買ったばかりの『漢詩入門』から検索)
漱石の漢詩は、よくできてるらしいですよね。
『漱石の夏やすみ』にも書いてありました。
ne_sanさんは、漱石、お好きでしたよね?
この本、オススメです。
自分でも漢詩を作りたくなりますよ~。

Posted by: LIN | July 28, 2007 at 20:53

光文社の『カラマーゾフの兄弟』は夏の課題図書で買いました。かなり読みやすいとのことなので楽しみにしてます。ユリシーズもLINさんと同様スタートしました。がんばらねば。
ツインピークスはリアルタイムで見ていました。深夜のあの奇妙な時間が忘れられませんね。最近のレンタルDVDで見直してます。もし『ツインピークス』が気に入ったら『マルホランドドライブ』もおすすめです。

Posted by: uota | July 29, 2007 at 18:56

>uotaさん
uotaさんも光文社の『カラマーゾフの兄弟』お買いになったのですねー。
上にも書きましたが、「古今東西の名作を読もう」コミュに、
みんなで一緒に読むトピがありますのでuotaさんも是非、ご参加くださいませ。
おおお、ユリシーズもですか?
同時進行?それはすごい!
とはいいながら、私もそうなりそうですが…(^^;
ユリシーズは、他の本も読みながらだらだら読んでいますので、まだ2巻です。
「ツイン・ピークス」は不思議な作品ですよね。
まだ第2回までしか見てないのですが、これからどうなっていくか楽しみです。
you tubeで「マルホランドドライブ」のtrailerを見ましたが、おもしろそうです。
今、「インランド・エンパイア」が公開中ですが、何か評判悪いみたいです(笑)

Posted by: LIN | July 29, 2007 at 21:08

余力があれば「古今東西の名作を読もう」コミュにも参加します。
デビッド・リンチは『ブルー・ベルベット』をロードショーで見て以来ずっとDVDです。映画館のよな暗いところでずっと見ていると変な気分になりますからね。

Posted by: uota | July 30, 2007 at 08:34

>uotaさん
>「古今東西の名作を読もう」コミュにも参加します。
お待ちしてますねー。
おお、「ブルー・ベルベット」もカイル・マクラクラン主演なのですね。
「ツイン・ピークス」の原型のようなものを感じます。
カイル・マクラクランってデビッド・リンチの映画がデビューだったんですね!
あまり評判よくないようですが「砂の惑星」見てみたい気も…
>暗いところでずっと見ていると変な気分になりますからね。
確かに(笑)
「ツイン・ピークス」第3話まで見ました。
悪夢っぽい感じがたまりません。

Posted by: LIN | July 30, 2007 at 10:31

うわぁ…

デヴィット・リンチは苦手なんです。
昔劇場で観た「ブルー・ヴェルベット」に怒ってから(笑)「マルホランド・ドライブ」に至るまで、どれもこれもが腹立たしいっつうか…

でも、「ツインピークス」には興味があります。 観てみたいなぁ。 また頭に来ちゃうかも知れないけど!(ぷ?)

Posted by: ユイー | July 31, 2007 at 01:44

>ユイーさん
デビッド・リンチは、苦手な方はホント、苦手みたいですよねー。
私も、この『ツイン・ピークス』が初デビッド・リンチなので
好きになるかどうかはまだわからない状態です。
ホラーがダメなので、『ブルー・ベルベット』や『マルホランド・ドライブ』は見ないかも…
『ツイン・ピークス』はずっと、セカンドシーズンが未発売だったのですが
この秋、BOXが発売になるようで(各シーズンごとの単体では発売済み)
それに合わせてCSでも放送がスタートしたようです。
多分、最後まで放送しないで、「続きはBOXで」ってなるんですよ、きっと(笑)
すでにレンタルは始まってますので、ユイーさんも見てみてね。

Posted by: LIN | July 31, 2007 at 08:41

大丈夫。「ブルー・ヴェルベット」も「マルホランド・ドライブ」もホラーじゃありませんから… 

ところで、恐怖は人間の根源的感情なんだし、そんなに嫌わないでホラーも楽しんでみて下さいませ。(ホラー好き)

Posted by: ユイー | July 31, 2007 at 21:30

>ユイーさん
「マルホランド・ドライブ」は近々、CSで放送されるみたいなので、
もしかしたら見るかも。
ユイーさんはホラー好きなのですね。
ホラーが苦手だと損するなあとは、私も思うのです。
特にスティーヴン・キングは読んでみたいんですけどねえ。
普段、態度がでかいので、なかなか信じてもらえないのですが、
かなりの怖がりで、遊園地のお化け屋敷でさえダメなのですよ。

Posted by: LIN | July 31, 2007 at 22:39

へへ。
熱狂的なデビッドリンチファンです。
彼の作品は、詩でありアートだと思います。
ツインピークス、懐かしいな~せつないな~。ぽぉー
あのテーマ曲を聴いただけで、とろけてしまいます。

ユイーさんおっしゃるように、ブルーヴェルベッドもマルホもホラーじゃありません。
マルホは特別に好きな作品です。
でも、ほとんど、人には薦めません。(笑)
先日、友人にDVDを借りるから、オススメ映画教えてーと言われて、あまりでてこなくて困りました。(笑)

Posted by: pico | August 09, 2007 at 18:01

あ、カラマーゾフ、私も読みまーす!

Posted by: pico | August 09, 2007 at 18:03

LINさん、こんにちは^^

キングはホラーじゃないものもあります。
『デッド・ゾーン』
『ゴールデン・ボーイ』
『刑務所のリタ・ヘイワース』
などありますが、これらは僕のお気に入りです^^
よく考えてみたら三つとも映画化されてました☆

Posted by: kyokyom | August 10, 2007 at 01:09

>picoさん
おはようございます♪
picoさんはデビッド・リンチがお好きなのですね。
フランソワ・オゾン監督の作品もそうですが、
現実と幻想の境界が曖昧なところが何ともいいですよね。
そうそう、フランソワ・オゾンといえば「8人の女たち」を見ました。
私はあれはちょっと…(^^;
本格ミステリは好きなんですが、あの作品はミュージカルシーンがあったり
何だかふざけているような感じがするのです。
オゾン監督は本格ミステリのパロディをねらったのでしょうか?
>オススメ映画教えてーと言われて、あまりでてこなくて
その気持ち、わかります。
「オススメの本、教えて~」といわれるのと一緒ですよね。
私はいい加減なので、結構、テキトーに紹介しちゃいますが。(←ひどい)
『カラマーゾフ』さくさく読めちゃいますよー。
私は『カラマーゾフ』だけだと飽きちゃうので他の本と並行読みしてます。
亀山訳以外だったら、並行読みなんて絶対、無理でした。
そのくらい読みやすいです。
picoさんの感想、楽しみにしてます。

Posted by: LIN | August 10, 2007 at 07:38

>kyokyomさん
「デッド・ゾーン」ってTVドラマ化もされてるんですね。
わわ、あの名作「ショーシャンクの空に」もキングが原作なんですね!!!
見てないけど…(^^;
あっ!kyokyomさんが紹介してくださった『刑務所のリタ・ヘイワース』が
「ショーシャンク~」の原作じゃないですか!
映画「ショーシャンク~」は見たいとずっと思ってるんですけどね。
ちょっとキングのイメージが変わりました。

Posted by: LIN | August 10, 2007 at 07:51

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