August 25, 2007

『ハイペリオン』『虐殺器官』「“虞美人草”殺人事件 漱石 百年の恋物語」

SFがマイブーム。
現代を表現するのには純文学よりSFの方が適しているのではないかと
最近、思う。

●今週、読んだ本
『ハイペリオン』byダン・シモンズ
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

時は28世紀、人類社会の辺境に位置する惑星ハイペリオン――
今まさに、この星にある謎の遺跡「時間の墓標」に封じられた、
時を超越する怪物シュライクが解きはなたれようとしていた。
その謎を解明すべく送りだされた7人の巡礼者が、
旅の途上で語る数奇な人生の物語とは……

巡礼者たちが語る7つのエピソードが、枠物語になっているのだが、
そのひとつひとつが1冊の本になるくらい、濃い。
この枠物語の中にシモンズはありとあらゆるスタイルとジャンルを
詰めこんでいる。
一人称、三人称、日記体、回想、夢想、仮想、カットバック…。
それらを駆使して描かれる年代記、一代記、戦記、叙事詩、宗教物語、
秘境探検、ホラー、ミステリー、ハードボイルド、アクション、ラブストーリー。
そしてすべての物語に共通するキーワード、「ハイペリオン」。
SFというよりは文学の匂いがする作品。
好きな順番は
1位 「司祭の物語」
何度か投げ出しそうになったのだが、ピクラ族を見つけたあたりから
ぐぐっとひきこまれた。
2位 「探偵の物語」
ハードボイルドは好きじゃないが、サイブリッドのジョニィがステキ♪
3位 「学者の物語」
ソルが連れていた赤ちゃんはそういうことだったかと納得。
4位 「領事の物語」
恋人と再会するたびに、○○している自分を見せるのは切ないだろうなあ。
5位 「詩人の物語」
詩人サイリーナスに一番、同情できないんだよねえ。
6位「兵士の物語」
戦闘シーンを文字で読むのってめんどくさい。

みなさんはどの巡礼者のエピソードが好きですか?

『虐殺器官』by伊藤計劃
虐殺器官

9・11以降、後進諸国では内戦や民族虐殺が凄まじい勢いで増加していた。
その背後でつねに囁かれる謎の米国人ジョン・ポールの存在。
はたしてジョン・ポールの目的とは?
そして大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?

タイトルがすごいので、読むのをためらっていたのだが、とうとう手を出す。
大森望はこれか『Self Reference Engine』が今年のベストSFといっている。
戦闘シーン、殺戮シーンだらけかと思っていたが、そうでもない。
ただ残酷なシーンはある。
登場人物が事あるごとに哲学的な話をするのだけれど、
今ひとつ、理解できなかった。
カフカやナイルパーチやルワンダの話題など、著者自身も消化しきれないまま、
エピソードを挿入しているような気もする。
でもおもしろい作品ではある。

●今週、見たTV番組
NHKハイビジョン特集 シリーズ恋物語
「“虞美人草”殺人事件 漱石 百年の恋物語」

「“虞美人草”のヒロイン藤尾を殺したのは誰か?」がテーマの対談。
メンバーは、小森陽一(文芸評論家)、小倉千加子(心理学者)、
島田雅彦(作家)、岩井志麻子(作家)、斉藤環(精神科医)。
温泉旅館で、食事をしつつ酒を飲みつつ、半日以上かけての討論が
深夜まで続く。
また、対談の間には「虞美人草」の朗読劇がはさまれる。
藤尾役は黒谷友香。
対談で光っていたのが小倉千加子さん。
島田雅彦がけちょんけちょんにやられていた(笑)。
岩井志麻子はひたすら「NHKだから私の得意なエロ話が披露できない~」と
騒いでいた。
小倉さんの文学論をもっと聞きたいなあと思ったら、
ちょうど「本を読む人々。」でTRKさんに紹介していただいた『男流文学論』が
上野千鶴子さんとの共著だった。
早速、買う。

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