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August 31, 2007

『桜庭一樹読書日記』『去年ルノアールで』『ハイペリオンの没落』『陸行水行』「沢木耕太郎 真夏の夜の夢」

●今週、読んだ本
『桜庭一樹読書日記』by桜庭一樹
桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。

桜庭一樹が縦横無尽に読んで過ごした、疾風怒濤の1年間。
「Webミステリーズ!」で大好評を博した読書エッセイ。
本文への注釈や書誌データなどを盛り込んで単行本化。
冒頭部分と続編をコチラで読むことができます。

彼女の作品は『赤朽葉家の伝説』しか読んだことがなくて、
正直、イマイチだったのだが、
この本を読み、桜庭さん自身はすごく好きだと思った。
まず生活していくうえにおいて、何よりも読書に重点を置いていることに
好感が持てた。
(作家の日記なので、どこまで本当かはわからないが、
少なくとも桜庭さんに関しては真実なんじゃないかと思う)
桜庭さんの読書量は尋常じゃない。
読むスピードもかなり早い。
読書日記だからかもしれないが、本屋ばかり行っている。
そして桜庭さんの文章には本への愛情が溢れている。
ここで紹介されている本、すべてを読みたくなってしまう。
そんな1冊だった。
昨年出版された『桜庭一樹日記』も読んでみようかなあ。

『去年ルノアールで』byせきしろ
去年ルノアールで

私は今日もルノアールにいた。
客や店員の様子を眺めるうちに、「私」は妄想を暴走させ、
無益な1日を過ごしてしまう…。
無気力派文士の初エッセイ集。
『relax』連載に加筆・修正し、書き下ろしを足して書籍化。
現在、ドラマ化され、TV東京で放送中
秋にはDVD化も予定されている。

街から喫茶店がどんどん消えていっている。
代わりに増殖しているのが○ターバックスや○トールのような
コーヒーショップだ。
それらの店にいるのは、オシャレを気取る若者ばかりで
この本に登場する
“でかでかと黒豹がプリントされたトレーナーを着たおばさん”や
“昼寝するサラリーマン”や“競馬新聞を赤ペンでチェックするオヤジ”はいない。
コーヒーショップでは、みな、コーヒーを飲むとそそくさと立ち上がり、
次の目的地へと向かう。
あくまでも一時的な休憩だ。
しかし、喫茶店の客に次の目的地なんてない。
何の仕事をしているのかもわからない怪しげな常連が、
昼過ぎになると集まりだし、だらだらと株やゴルフの話をし続ける。
そういう場である喫茶店が消えつつあるということは、
日本という国が余裕のない国になりつつあるということだ。
私はコーヒーショップに、オシャレや日常の効率を強要するファシズムさえ感じる。
そういう意味で、ルノアールは「余裕のある国、日本」の最後の砦なのだ。
ルノアールには世間の流れに負けずがんばってもらいたいと思う。

『ハイペリオンの没落』byダン・シモンズ
ハイペリオンの没落〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

先週、読んだ『ハイペリオン』の続き。
正直、イマイチ…。
『ハイペリオン』は文学の匂いがする作品だったのだが、
『ハイペリオンの没落』は巡礼者VSシュライク、
連邦政府VS宇宙の蛮族アウスター、双方の戦闘シーンの連続であり、
スペースオペラそのもので娯楽作品としての要素が強い。
これは小説を読むより映画で見る方が楽しめるのでは?
(『ハイペリオン』は映画化の話が出ているようですが…)
連邦政府CEOであるグラッドストーンにお抱え画家として招かれた
M・セヴァーンが唯一、文学的な存在に感じた。
しかし、そもそも私が文学的、非文学的と感じる差異は何なんだろう?

『陸行水行』by松本清張
陸行水行 新装版 (文春文庫 ま 1-110 別冊黒い画集 2)

「形」「陸行水行」「寝敷き」「断線」の4作を収録
表題作である邪馬台国について書かれた「陸行水行」が読みたくて
買ったのだが、私が記憶している作品と違った。
邪馬台国について書かれたこれではない短編を読んだ記憶があるのだが…

●今週、聴いたラジオ
沢木耕太郎の「真夏の夜の夢」
TBSで8月19日の深夜1時~4時に放送された。
生放送。
私は録音しておいたものを今週、聴いた。
番組のメインは対談。(ただしこちらは録音)
ゲストは井上陽水と瀬戸内寂聴。
沢木さんの声を初めて聞いた。
語り口が優しく、すっと耳にはいってくる声である。
音楽もJAZZありPOPSありでとてもよかったのだけど、
曲目がわからなかったのが残念。
沢木さんの代表作『深夜特急』を映像化した「劇的紀行深夜特急」の主題歌である
陽水さんの「積み荷のない船」(いい曲です!)がかかってました。

●たら本
Tara37
たら本、第37回が始まっています。
どなたでも参加できるTB企画。
テーマに沿った本を紹介する記事を書き、
主催者さんや他の参加者にトラックバックやコメントをするという趣旨です。
詳細はコチラ
今回の主催は「本を読む女。」のざれこさん
お題は「犬にかまけて」です。
私は今回、紹介のみでお休みします。

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August 25, 2007

『ハイペリオン』『虐殺器官』「“虞美人草”殺人事件 漱石 百年の恋物語」

SFがマイブーム。
現代を表現するのには純文学よりSFの方が適しているのではないかと
最近、思う。

●今週、読んだ本
『ハイペリオン』byダン・シモンズ
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

時は28世紀、人類社会の辺境に位置する惑星ハイペリオン――
今まさに、この星にある謎の遺跡「時間の墓標」に封じられた、
時を超越する怪物シュライクが解きはなたれようとしていた。
その謎を解明すべく送りだされた7人の巡礼者が、
旅の途上で語る数奇な人生の物語とは……

巡礼者たちが語る7つのエピソードが、枠物語になっているのだが、
そのひとつひとつが1冊の本になるくらい、濃い。
この枠物語の中にシモンズはありとあらゆるスタイルとジャンルを
詰めこんでいる。
一人称、三人称、日記体、回想、夢想、仮想、カットバック…。
それらを駆使して描かれる年代記、一代記、戦記、叙事詩、宗教物語、
秘境探検、ホラー、ミステリー、ハードボイルド、アクション、ラブストーリー。
そしてすべての物語に共通するキーワード、「ハイペリオン」。
SFというよりは文学の匂いがする作品。
好きな順番は
1位 「司祭の物語」
何度か投げ出しそうになったのだが、ピクラ族を見つけたあたりから
ぐぐっとひきこまれた。
2位 「探偵の物語」
ハードボイルドは好きじゃないが、サイブリッドのジョニィがステキ♪
3位 「学者の物語」
ソルが連れていた赤ちゃんはそういうことだったかと納得。
4位 「領事の物語」
恋人と再会するたびに、○○している自分を見せるのは切ないだろうなあ。
5位 「詩人の物語」
詩人サイリーナスに一番、同情できないんだよねえ。
6位「兵士の物語」
戦闘シーンを文字で読むのってめんどくさい。

みなさんはどの巡礼者のエピソードが好きですか?

『虐殺器官』by伊藤計劃
虐殺器官

9・11以降、後進諸国では内戦や民族虐殺が凄まじい勢いで増加していた。
その背後でつねに囁かれる謎の米国人ジョン・ポールの存在。
はたしてジョン・ポールの目的とは?
そして大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?

タイトルがすごいので、読むのをためらっていたのだが、とうとう手を出す。
大森望はこれか『Self Reference Engine』が今年のベストSFといっている。
戦闘シーン、殺戮シーンだらけかと思っていたが、そうでもない。
ただ残酷なシーンはある。
登場人物が事あるごとに哲学的な話をするのだけれど、
今ひとつ、理解できなかった。
カフカやナイルパーチやルワンダの話題など、著者自身も消化しきれないまま、
エピソードを挿入しているような気もする。
でもおもしろい作品ではある。

●今週、見たTV番組
NHKハイビジョン特集 シリーズ恋物語
「“虞美人草”殺人事件 漱石 百年の恋物語」

「“虞美人草”のヒロイン藤尾を殺したのは誰か?」がテーマの対談。
メンバーは、小森陽一(文芸評論家)、小倉千加子(心理学者)、
島田雅彦(作家)、岩井志麻子(作家)、斉藤環(精神科医)。
温泉旅館で、食事をしつつ酒を飲みつつ、半日以上かけての討論が
深夜まで続く。
また、対談の間には「虞美人草」の朗読劇がはさまれる。
藤尾役は黒谷友香。
対談で光っていたのが小倉千加子さん。
島田雅彦がけちょんけちょんにやられていた(笑)。
岩井志麻子はひたすら「NHKだから私の得意なエロ話が披露できない~」と
騒いでいた。
小倉さんの文学論をもっと聞きたいなあと思ったら、
ちょうど「本を読む人々。」でTRKさんに紹介していただいた『男流文学論』が
上野千鶴子さんとの共著だった。
早速、買う。

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August 18, 2007

『国のない男』『高い城の男』「マルホランド・ドライブ」

お盆って何だか落ち着いて本が読めません。
それでも何とか2冊、読了。

●今週、読んだ本
『国のない男』byカート・ヴォネガット
国のない男
今年の4月に亡くなったカート・ヴォネガットの遺作エッセイ。
これを読んでいるうちに、地球からすべての生物がいなくなる可能性が
なくはないんだと気づき(それも人間のせいで)
それ以来、誰もいない地球がカラカラと回る映像が
頭から離れなくて困っている。
爆笑問題のニッポンの教養」という番組で、
井田茂教授が地球外生命がある可能性は10%くらいといっていた。
(ただし、SF映画に出てくるような宇宙人という形ではない)
もし、地球外生命がいなかった場合、地球上の生物がすべて滅んでしまったら、
この広い宇宙は何のために存在しているのだろう?

『高い城の男』byフィリップ・K・ディック
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『国のない男』を読んだら、猛烈にSFが読みたくなって、
とりあえず積んであったこの本を手に取る。

第二次世界大戦でもしドイツと日本が戦争に勝っていたら…という話。
アメリカは、大西洋側はドイツ、太平洋側は日本に占領されていた。
舞台は日本に占領されているサンフランシスコ。
上流階級である日本人を相手に戦前のアメリカの民芸品の店を営んでいる
ロバート・チルダン。
自分がユダヤ人であることを隠して民芸品の贋造を続けるフランク・フリンク。
フランクの元妻、ジュリアナ。
サンフランシスコ最大の貿易公団を代表する田上信輔。
スエーデンからプラスチック事業の交渉で田上のところにやってくるバイネス。
それぞれのエピソードが多視点で語られていく。

最後に全員のエピソードがカチッと合うのだろうと期待していたが
予想に反し、ぐずぐずに…
あの伏線らしきものたちは何だったんだ。
なぜ、これがヒューゴー賞?
占領軍である日本が押しつけたとされる易経(占い)。
その道具を誰もがが持っていて、何か重要事項を決定する際に必ず占い出し
右往左往するのもどうかと…
あとがきによれば、執筆当時、ディック自身が易経を日常の行動指針として
使いだしたらしい。
そういう人が、サイエンスフィクションを書くってどうなの?
サイエンスって科学でしょう?
ディックはもう読まない。

●今週、見た映画
「マルホランド・ドライブ」
マルホランド・ドライブ

ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。
ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、
留守宅へ忍び込む。
すると、そこは有名女優ルースの家だった。
そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。
ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、
すぐに見知らぬ他人であることを知った。
何も思い出せないと打ち明けるリタ。
手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。
ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを
買って出るのだが…。

好き好き。
特にクラブ・シレンシオのシーンがいい。
レストラン・ウインキーズの裏で、突然、何かが出てきたシーンとか、
ベティとダイアンが17号室にはいったシーンでは
心臓、止まりそうだったけど。
「シレンシオ!お静かに。楽団はいません。オーケストラも…
これは全部テープです。これらは何もかもまやかしです。」

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August 11, 2007

『ユリシーズの謎を歩く』

残暑お見舞い申しあげます。
って、全然、残暑などというやわな暑さじゃないけど…(・∀・;)

結城英雄著『ユリシーズの謎を歩く』を片手に『ユリシーズ』を読みつつ、
亀山訳『カラマーゾフの兄弟』やカート・ヴォネガット著『国のない男』を
並行読み中。

「ユリシーズ」の謎を歩くユリシーズ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)国のない男

『ユリシーズ』は、狭いダブリンの街で、同時多発的に大勢の人間が動いているので、
ダブリンの大きい地図を買って、マッピングしたくなる。
『ユリシーズ』を生涯かけて読み解くのはもしかしたら楽しいかもしれない。

亀山訳『カラマーゾフの兄弟』は確かに読みやすい。
が、ロシア文学研究者の沼野氏は亀山訳『カラマーゾフの兄弟』について
こういっている。

「問題は、ドストエフスキーの小説は様々な声が競い合う壮大な悲喜劇であり、妙な口癖が入り乱れた言語のカーニバルのような異様さがはたして翻訳で伝えられるかということだ。
少なくともそういった側面は、あまりに滑らかなリズムの新訳からは伝わってこない」

「もっとも、私は亀山訳を批判したいのではない。
そもそも、読みやすい口語体が平板になりがちなのは、
現代の日本語じたいが抱える貧しさの問題でもあるだろう」
毎日新聞 今週の本棚より)

よく「おもしろくてページをめくる手が止まりません」というが、
私はそういう読書は苦手である。
1ページ読んで、3ページもどるような読書が好きだ。
「おもしろくてページをめくる手が止まらないような読みやすい本」というのは
簡単にわかったような気になってしまう危険性がないだろうか?
「読みやすい本」を次から次へと何百冊と読むより、
「読みにくい本」を1年かけてじっくり読む方が私はいいなあ。

お盆休み用に
『マリナー氏の冒険譚』byP.G.ウッドハウス
『紅楼夢の殺人』by芦辺拓
『青年の完璧な幸福』by片岡義男
も待機させてある。
マリナー氏の冒険譚 (P・G・ウッドハウス選集 3)紅楼夢の殺人 (文春文庫 あ 45-1)片岡義男 短編小説集「青年の完璧な幸福」 (SWITCH LIBRARY)

でもきっと『ユリシーズ』と『カラマーゾフの兄弟』でいっぱいいっぱい(・∀・;)

みなさまも楽しい夏休みをお過ごしくださいね。

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August 04, 2007

『ヘンリ・ライクロフトの手記』『夜の来訪者』『海からの贈物』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』

●今週、気づいたこと
・今さらながら、味噌汁の具は2種類より3種類の方がうまい。
めんどうでも、料理は、いろいろな素材をちょっとずつ入れた方が
味が複雑になっておいしくなる。

・賞味期限の長い食品はまずい。

●今週読んだ本
『ヘンリ・ライクロフトの手記』byギッシング
ヘンリ・ライクロフトの私記

「およそ読書人と呼ばれる人の本棚にこれがないことはありえない」
と岡崎武志著『読書の腕前』には書いてある。
自分を“読書人”だとは思わないし、
そもそも何冊読めば“読書人”なの?という反発も感じるが、
好奇心に勝てず、読んでみた。
この本は、長い貧困生活ののち偶然知人の遺産を得て、
老境に至り初めて安息の日々を送ることが可能となった
ギッシングの友人であるヘンリ・ライクロフトという作家の手記
という体裁になっているが、ギッシングの創作である。
貧しく不遇な作家という意味で、ギッシング自身の人生と重なるわけだが、
ライクロフトと違うのは、ギッシングは遺産を手に入れることもなく、
貧困のまま死んでいったということだ。
作品の前半は、自然への賛歌、本を読む喜びに溢れている。
が、後半では、自分がかつてお金がなかった時の苦しみが繰り返され、
社会への批判が増える。
また自分は幸せだと無理に納得させようとしているようにも思える。
結局、ギッシングは作品の中でライクロフトにはなりきれなかったのではないか?
この本の訳者である平井氏は
「作者が自らの描く虚構の人物にいわば乗りうつっている」と解説に書いているが
私にはライクロフトが亡霊のように見える。
結局、読み終えてみると、私にはライクロフトの喜びよりも
ギッシングの哀しみの方が身に沁みた。

『夜の来訪者』byプリーストリー
夜の来訪者

戯曲。
舞台はある裕福な実業家の家庭。
娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れ、
ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、
全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。

短いので、2時間もあれば読める。
ラストはぞぞっとくる。
ミステリーでもあり、社会派小説でもある。
二重どんでん返しということで、クリスティの『検察側の証人』を
思い出させる。

『海からの贈物』byアン・モロウ・リンドバーグ
海からの贈物

女はいつも自分をこぼしている。
そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが
女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。
有名飛行家の妻として、そして自らも女性飛行家の草分けとして
活躍した著者が、離島に滞在し、女の幸せについて考える。

20代の時、仕事の関係で参加しなければならなかったある読書会で
この本を読んだことがある。
若くて傲慢で夜遊びばかりしていた私はこの本に書いてあることが
さっぱりわからなかった。
しかし、今は心にしみる。
「そうそう」とうなずいたり、「そうだったのか!」と得心したり。
男性が読んでも生きていくうえでのヒントになると思う。

本当の自分というものは、
「自分自身の領分で自分を知ること」によってしか得られない。
(本文中より)

『円朝芝居噺 夫婦幽霊』by辻原登
円朝芝居噺 夫婦幽霊
怪談ものを得意とし江戸から明治にかけて活躍した落語家、三遊亭円朝。
作者は、ふとしたことからその円朝の口演速記録を手に入れる。
解読してみると未発表作品である。
この本はそのいきさつと、その作品が掲載されているが…。

辛口の感想になる。
私の中では円朝といえば「芝浜」である。
元落研ではあるが、正直、怪談噺はよく知らない。
しかし、この「夫婦幽霊」はいかがなものか。
円朝の作品ということになっているが、
この本の中では最終的に
有名作家○○○○○と円朝の関係者○○○の創作であろうと
結論づけられている。
そうはいっても、夢を壊すようだが、著者である辻原さんの作であろう。
私はあまりデキのいい噺ではないと思う。
強欲な夫婦が3組、登場する。
多すぎである。
悪役ばかりだと悪役がひきたたない。
誰一人、同情できる人間がいないので、ぐっと来ない。
ホームズ役の佐久間さまがちょっとステキというくらいだろうか。
オチもきっちり作っていただきたかった。
また「円朝の作としてはイマイチではないか…」といわれた時の
保険なのか、「いやいや実は○○○○○と○○○の共作なんですよ」
としてあるあたりがずるい。

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