September 22, 2007

『ゲーム的リアリズムの誕生』『カラマーゾフの兄弟』「かもめ食堂」

読書を趣味にしていると、ついつい本ばかり読んでしまう。
あいた時間ができると、ごく自然に本に手がのびる。
が、そういう生活をしていると、日々の暮らしが雑になるような気がする。
私だけかもしれないが…
早く本の続きを読みたいからと、食事を簡単に済ませちゃったり、
とにかく次から次へと本を読むので、ぼーっとする時間がなかったり…
料理とかピアノとか、読書以外の趣味ももっと広げていきたいと思う秋。

実は、以前、洋裁を習っていた。
でも、先生も生徒も年配の女性ばかりで、作ってらっしゃる服がおばさんっぽくて
わくわくしない。
私自身はできるだけ、流行のデザインを選んで作っていたつもりだけど
できあがりはいつも野暮ったかった。
結局、洋裁教室はやめてしまった。
「洋裁の雑誌に作りたいと思う服の型紙が掲載されてない」
「大きい生地店でも既製品で使われているような布が売ってない」
といったことも原因だったかもしれない。
ところが、最近、調べてみたら、今はインターネットで
立体裁断の型紙やかわいい生地を売る店がたくさんある。
ひさしぶりに創作意欲がくすぐられて、またやってみようかという気になってます。
そのうち、完成品をこのブログに掲載するかも!?

●今週、読んだ本
『カラマーゾフの兄弟』byドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

やっと読了。
やけに明るい読後感だった。
旧訳で感じた鬱々としたロシアはそこになく、
まるでイタリアが舞台であるかのような明るさだった。
翻訳者である亀山氏による解題をまだ読んでいないので
それを読んだら、また書きます。

『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』by東浩紀
ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2

『動物化するポストモダン』の続編。
Amazonのベストセラーランキングをながめていると、ライトノベルが多いなあと思う。
私はライトノベルを読んだことがないが、勝手にマンガみたいな小説と位置づけている。
マンガもほとんど読まない。
(「きょうの猫村さん」と「今日の早川さん」は持ってるけど)
ライトノベルやマンガを一般の小説よりやや下に見ているところがあるかもしれない。
しかしこの本を読む限り、ライトノベルやマンガは小説の未来形のようなのだ。
この本にこんなことが書いてある。
大塚(大塚英志のこと)は、純文学からミステリやSFまで含め、
ライトノベル以外の小説をすべて、現実を写生するものだと捉えている。
ミステリやSFは非現実的な事件を描くが、
それはあくまでも現実の写生を前提としたうえで、
そこに違和感をもちこむ手法だというのが、大塚の考えだ。
それに対して、ライトノベルは、アニメやコミックという世界の中に存在する
虚構を写生する点に特徴がある

小説が現実を写生したものであるということは今さらながら考えさせられた。
小説がいくら現実に近づけようとしたって、現実にはなれない。
私が日頃、感じている小説に対しての嘘っぽさというのはそういうことかもしれない。
一方、ライトノベルやアニメは、現実にはありえないデフォルメされた登場人物たちを
動かすことでそこに歪みが生まれおもしろい効果を与えるのかもしれない。
かえってリアリティが生まれる!?
最近、ドラマの原作にマンガがよく使われていて人気だが、
それもこのことに関係しているのだろうか。
この本については『動物化するポストモダン』を読んでから再考察したい。

~この本の作品論で取り上げられている作品~
『All You Nees Is Kill』by桜坂洋
「ONE」(ゲーム)
「Ever17」(ゲーム)
「ひぐらしのなく頃に」(ゲーム)
『九十九十九』by舞城王太郎

●今週、見た映画
「かもめ食堂」
かもめ食堂

群ようこが本作のために書き下ろした小説を
『バーバー吉野』の荻上直子監督が映画化。
サチエ(小林聡美)はヘルシンキで“かもめ食堂”を始めたものの客はゼロ。
ある日彼女は最初の客で日本かぶれの青年トンミ(ヤルッコ・ニエミ)に
ガッチャマンの歌詞を教えてくれと言われるが、出だししか思い出せない。
彼女は偶然本屋でミドリ(片桐はいり)を見かけ……。

全体の雰囲気やキャスティングはとてもよかったと思う。
が、私は原作である小説を読んだ時の方が、もっと感動した。
サチエ、ミドリ、マサコの3人が、それまでどうやって生きてきたのかが
映画ではあまり描かれていない。
サチエがどうして強くなってしまったのか、
天下りの会社で21年間、ぼんやり過ごしてしまった
ミドリの人生は何だったのか、
両親の面倒を見続けたマサコは幸せだったのか、
考えると、何だかとても切なくなった。
トンミ君も小説の方がおもしろかったような…
映画だけで原作を読んでいない方は、
小説の方も是非読んでみて。
かもめ食堂

●「ザ・シンプソンズMOVIE」のこと

近頃、アニメ映画というと、お笑いやらタレントやらが吹き替えをやり
派手に宣伝しているなあとは思っていた。
でもアニメ映画なんてあまり見ないので、影響はなかった。
しかし!
私の好きなアニメ「ザ・シンプソンズ」が映画化され、
その声優が所ジョージ、和田アキ子、田村淳、ベッキーだという。
すごい違和感…。
ぎりぎり、田村淳のバートはOKだが、
所ジョージのホーマーと、和田アキ子のマージはありえない!
(もともとの声優さんの声は上の画像をクリックすると聞けます)
ネットでも問題となっていて、署名運動も行われています。

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September 15, 2007

『今日の早川さん』『カラマーゾフの兄弟』

引き続き今週も、光文社刊、亀山訳の『カラマーゾフの兄弟』を
読んでいる。
今は4巻の第12編。
4巻にはいってから気持ちがのらずなかなか先にすすまない。

今後、発売予定で気になる本を下記にピックアップしてみた。
ノンフィクションばかり。
やはり私はそれほど小説が好きではないのかもしれない。

ここ数年、料理がうまくなりたいと思っているのだけれど、
なかなかそう簡単には上達しない。
昨日は40cmほどの金目鯛と格闘したがかなりの苦戦を強いられた。
キッチンの床が魚のウロコだらけ。
魚をじょうずにおろせるようになりたい。
味噌汁の具もワンパターンになりがちなので、
バリエーションを増やしたい。
この間、宮沢りえが味の素のCMで作っていた
小松菜とさつまいもの味噌汁」を作った。

ついでに他のシリーズも貼っておこうっと。
<ブタダイコン編>レシピはこちら

<つくねじゃが編>レシピはこちら

小松菜は栄養もあって本当においしい。
最近、私は青菜といえば、ほうれん草より小松菜だ。
新鮮な魚と野菜が手にはいる海沿いの田舎に住みたいなあ。

●今週、読んだ本
『今日の早川さん』by COCO
今日の早川さん

本好きの女の子たちの日常を描いて大人気のブログが、
大幅加筆、新作描き下ろしをくわえて書籍化。
SF者の早川さん、
ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、
ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん。
本好きの女の子たちの本と読書をめぐる日常のアレコレ。

詳しくはコチラ
元ブログはコチラ
私はマニアになれない薄っぺらな人間なので、
これほど夢中になれる趣味がある人たちを心からうらやましいと思う。

●9月、10月発売予定で気になる本たち

9/14 『カラマーゾフの兄弟続編を空想する』by亀山郁夫

9/20 『岩波文庫解説総目録』

9/26 『爆笑問題ニッポンの教養 現代の秘境は人間だった』by太田 光・田中 裕二・中沢 新一
TV番組の公式サイトはコチラ
今月の28日に90分スペシャル
「爆笑問題 VS 慶應義塾 2030の衝撃!ニッポンの未来を激論(仮)」が
放送されます。

10/6 『退屈論』by小谷野敦(文庫化)
『文藝2007年冬季号 特集:笙野頼子』

10/10 『梅原猛の授業 道徳』by梅原猛(文庫化)
『高村薫 時事発言集』
高村さんの新刊!嬉しい!

10/16『暗黒館の殺人』by綾辻行人(文庫化)
読んだのになぜか中身を忘れているので再購入の予定。

10/25『生首に聞いてみろ』by法月綸太郎(文庫化)
読んだのになぜか中身を忘れているので再購入の予定。

10/30『その名にちなんで』by ジュンパ・ラヒリ(文庫化)

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September 08, 2007

『あじあ号、吼えろ』『カラマーゾフの兄弟』

●今週、読んだ本
『あじあ号、吼えろ』by辻真先
あじあ号、吼えろ!

あじあ号とは昭和9年から昭和18年にかけて満州で運行していた
特急列車である。
この小説は、ソ連参戦が噂される昭和20年8月の満州が舞台。
国策映画撮影のため、満鉄が誇る超特急あじあ号がハルピンを出発した。
乗客は、東邦映画のスターとその付き人、ハルピンの高級料亭の芸者、
満映の女優とその付き人、満州日日の記者、関東軍中尉。
そして貨車には謎の積み荷。
果たして列車はどこへ向かうのか?

著者自身が鉄道ファンということで、鉄道冒険小説を書きたかったのだとか。
実際、鉄道マニアにはたまらない作品だと思う。
が、鉄道マニアでない私でも楽しめた。
先が気になり、一気に読んでしまう。
しかし、戦争がテーマであるにも関わらず、全体的に作品が軽いのが気になった。
登場人物もみな爽やかで、悲壮感がない。
それでいて後半、ばたばたと人が死んで(←ネタばれOKの方のみドラッグしてね)
後味が悪い。

『カラマーゾフの兄弟』byドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

話題の亀山訳で再読中。
(一度目は原卓也訳で読みました)
今週は2巻を読了。

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August 31, 2007

『桜庭一樹読書日記』『去年ルノアールで』『ハイペリオンの没落』『陸行水行』「沢木耕太郎 真夏の夜の夢」

●今週、読んだ本
『桜庭一樹読書日記』by桜庭一樹
桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。

桜庭一樹が縦横無尽に読んで過ごした、疾風怒濤の1年間。
「Webミステリーズ!」で大好評を博した読書エッセイ。
本文への注釈や書誌データなどを盛り込んで単行本化。
冒頭部分と続編をコチラで読むことができます。

彼女の作品は『赤朽葉家の伝説』しか読んだことがなくて、
正直、イマイチだったのだが、
この本を読み、桜庭さん自身はすごく好きだと思った。
まず生活していくうえにおいて、何よりも読書に重点を置いていることに
好感が持てた。
(作家の日記なので、どこまで本当かはわからないが、
少なくとも桜庭さんに関しては真実なんじゃないかと思う)
桜庭さんの読書量は尋常じゃない。
読むスピードもかなり早い。
読書日記だからかもしれないが、本屋ばかり行っている。
そして桜庭さんの文章には本への愛情が溢れている。
ここで紹介されている本、すべてを読みたくなってしまう。
そんな1冊だった。
昨年出版された『桜庭一樹日記』も読んでみようかなあ。

『去年ルノアールで』byせきしろ
去年ルノアールで

私は今日もルノアールにいた。
客や店員の様子を眺めるうちに、「私」は妄想を暴走させ、
無益な1日を過ごしてしまう…。
無気力派文士の初エッセイ集。
『relax』連載に加筆・修正し、書き下ろしを足して書籍化。
現在、ドラマ化され、TV東京で放送中
秋にはDVD化も予定されている。

街から喫茶店がどんどん消えていっている。
代わりに増殖しているのが○ターバックスや○トールのような
コーヒーショップだ。
それらの店にいるのは、オシャレを気取る若者ばかりで
この本に登場する
“でかでかと黒豹がプリントされたトレーナーを着たおばさん”や
“昼寝するサラリーマン”や“競馬新聞を赤ペンでチェックするオヤジ”はいない。
コーヒーショップでは、みな、コーヒーを飲むとそそくさと立ち上がり、
次の目的地へと向かう。
あくまでも一時的な休憩だ。
しかし、喫茶店の客に次の目的地なんてない。
何の仕事をしているのかもわからない怪しげな常連が、
昼過ぎになると集まりだし、だらだらと株やゴルフの話をし続ける。
そういう場である喫茶店が消えつつあるということは、
日本という国が余裕のない国になりつつあるということだ。
私はコーヒーショップに、オシャレや日常の効率を強要するファシズムさえ感じる。
そういう意味で、ルノアールは「余裕のある国、日本」の最後の砦なのだ。
ルノアールには世間の流れに負けずがんばってもらいたいと思う。

『ハイペリオンの没落』byダン・シモンズ
ハイペリオンの没落〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

先週、読んだ『ハイペリオン』の続き。
正直、イマイチ…。
『ハイペリオン』は文学の匂いがする作品だったのだが、
『ハイペリオンの没落』は巡礼者VSシュライク、
連邦政府VS宇宙の蛮族アウスター、双方の戦闘シーンの連続であり、
スペースオペラそのもので娯楽作品としての要素が強い。
これは小説を読むより映画で見る方が楽しめるのでは?
(『ハイペリオン』は映画化の話が出ているようですが…)
連邦政府CEOであるグラッドストーンにお抱え画家として招かれた
M・セヴァーンが唯一、文学的な存在に感じた。
しかし、そもそも私が文学的、非文学的と感じる差異は何なんだろう?

『陸行水行』by松本清張
陸行水行 新装版 (文春文庫 ま 1-110 別冊黒い画集 2)

「形」「陸行水行」「寝敷き」「断線」の4作を収録
表題作である邪馬台国について書かれた「陸行水行」が読みたくて
買ったのだが、私が記憶している作品と違った。
邪馬台国について書かれたこれではない短編を読んだ記憶があるのだが…

●今週、聴いたラジオ
沢木耕太郎の「真夏の夜の夢」
TBSで8月19日の深夜1時~4時に放送された。
生放送。
私は録音しておいたものを今週、聴いた。
番組のメインは対談。(ただしこちらは録音)
ゲストは井上陽水と瀬戸内寂聴。
沢木さんの声を初めて聞いた。
語り口が優しく、すっと耳にはいってくる声である。
音楽もJAZZありPOPSありでとてもよかったのだけど、
曲目がわからなかったのが残念。
沢木さんの代表作『深夜特急』を映像化した「劇的紀行深夜特急」の主題歌である
陽水さんの「積み荷のない船」(いい曲です!)がかかってました。

●たら本
Tara37
たら本、第37回が始まっています。
どなたでも参加できるTB企画。
テーマに沿った本を紹介する記事を書き、
主催者さんや他の参加者にトラックバックやコメントをするという趣旨です。
詳細はコチラ
今回の主催は「本を読む女。」のざれこさん
お題は「犬にかまけて」です。
私は今回、紹介のみでお休みします。

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August 18, 2007

『国のない男』『高い城の男』「マルホランド・ドライブ」

お盆って何だか落ち着いて本が読めません。
それでも何とか2冊、読了。

●今週、読んだ本
『国のない男』byカート・ヴォネガット
国のない男
今年の4月に亡くなったカート・ヴォネガットの遺作エッセイ。
これを読んでいるうちに、地球からすべての生物がいなくなる可能性が
なくはないんだと気づき(それも人間のせいで)
それ以来、誰もいない地球がカラカラと回る映像が
頭から離れなくて困っている。
爆笑問題のニッポンの教養」という番組で、
井田茂教授が地球外生命がある可能性は10%くらいといっていた。
(ただし、SF映画に出てくるような宇宙人という形ではない)
もし、地球外生命がいなかった場合、地球上の生物がすべて滅んでしまったら、
この広い宇宙は何のために存在しているのだろう?

『高い城の男』byフィリップ・K・ディック
00306441
『国のない男』を読んだら、猛烈にSFが読みたくなって、
とりあえず積んであったこの本を手に取る。

第二次世界大戦でもしドイツと日本が戦争に勝っていたら…という話。
アメリカは、大西洋側はドイツ、太平洋側は日本に占領されていた。
舞台は日本に占領されているサンフランシスコ。
上流階級である日本人を相手に戦前のアメリカの民芸品の店を営んでいる
ロバート・チルダン。
自分がユダヤ人であることを隠して民芸品の贋造を続けるフランク・フリンク。
フランクの元妻、ジュリアナ。
サンフランシスコ最大の貿易公団を代表する田上信輔。
スエーデンからプラスチック事業の交渉で田上のところにやってくるバイネス。
それぞれのエピソードが多視点で語られていく。

最後に全員のエピソードがカチッと合うのだろうと期待していたが
予想に反し、ぐずぐずに…
あの伏線らしきものたちは何だったんだ。
なぜ、これがヒューゴー賞?
占領軍である日本が押しつけたとされる易経(占い)。
その道具を誰もがが持っていて、何か重要事項を決定する際に必ず占い出し
右往左往するのもどうかと…
あとがきによれば、執筆当時、ディック自身が易経を日常の行動指針として
使いだしたらしい。
そういう人が、サイエンスフィクションを書くってどうなの?
サイエンスって科学でしょう?
ディックはもう読まない。

●今週、見た映画
「マルホランド・ドライブ」
マルホランド・ドライブ

ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。
ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、
留守宅へ忍び込む。
すると、そこは有名女優ルースの家だった。
そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。
ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、
すぐに見知らぬ他人であることを知った。
何も思い出せないと打ち明けるリタ。
手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。
ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを
買って出るのだが…。

好き好き。
特にクラブ・シレンシオのシーンがいい。
レストラン・ウインキーズの裏で、突然、何かが出てきたシーンとか、
ベティとダイアンが17号室にはいったシーンでは
心臓、止まりそうだったけど。
「シレンシオ!お静かに。楽団はいません。オーケストラも…
これは全部テープです。これらは何もかもまやかしです。」

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August 04, 2007

『ヘンリ・ライクロフトの手記』『夜の来訪者』『海からの贈物』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』

●今週、気づいたこと
・今さらながら、味噌汁の具は2種類より3種類の方がうまい。
めんどうでも、料理は、いろいろな素材をちょっとずつ入れた方が
味が複雑になっておいしくなる。

・賞味期限の長い食品はまずい。

●今週読んだ本
『ヘンリ・ライクロフトの手記』byギッシング
ヘンリ・ライクロフトの私記

「およそ読書人と呼ばれる人の本棚にこれがないことはありえない」
と岡崎武志著『読書の腕前』には書いてある。
自分を“読書人”だとは思わないし、
そもそも何冊読めば“読書人”なの?という反発も感じるが、
好奇心に勝てず、読んでみた。
この本は、長い貧困生活ののち偶然知人の遺産を得て、
老境に至り初めて安息の日々を送ることが可能となった
ギッシングの友人であるヘンリ・ライクロフトという作家の手記
という体裁になっているが、ギッシングの創作である。
貧しく不遇な作家という意味で、ギッシング自身の人生と重なるわけだが、
ライクロフトと違うのは、ギッシングは遺産を手に入れることもなく、
貧困のまま死んでいったということだ。
作品の前半は、自然への賛歌、本を読む喜びに溢れている。
が、後半では、自分がかつてお金がなかった時の苦しみが繰り返され、
社会への批判が増える。
また自分は幸せだと無理に納得させようとしているようにも思える。
結局、ギッシングは作品の中でライクロフトにはなりきれなかったのではないか?
この本の訳者である平井氏は
「作者が自らの描く虚構の人物にいわば乗りうつっている」と解説に書いているが
私にはライクロフトが亡霊のように見える。
結局、読み終えてみると、私にはライクロフトの喜びよりも
ギッシングの哀しみの方が身に沁みた。

『夜の来訪者』byプリーストリー
夜の来訪者

戯曲。
舞台はある裕福な実業家の家庭。
娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れ、
ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、
全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。

短いので、2時間もあれば読める。
ラストはぞぞっとくる。
ミステリーでもあり、社会派小説でもある。
二重どんでん返しということで、クリスティの『検察側の証人』を
思い出させる。

『海からの贈物』byアン・モロウ・リンドバーグ
海からの贈物

女はいつも自分をこぼしている。
そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが
女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。
有名飛行家の妻として、そして自らも女性飛行家の草分けとして
活躍した著者が、離島に滞在し、女の幸せについて考える。

20代の時、仕事の関係で参加しなければならなかったある読書会で
この本を読んだことがある。
若くて傲慢で夜遊びばかりしていた私はこの本に書いてあることが
さっぱりわからなかった。
しかし、今は心にしみる。
「そうそう」とうなずいたり、「そうだったのか!」と得心したり。
男性が読んでも生きていくうえでのヒントになると思う。

本当の自分というものは、
「自分自身の領分で自分を知ること」によってしか得られない。
(本文中より)

『円朝芝居噺 夫婦幽霊』by辻原登
円朝芝居噺 夫婦幽霊
怪談ものを得意とし江戸から明治にかけて活躍した落語家、三遊亭円朝。
作者は、ふとしたことからその円朝の口演速記録を手に入れる。
解読してみると未発表作品である。
この本はそのいきさつと、その作品が掲載されているが…。

辛口の感想になる。
私の中では円朝といえば「芝浜」である。
元落研ではあるが、正直、怪談噺はよく知らない。
しかし、この「夫婦幽霊」はいかがなものか。
円朝の作品ということになっているが、
この本の中では最終的に
有名作家○○○○○と円朝の関係者○○○の創作であろうと
結論づけられている。
そうはいっても、夢を壊すようだが、著者である辻原さんの作であろう。
私はあまりデキのいい噺ではないと思う。
強欲な夫婦が3組、登場する。
多すぎである。
悪役ばかりだと悪役がひきたたない。
誰一人、同情できる人間がいないので、ぐっと来ない。
ホームズ役の佐久間さまがちょっとステキというくらいだろうか。
オチもきっちり作っていただきたかった。
また「円朝の作としてはイマイチではないか…」といわれた時の
保険なのか、「いやいや実は○○○○○と○○○の共作なんですよ」
としてあるあたりがずるい。

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July 14, 2007

『暗号解読』『読書の腕前』『水に埋もれる墓』「めぐりあう時間たち」「アンナ・カレーニナ」

●タイトル一覧機能
ココを参考にして、記事をタイトル一覧表示する機能をつけた。
右サイドバーのテンプレートでないと機能しないようなのですが、
長いこと左サイドバーだったので、すごい違和感…
重い腰をあげてMovableTypeでオリジナルデザインのテンプレートを
作るべきか?

●岩波文庫創刊80年
明日の週刊ブックレビューで、岡崎武志さんが“岩波文庫80年”をテーマに
お話されます。
最近、岩波文庫のすばらしさに開眼。
近日発売予定の「80年版 岩波文庫解説総目録 1927~2006」もほしい。

●今週読んだ本
『銃・病原菌・鉄』byジャレド・ダイアモンド
人類はなぜ異なった大陸で異なった発展をしたのか?
それは銃・病原菌・鉄が要因だった!
最近、上下巻ものは万が一つまらなかった時のため、
いっぺんに買わないようにしている。
これもとりあえず上巻のみ読んだ。
同じ著者の『文明崩壊』はとてもおもしろく読んだが
この本はいまひとつおもしろみに欠けるような…
現在、世界にこれだけの地域間格差があるのは、
民族の能力に優劣があったのではなく環境が原因だったと
著者はいってるわけだが、そんなこと、いまさらのような気がする。
ただ、アメリカはいまだに「欧米人は他の民族より優れている」
といった考えが残っているようで、そういう社会においては
この本は衝撃的だったのかもしれない。

この本を映像化したものがナショナル・ジオグラフィック社から
発売されたようだ。

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『暗号解読(上)』byサイモン・シン
これもまずは上巻のみ読んだ。
暗号について書かれたノンフィクション。
パズルが大好きなので「頻度解析」などの解説もわくわくしたし、
暗号にまつわる歴史、スコットランド女王メアリーやエニグマのエピソードも
すごくおもしろかった。
もちろん下巻も買う。
エニグマ最大の弱点を突き止めたアラン・チューリングの最期があまりに悲しい。

『読書の腕前』by岡崎武志

読書の腕前読書の腕前
岡崎 武志

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書評家であり古本に関する著書も多い作者が読書について書いたエッセイ。
アンダーラインひきまくっちゃった。
(『ちょっと本気な千夜千冊虎の巻』に「本はノートだと思ってどんどん書き込め」
と書いてあった)
以下、気になった箇所。

『桟橋で読書する女』byマーサ・グライムズの1シーン。
ウェートレスである主人公は、仕事を終え夜になると
湖に突き出した桟橋にテーブルと椅子を持ち出し、
コードを引っ張ってきて電気スタンドの灯りの下で本を読むのが習慣。
そこでマティーニをつくり、ウォレス・スティーヴンスの
『キーウェストにおける秩序の観念』なんていう硬めの本を手に、
難しい詩の意味を理解しようとする。
湖を時おり、高速でモーターボートが通り過ぎ、
対岸の別荘地では夜ごとパーティーが繰り広げられ、
風に乗って、客たちの笑い声とともに、古いコール・ポーターの曲が流れてくる。

「あらかじめ用意された場所や装置がないと、時間がつぶせないというのでは、
楽しみ方が下手と言われても仕方がないだろう」(著者)

『教養』とはつまるところ「自分ひとりでも時間をつぶせる」ということだ。
(中島らも)

『ヘンリ・ライクロフトの私記』byギッシング
「私は散歩の途中出会うすべての花の一つ一つ名ざして呼べるようになりたい。
それも特にそのもの固有の名前で呼んでやりたいのだ」

「読んでない本を残して、読んだ本を売るのは間違いで、読んだ本こそ残すべきだ」
(出久根達郎)

『海炭市叙景』by佐藤泰志
著者は芥川賞5回ノミネートされ、1990年国分寺の自宅近くで縊死した。
現在はなかなか手に入りにくい本らしいのだが、
この夏、クレインから発売されるようだ。

『水に埋もれる墓』小野正嗣

にぎやかな湾に背負われた船にぎやかな湾に背負われた船
小野 正嗣

朝日新聞社 2005-10-13
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表題作である『にぎやかな湾に背負われた船』は過去に読了済
こちらも『にぎやかな湾~』と同じ“浦”の物語。
よかった。
カヅコ婆が泣ける。
といってもこの作品が泣けるというのではなく、
私が勝手に亡くなった祖母とカヅコ婆を重ね合わせて泣いているだけだが。
「色の黒い小さな人」とカヅコ婆の漫才のかけあいのような会話が笑える。
読み終えた後もいくつか謎が残ったままなのもいい。
最新作は異国の森が舞台のようだけれど、“浦”の物語の続きを書いてほしい。

●新たに購入した本
『ヘンリ・ライクロフトの私記』ギッシング
『灯台へ』ヴァージニア ウルフ
『海からの贈物』アン・モロウ・リンドバーグ
『アンナ・カレーニナ (上)』トルストイ
『暗号解読 (下)』サイモン・シン

●今週見た映画
めぐりあう時間たち

めぐりあう時間たちめぐりあう時間たち
ニコール・キッドマン マイケル・カニンガム スティーヴン・ダルドリー

角川エンタテインメント 2005-11-25
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1923年、イギリス、ロンドン郊外のリッチモンド。
作家であるヴァージニア・ウルフの病気療養のためウルフ夫妻はこの町に移り住んできた。
物静かだが優しい夫レナードの気遣いをよそに、彼女は書斎で煙草を吸いながらゆっくりと呟く。
「……ミセス・ダロウェイは言った、花は私が買ってくるわ」
1951年、ロサンジェルス。
閑静な住宅地に住む妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、ベッドの中で一冊の本を手にしている。
「……ミセス・ダロウェイは言った、花は私が買ってくるわ」
2001年、ニューヨーク。
編集者クラリッサ・ヴォーンは、同居している恋人サリーに言う。
「サリー、花は私が買ってくるわ」。
三つの時代の、三人の女たちの、それぞれの一日が始まろうとしていた……。

映画のモチーフとなった『ダロウェイ夫人』を絶対に読んでおくべき。
でないと、3人のセリフ「花は私が買ってくるわ」が効いてこない。
3人が精神的に追いこまれている様子がひしひしと伝わってきた。
二コール・キッドマンはヴァージニア・ウルフに似せるためつけ鼻をつけたとか。
実際、よく似ていた。
エイズに冒された詩人の友、リチャードのセリフ。
「始まりに比べ終りは虚しすぎる」

アンナ・カレーニナ

アンナ・カレーニナアンナ・カレーニナ
ソフィー・マルソー ショーン・ビーン アルフレッド・モリーナ

ジェネオン エンタテインメント 2002-01-25
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1880年、モスクワ。
レヴィンは令嬢キティに求婚。
キティは若き軍人、ヴロンスキー伯爵に夢中だったが、
彼はロシア高官カレーニン夫人のアンナ・カレーニナに一目惚れ。
一度はヴロンスキーの愛を拒否したアンナだったが、
やがて自らも情熱的な恋のとりこになった。

トルストイは『戦争と平和』がそれほどでもなかったので、
『アンナ・カレーニナ』を読む予定は当分なかったのだが、
この映画を見て読む気になった。
映画では脇役扱いだったレヴィンについてもっと知りたい。
映画は全編、英語なのがちょっと…。
DVDがほしいけれど、生産中止。

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July 03, 2007

たら本&上半期ベスト5

●たらいまわしTB企画第35回「おすすめ!子どもの本」
Tara35
たら本です。
どなたでも参加できるTB企画。
テーマに沿った本を紹介する記事を書き、
主催者さんや他の参加者にトラックバックやコメントしてね。
※たら本とは
今回の主催者はほんの保管所の高さんです。

さてさて、今回のお題は、「おすすめ!子どもの本」であります。
本好きの皆さまのこと、きっと幼い頃もさまざまな本と親しんでこられたことと思います。
「ノンタン」シリーズの絵本、アンデルセンやディズニーのお話、日本昔話、教科書に載っていたお話、世界名作劇場、ライトノベル、まんが、児童文学、一般文芸・・・
世の中には沢山の本があふれていて、一生のうちに出会える本は限られています。
でも子どもの頃に出会ったお話って、その後の自分の読書傾向や、時には人生に臨む姿勢にまで影響を与えることがありますよね。
と、いうことで、ここでは皆さまがおすすめする子どもの本を紹介していただきたいと思います。
◎幼い頃に読んで今も大好きな本
◎大人になってから読んで “しまった。もっと早く子どものうちに読んでおけば” と思った本
◎自分の子ども、又は身近なかわいいあの子、幼い頃の自分に読ませたい本

ということなんですが…
子供の頃の私は、そこそこ本を読んでいた方だと思うのですが、
それは親が買い与えてくれる本に限られていて、
自分から「この本が読みたい」と読んだ記憶がないのです。
(自主性のない子供だったの。はたまた親が過保護すぎたか…)
そのうえ、親が買い与えてくれた本は、時流からずれていたようで、
ブログでみなさんが
「この本、小さい時、読んだでしょう?」
「うん、読んだ!読んだ!」
とおっしゃっている本をほとんど読んでいないということが
最近になってわかりました。
というわけで、自分の記事は何とかひねりだして書けるかもしれませんが
みなさんのところにお伺いして、知らない本ばかりですとコメントしようがなく
かといって「この本、知りませんでした。今度、読んでみたいです」ばかりでも
阿呆のようなので(汗)、主催者の高さんには大変、申し訳ありませんが
今回は告知のみということで欠席します。(*´Д`).:∵・゚・.:∵ゴメンナサィ,,,

●上半期ベスト5
告知だけというのも何なので、6月が終わり、多くの読書ブロガーのみなさんが、
上半期を振り返る記事を書いていらっしゃるのでウチもやってみます。

思えば、昨年末に「読書における小説の割合をぐっと減らします」と脱小説宣言をし、
その流れで本そのものをあまり読まなくなった状況で迎えた2007年。
お笑いやらロハスやら、読書にあまり関係ない記事が続く中、
3月に白洲正子の『西行』を読み、がつんとやられる。
西行自身のエピソードもさることながら、白洲さんの語り口がよかった。
その証拠として、その後に読んだ同じ西行ものである瀬戸内寂聴の『白道』や
辻邦生の『西行花伝』はそれほどでもなかった。
そこからまた読書に勢いがつき、7月3日現在、読了本は50冊。
年間100冊弱がいつものペースなので、3月までほとんど読まなかったことを考えると
なかなかのハイペースである。
(もっと読む人から見たらお笑い草だと思うが…)
宮本常一の『忘れられた日本人』もなかなかよかった。
民俗学は前から気になっており今後も読んでいきたいジャンルである。
話題の桜庭一樹の『赤朽葉家の伝説』を読んでみたのだけれど
改めて「やっぱり今の日本の小説は苦手」と感じる。
結局たどりついた結論は「古典を読もう」だった。
クリストファー・プリーストの作品やカズオ・イシグロの『充たされざる者』など
翻訳小説を立て続けに読んでみるものの、どうも私が翻訳もので好きなのは
SF、ミステリー、ユーモア小説に限るらしいと気づく。
そんな私が選ぶ上半期ベスト5!

『西行』by白洲正子

西行西行
白洲 正子

新潮社 1996-05
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西行を訪ねる紀行エッセイ。
最近、同じ著者の『かくれ里』も読んだが、
能や日本の古代に知識がないとややわかりにくい。
地図や写真が豊富でとっつきやすいという意味で
『西行』の方がランクイン。

『家守綺譚』by梨木香歩

家守綺譚家守綺譚
梨木 香歩

新潮社 2006-09
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いいとは聞いていたが、著者の名前からして少女趣味な話なんだろうと
勝手に想像し、ずっと読むのを避けていた。
が、読んでみたらまったく違っていた。
植物や自然をテーマにした幻想譚という感じだろうか?
澁澤龍彦の『高丘親王航海記』の雰囲気に似てると思った。

『黒い時計の旅』byスティーヴ・エリクソン

黒い時計の旅黒い時計の旅
スティーヴ エリクソン Steve Erickson 柴田 元幸

白水社 2005-08
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歴史改変小説。
同時期に読んだプリーストの『双生児』も歴史改変ナチスもののわけだが
私は『黒い時計の旅』の方がスケールが大きくて好き。
プリーストは読者を欺くため(楽しませるためでもあるが)
わざと文章を抜いているところが苦手。
作者が信じられなくなったら、読者は何をよりどころに読んでいけばいいのか。

『宇宙クリケット大戦争』byダグラス・アダムス
『さようなら、いままで魚をありがとう』byダグラス・アダムス
『ほとんど無害』byダグラス・アダムス

銀河ヒッチハイク・ガイド銀河ヒッチハイク・ガイド
ダグラス・アダムス 安原 和見

河出書房新社 2005-09-03
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これは同じ銀河ヒッチハイクガイドシリーズなので3冊で1作品としてカウント。
昨年から読んでいたこのシリーズもとうとう読了。
今は老後に向けて「今後、繰り返し読むであろう本」を選択する時期だと考えているが
このシリーズはその中に入るだろう。
※この3冊の前に『銀河ヒッチハイクガイド』と『宇宙の果てのレストラン』があるので
読もうとお思いになっている方はおまちがいなく。
ちなみに書影はシリーズ第1作の『銀河ヒッチハイク・ガイド』

『悪党芭蕉』by嵐山光三郎

悪党芭蕉悪党芭蕉
嵐山 光三郎

新潮社 2006-04-22
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アーザル・ナフィーシーの『テヘランでロリータを読む』とすごく迷ったのだけれど
『テヘラン~』を読んでも、ナボコフやフィッツジェラルドを読もうと思えなかったが
『悪党芭蕉』を読んで芭蕉を読みたいと思えたというのがこちらを選んだ理由。

●読書中

Self-Reference ENGINESelf-Reference ENGINE
円城 塔

早川書房 2007-05
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June 30, 2007

『古代からの伝言 日出づる国』『時の娘』「恋愛小説家」「ダロウェイ夫人」「ドラマ・エリザベス1世」「恋に落ちたシェイクスピア」

Lin

脳内メーカー
によると私の頭の中はこうなっているらしい。
ちなみに本名だとこうなる↓
Photo

●今週読んだ本

古代からの伝言 日出づる国古代からの伝言 日出づる国
八木 荘司

角川書店 2006-09-22
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1999年~2004年まで、産経新聞で連載されていたもので
「日本書紀」の世界をリアルに再現したシリーズ。
全7冊。
この巻では、崇峻帝弑逆から推古天皇の死までを描く。
崇峻帝弑逆の実行犯である駒と河上娘との悲恋物語がよかった。
駒は自分のことを「やつがれ」というので、
同じく「やつがれ」という巷説百物語、又一役の渡部篤郎の顔が
浮かんだ。
この時代の朝鮮半島における高句麗、百済、新羅、任那の関係が
とてもよくわかった。

『時の娘』byジョセフィン・ティ

英国史上最も悪名高い王、リチャード三世――
彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか?
退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに
歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。
歴史ミステリの名作と知られ、
高木彬光の『成吉思汗の秘密』や『邪馬台国の秘密』に影響を与えた。

すばらしい作品だと思うが、
そもそもリチャード三世が悪人扱いされていることを
知らなかったので、それほどラストに衝撃は受けなかった。
しかし、つくづく歴史というのは
勝者によって書き換えられてしまうものなんだと思った。
「歴史=真実」だと簡単に思ってはいけない。

●読書中

悪党芭蕉悪党芭蕉
嵐山 光三郎

新潮社 2006-04-22
売り上げランキング : 57879

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芭蕉は「三百年前の大山師」だった!(by芥川龍之介)
弟子は犯罪者、熾烈な派閥闘争、句作にこめられた危険な秘密……。
神格化され、〈宗教〉となった芭蕉の真実の姿を描く、
今まで誰も書けなかった画期的芭蕉論。

ココで立ち読みできます。
今、半分、読み終わったところだけれど、おもしろい!

『ユリシーズⅡ』byジェイムズ・ジョイス
他の本に浮気しつつも、ちょっとずつ読んでいる。
今は、スティーヴンスが図書館で滔々とシェイクスピア論を
述べているところ。

●新たに購入した本
『古代からの伝言 水漬くかばね』by八木 荘司
今週、読んだ『古代からの伝言 日出づる国』の続き。

『ユリシーズⅢ』byジェイムズ ジョイス

『古都』by川端 康成
「本を読む人々。」というSNSの「古今東西の名作を読もう」トピックの
7月の課題本。

『気になる部分』by岸本 佐知子
名翻訳家によるデビューエッセイ集。

『Self-Reference ENGINE』by円城 塔
書評家、大森望氏が「今年の日本SFベストワンは
これか伊藤計劃『虐殺器官』」と絶賛している。
『虐殺器官』も気になるが、タイトルからして苦手だ。

『芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄』by松尾 芭蕉
今、嵐山光三郎の『悪人芭蕉』を読んでいるので。

『湘南の暮らしと家―ビーチサイドスタイル』by湘南スタイルマガジン編集部
いつかは海のそばで暮らしたい。
と、思っている。

『夜の来訪者』byプリーストリー
kotaさんのブログ週刊ブックレビューで紹介されたいたので。
ある裕福な実業家の家庭で娘の婚約を祝う一家団欒の夜に
警部を名乗る男が訪れ、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、
全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。

『暗号解読 上』byサイモン・シン
今月、文庫化されました。
ぎんこさんオススメ。

●今週見た映画

恋愛小説家恋愛小説家
ジャック・ニコルソン

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-05-30
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甘く切ない女心を描き、書いた本はすべてベストセラーという恋愛小説家メルビン。
しかし実際の本人は、異常なまでに潔癖性で神経質の嫌われ者。
周囲に毒舌をまき散らし、友人は誰もいない。
そんな彼がある日、ウェイトレスのキャロルに淡い恋心を抱くが・・・。

メルビンを演じるジャック・ニコルソンが優しい雰囲気なので、
嫌われ者という役が似合っていない。
『恋愛適齢期』でも遊び人の実業家という役どころだったが
あれも似合っていなかった。
ジャック・ニコルソンは映画後半のメルビンのような
誠実な役柄が似合う。
メルビンが小説家ゆえ、日常会話はうまく話せないのに、
書き言葉でならうまく話せるところがおもしろかった。
日本における短歌のように、
欧米ではそもそも女性を口説く時は
詩(文語体)を用いていたのではないか。
それを思えば、メルビンの口説き方は本来の形といえる。

ダロウェイ夫人
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ヴァージニア・ウルフの同名小説を映画化。
第一次世界大戦終結から5年後のロンドン。
国会議員夫人のダロウェイは、ある日30年前の輝くような青春の日々を思い返す。
ロマンティックなピーターとの波乱に富んだ人生ではなく、
政治家リチャードとの平穏な生活を選んだ現在の人生。
やがて彼女はその選択が正しかったのか自問してゆく。

原作を読んでから見た方がいいかも。
原作もよかったけれど、この映画を見てますます原作が好きになった。
ちょうど私自身も青春の日々を思い返す時期にあるからかもしれない。
この作品を見て「詩は美しい」と気づいた。
詩はやっぱり英語だと思った。
DVD化(日本語版)されていないのが残念。

ドラマ・エリザベス1世~愛と陰謀の王宮~

16世紀、ヨーロッパの覇権を握り、
大英帝国の基礎を築いたイングランド女王エリザベス1世は、
死ぬまで独身を通して、バージン・クイーンと呼ばれた。
そんな女王に取り入ろうとする男たち。
そして、背後に渦巻く陰謀。
愛と陰謀に揺れたエリザベス1世の半生を、王宮を舞台に描く。
番組紹介はコチラ

先ごろ、NHKで放送されたものは吹き替えだったのが残念だ。
主演は映画「QUEEN」でエリザベス2世を演じたヘレン・ミレン。
エリザベス1世の愛人としてレスター伯とエセックス卿が登場するのだが
私はレスター伯との日々が好き。
愛があったように見えるから。
30才も離れた年下男エセックス卿に夢中になるのは
正直、理解できない。
私は昔も今も年上男好きでそれはこれからも変わらない。
きんさんぎんさんのように100才になっても
「好みの男?年上がいいねえ」といいたい。

恋に落ちたシェイクスピア コレクターズ・エディション恋に落ちたシェイクスピア コレクターズ・エディション
グウィネス・パルトロウ ジョン・マッデン ジョセフ・ファインズ

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2003-11-21
売り上げランキング : 3028

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16世紀末のロンドン。
スランプに陥っていた劇作家シェイクスピアは
オーディションにやって来た一人の若者トマス・ケントを追って
とある屋敷へたどり着く。
そこには以前、芝居の最中に目を留めた
美しい女性ヴァイオラの姿があった。
シェイクスピアと彼を信奉するヴァイオラはたちまち恋におちてしまう。

もっと重厚な映画を想像していたが、軽いタッチのコメディ映画だった。
衣装や舞台が中世風というだけであって、
物語そのものは現代の恋愛映画だといっていい。
シェイクスピアとヴァイオラも、苦悩もなく簡単に寝ちゃうし
そんなところも現代風。
タイトルにだまされた感じ。
コメディ映画として見る分には悪くない。

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June 16, 2007

『宇宙クリケット大戦争』『村田エフェンディ滞土録』『テヘランでロリータを読む』

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今日はブルームズ・デイである。
ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』という小説が
1904年6月16日のダブリンでの出来事を描いているので、
この日を主人公ブルームの名を取って、ブルームズ・デイと呼んでいる。
その『ユリシーズ』は、他の本に浮気ばかりしているので、まだ1巻…
ブルームたちが墓地に着いたところ。

●今週読んだ本
『宇宙クリケット大戦争』byダグラス・アダムス
宇宙クリケット大戦争

銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。
どこをとっても平凡な英国人、アーサー・デントは
最後の生き残りとなる。
アーサーはたまたま地球にいた宇宙人フォードと
宇宙でヒッチハイクをするはめに。

というストーリーの『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズ第3弾。
今度はクリキット軍の侵略により銀河系が全滅の危機。
有無をいわさないクリキット軍による殺戮は、
まるで先週見た映画「マーズ・アタック」みたいだ。
ロボットのマーヴィンは相変わらずのウツっぷりでかわいいが
今回は何といってもワウバッガーとアグラジャッグがいい。
ワウバッガーはうっかり不死性を獲得してしまい、
最初のうちは人生を楽しんでいたがそのうち退屈してきて、
ついにアルファベット順にすべての生命体を侮辱することを
生きる目的とする。
アグラジャッグは生まれ変わるたびにアーサー・デントに
“全くの偶然”で殺害される運命を持つ。
ウサギの時は毛皮の袋にされ、ハエの時は叩き殺され、
イモリの時は踏みつぶされた。
「どんな惑星、どんな肉体、どんな時代に生まれても
やっと落ち着きかけたころにアーサー・デントがやってきて――
ボカン、で一巻の終わりさ」(P.174)

『村田エフェンディ滞土録』by梨木香歩
村田エフェンディ滞土録
『家守綺譚』の主人公、綿貫の友人である村田のトルコ留学記。
登場人物がみな魅力的で、
当時、トルコがおかれていた国際的状況なども興味深く
ただ、「『家守綺譚』とどちらが好き?」といわれれば、
より幻想的である『家守綺譚』かなあと思ってた。
が、ラストで号泣。
あまりにつらい。
オウムが村田のところへきたのがせめてものなぐさめ。

『テヘランでロリータを読む』byアーザル ナフィーシー
テヘランでロリータを読む
「ノンフィクションは苦手、小説が好き」という人にも読んでほしい作品。

本書はイラン出身の女性英文学者アーザル・ナフィーシーが、
1979年のイスラーム革命から18年間、激動のイランで暮らした経験を
英語で綴った文学的回想録の全訳である。
テヘランの大学で英文学を講じていたナフィーシーは、
1995年、抑圧的な大学当局に嫌気がさして辞職し、
みずから選んだ優秀な女子学生7人とともに、毎週木曜日、
ひそかに自宅で西洋文学を読む研究会をはじめた。
とりあげた小説は主としてナボコフ、フロベール、ジェイムズ、
オースティン、ベロウなど、イランでは禁じられた西洋文学の数々だった。
イスラーム革命後のイランは、生活の隅々まで当局の看視の目が光る
一種の全体主義社会となり、とりわけ女性は自由を奪われ、
厳しい道徳や規制を強制されて苦しんでいた。
秘密の読書会は、圧制の下に生きる女たちにとって、
ささやかながら、かけがえのない自由の場となり、
ナフィーシーがアメリカに移住する1997年までつづいた。
(あとがきより)

ナボコフ、ギャツビー、ジェイムズ、オースティンの
4つの章に分かれており、
これらの作家の文学論にもなっている。
女子学生たちの読書会を中心に話が進むのかと思ったが、
読書会に関する記述は1章と4章のみで
著者自身がイスラム革命後のイランでどう生きたかが
物語のメインである。
まるで自分もその場にいるかのようななまなましさで
当時のイランの様子が伝わってくる。
チャドルの着用を義務付けられ、海外の本や映画は禁止、
こんな風に国が個人を抑圧するという事態はあってはならないと思う。
ただ、この本で取り上げられている作品は、
『ロリータ』や『高慢と偏見』を初め男女の関係をテーマとした小説が多い。
著者はいう。
「小説入門講座で私が強調したかった点は、小説とは新たに誕生した物語形式が、
いかに人間のもっとも重要な関係をめぐる基本的な通念を根底から変え、
ひいては人間と社会、仕事、義務との関係に対する伝統的な姿勢を
変化させたかにあった。
こうした変化がどこよりもはっきり見られるのは男女の関係である。」
この箇所のように時々、著者の考え方に「ん?」と思うことがあった。
あとがきで訳者が著者の文学観について「古風」と書いている。
私が感じた違和感はそれだろうか。
もうひとつ。
昨年、ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクにしてもこの著者にしても
欧米は反イスラム的なものを好む傾向にないか?ということもちょっと思った。

●読書中
『充たされざる者』byカズオ・イシグロ
充たされざる者
とにかく長い。(全部で939ページ)
帯に「イシグロがカフカを超える」と書いてある。
確かに最初の方は町の人々の意図がわからず謎めいていて
カフカの『城』を思い起こさせるのだが、
後半は、いろいろなことがはっきりしてきて、
カフカのような幻想さはすっかり消えてしまう。
今、P.646なのだけれど、もう読むのやめたい…

●新たに注文した本
『三等旅行記』林芙美子
昭和6年に著者が下関~パリをシベリア鉄道で旅した様子を書いたもの。
私が購入したのは昭和8年発行の初版本。
戦争を生き抜いてきた本だと思うと感動。
旧かなだから読みにくいかと思ったけどそうでもない。

『フィンバーズ・ホテル』byダーモット・ボルジャー他
フィンバーズ・ホテル
アイルランドの首都ダブリンのはずれにある1920年代に建てられた実在のホテル。
間もなく閉鎖されようとするこの古びたホテルを舞台に、
アイルランドの名手六人が匿名で挑戦したオムニバス小説。
それぞれの作品がつながっているのがミソ。

『高い城の男』フィリップ K.ディック
歴史改変小説。
第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、
世界はいまだに日独二国の支配下にあった。
日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が
密かに読まれていた……

『時の娘』ジョセフィン・テイ
いわゆる安楽椅子探偵もの。
英国史上最も悪名高い王、リチャード三世――
彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか?
退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、
純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。

『ほとんど無害』byダグラス・アダムス
ほとんど無害
これで『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズも完結。

『迷宮パノラマ館』by芦辺拓
迷宮パノラマ館
乱歩風?
ショートショートや短編が収録されていて「ひとり雑誌」という体裁のようだ。

『バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜』
バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜

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