September 22, 2007

『ゲーム的リアリズムの誕生』『カラマーゾフの兄弟』「かもめ食堂」

読書を趣味にしていると、ついつい本ばかり読んでしまう。
あいた時間ができると、ごく自然に本に手がのびる。
が、そういう生活をしていると、日々の暮らしが雑になるような気がする。
私だけかもしれないが…
早く本の続きを読みたいからと、食事を簡単に済ませちゃったり、
とにかく次から次へと本を読むので、ぼーっとする時間がなかったり…
料理とかピアノとか、読書以外の趣味ももっと広げていきたいと思う秋。

実は、以前、洋裁を習っていた。
でも、先生も生徒も年配の女性ばかりで、作ってらっしゃる服がおばさんっぽくて
わくわくしない。
私自身はできるだけ、流行のデザインを選んで作っていたつもりだけど
できあがりはいつも野暮ったかった。
結局、洋裁教室はやめてしまった。
「洋裁の雑誌に作りたいと思う服の型紙が掲載されてない」
「大きい生地店でも既製品で使われているような布が売ってない」
といったことも原因だったかもしれない。
ところが、最近、調べてみたら、今はインターネットで
立体裁断の型紙やかわいい生地を売る店がたくさんある。
ひさしぶりに創作意欲がくすぐられて、またやってみようかという気になってます。
そのうち、完成品をこのブログに掲載するかも!?

●今週、読んだ本
『カラマーゾフの兄弟』byドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

やっと読了。
やけに明るい読後感だった。
旧訳で感じた鬱々としたロシアはそこになく、
まるでイタリアが舞台であるかのような明るさだった。
翻訳者である亀山氏による解題をまだ読んでいないので
それを読んだら、また書きます。

『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』by東浩紀
ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2

『動物化するポストモダン』の続編。
Amazonのベストセラーランキングをながめていると、ライトノベルが多いなあと思う。
私はライトノベルを読んだことがないが、勝手にマンガみたいな小説と位置づけている。
マンガもほとんど読まない。
(「きょうの猫村さん」と「今日の早川さん」は持ってるけど)
ライトノベルやマンガを一般の小説よりやや下に見ているところがあるかもしれない。
しかしこの本を読む限り、ライトノベルやマンガは小説の未来形のようなのだ。
この本にこんなことが書いてある。
大塚(大塚英志のこと)は、純文学からミステリやSFまで含め、
ライトノベル以外の小説をすべて、現実を写生するものだと捉えている。
ミステリやSFは非現実的な事件を描くが、
それはあくまでも現実の写生を前提としたうえで、
そこに違和感をもちこむ手法だというのが、大塚の考えだ。
それに対して、ライトノベルは、アニメやコミックという世界の中に存在する
虚構を写生する点に特徴がある

小説が現実を写生したものであるということは今さらながら考えさせられた。
小説がいくら現実に近づけようとしたって、現実にはなれない。
私が日頃、感じている小説に対しての嘘っぽさというのはそういうことかもしれない。
一方、ライトノベルやアニメは、現実にはありえないデフォルメされた登場人物たちを
動かすことでそこに歪みが生まれおもしろい効果を与えるのかもしれない。
かえってリアリティが生まれる!?
最近、ドラマの原作にマンガがよく使われていて人気だが、
それもこのことに関係しているのだろうか。
この本については『動物化するポストモダン』を読んでから再考察したい。

~この本の作品論で取り上げられている作品~
『All You Nees Is Kill』by桜坂洋
「ONE」(ゲーム)
「Ever17」(ゲーム)
「ひぐらしのなく頃に」(ゲーム)
『九十九十九』by舞城王太郎

●今週、見た映画
「かもめ食堂」
かもめ食堂

群ようこが本作のために書き下ろした小説を
『バーバー吉野』の荻上直子監督が映画化。
サチエ(小林聡美)はヘルシンキで“かもめ食堂”を始めたものの客はゼロ。
ある日彼女は最初の客で日本かぶれの青年トンミ(ヤルッコ・ニエミ)に
ガッチャマンの歌詞を教えてくれと言われるが、出だししか思い出せない。
彼女は偶然本屋でミドリ(片桐はいり)を見かけ……。

全体の雰囲気やキャスティングはとてもよかったと思う。
が、私は原作である小説を読んだ時の方が、もっと感動した。
サチエ、ミドリ、マサコの3人が、それまでどうやって生きてきたのかが
映画ではあまり描かれていない。
サチエがどうして強くなってしまったのか、
天下りの会社で21年間、ぼんやり過ごしてしまった
ミドリの人生は何だったのか、
両親の面倒を見続けたマサコは幸せだったのか、
考えると、何だかとても切なくなった。
トンミ君も小説の方がおもしろかったような…
映画だけで原作を読んでいない方は、
小説の方も是非読んでみて。
かもめ食堂

●「ザ・シンプソンズMOVIE」のこと

近頃、アニメ映画というと、お笑いやらタレントやらが吹き替えをやり
派手に宣伝しているなあとは思っていた。
でもアニメ映画なんてあまり見ないので、影響はなかった。
しかし!
私の好きなアニメ「ザ・シンプソンズ」が映画化され、
その声優が所ジョージ、和田アキ子、田村淳、ベッキーだという。
すごい違和感…。
ぎりぎり、田村淳のバートはOKだが、
所ジョージのホーマーと、和田アキ子のマージはありえない!
(もともとの声優さんの声は上の画像をクリックすると聞けます)
ネットでも問題となっていて、署名運動も行われています。

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September 15, 2007

『今日の早川さん』『カラマーゾフの兄弟』

引き続き今週も、光文社刊、亀山訳の『カラマーゾフの兄弟』を
読んでいる。
今は4巻の第12編。
4巻にはいってから気持ちがのらずなかなか先にすすまない。

今後、発売予定で気になる本を下記にピックアップしてみた。
ノンフィクションばかり。
やはり私はそれほど小説が好きではないのかもしれない。

ここ数年、料理がうまくなりたいと思っているのだけれど、
なかなかそう簡単には上達しない。
昨日は40cmほどの金目鯛と格闘したがかなりの苦戦を強いられた。
キッチンの床が魚のウロコだらけ。
魚をじょうずにおろせるようになりたい。
味噌汁の具もワンパターンになりがちなので、
バリエーションを増やしたい。
この間、宮沢りえが味の素のCMで作っていた
小松菜とさつまいもの味噌汁」を作った。

ついでに他のシリーズも貼っておこうっと。
<ブタダイコン編>レシピはこちら

<つくねじゃが編>レシピはこちら

小松菜は栄養もあって本当においしい。
最近、私は青菜といえば、ほうれん草より小松菜だ。
新鮮な魚と野菜が手にはいる海沿いの田舎に住みたいなあ。

●今週、読んだ本
『今日の早川さん』by COCO
今日の早川さん

本好きの女の子たちの日常を描いて大人気のブログが、
大幅加筆、新作描き下ろしをくわえて書籍化。
SF者の早川さん、
ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、
ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん。
本好きの女の子たちの本と読書をめぐる日常のアレコレ。

詳しくはコチラ
元ブログはコチラ
私はマニアになれない薄っぺらな人間なので、
これほど夢中になれる趣味がある人たちを心からうらやましいと思う。

●9月、10月発売予定で気になる本たち

9/14 『カラマーゾフの兄弟続編を空想する』by亀山郁夫

9/20 『岩波文庫解説総目録』

9/26 『爆笑問題ニッポンの教養 現代の秘境は人間だった』by太田 光・田中 裕二・中沢 新一
TV番組の公式サイトはコチラ
今月の28日に90分スペシャル
「爆笑問題 VS 慶應義塾 2030の衝撃!ニッポンの未来を激論(仮)」が
放送されます。

10/6 『退屈論』by小谷野敦(文庫化)
『文藝2007年冬季号 特集:笙野頼子』

10/10 『梅原猛の授業 道徳』by梅原猛(文庫化)
『高村薫 時事発言集』
高村さんの新刊!嬉しい!

10/16『暗黒館の殺人』by綾辻行人(文庫化)
読んだのになぜか中身を忘れているので再購入の予定。

10/25『生首に聞いてみろ』by法月綸太郎(文庫化)
読んだのになぜか中身を忘れているので再購入の予定。

10/30『その名にちなんで』by ジュンパ・ラヒリ(文庫化)

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September 08, 2007

『あじあ号、吼えろ』『カラマーゾフの兄弟』

●今週、読んだ本
『あじあ号、吼えろ』by辻真先
あじあ号、吼えろ!

あじあ号とは昭和9年から昭和18年にかけて満州で運行していた
特急列車である。
この小説は、ソ連参戦が噂される昭和20年8月の満州が舞台。
国策映画撮影のため、満鉄が誇る超特急あじあ号がハルピンを出発した。
乗客は、東邦映画のスターとその付き人、ハルピンの高級料亭の芸者、
満映の女優とその付き人、満州日日の記者、関東軍中尉。
そして貨車には謎の積み荷。
果たして列車はどこへ向かうのか?

著者自身が鉄道ファンということで、鉄道冒険小説を書きたかったのだとか。
実際、鉄道マニアにはたまらない作品だと思う。
が、鉄道マニアでない私でも楽しめた。
先が気になり、一気に読んでしまう。
しかし、戦争がテーマであるにも関わらず、全体的に作品が軽いのが気になった。
登場人物もみな爽やかで、悲壮感がない。
それでいて後半、ばたばたと人が死んで(←ネタばれOKの方のみドラッグしてね)
後味が悪い。

『カラマーゾフの兄弟』byドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

話題の亀山訳で再読中。
(一度目は原卓也訳で読みました)
今週は2巻を読了。

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August 04, 2007

『ヘンリ・ライクロフトの手記』『夜の来訪者』『海からの贈物』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』

●今週、気づいたこと
・今さらながら、味噌汁の具は2種類より3種類の方がうまい。
めんどうでも、料理は、いろいろな素材をちょっとずつ入れた方が
味が複雑になっておいしくなる。

・賞味期限の長い食品はまずい。

●今週読んだ本
『ヘンリ・ライクロフトの手記』byギッシング
ヘンリ・ライクロフトの私記

「およそ読書人と呼ばれる人の本棚にこれがないことはありえない」
と岡崎武志著『読書の腕前』には書いてある。
自分を“読書人”だとは思わないし、
そもそも何冊読めば“読書人”なの?という反発も感じるが、
好奇心に勝てず、読んでみた。
この本は、長い貧困生活ののち偶然知人の遺産を得て、
老境に至り初めて安息の日々を送ることが可能となった
ギッシングの友人であるヘンリ・ライクロフトという作家の手記
という体裁になっているが、ギッシングの創作である。
貧しく不遇な作家という意味で、ギッシング自身の人生と重なるわけだが、
ライクロフトと違うのは、ギッシングは遺産を手に入れることもなく、
貧困のまま死んでいったということだ。
作品の前半は、自然への賛歌、本を読む喜びに溢れている。
が、後半では、自分がかつてお金がなかった時の苦しみが繰り返され、
社会への批判が増える。
また自分は幸せだと無理に納得させようとしているようにも思える。
結局、ギッシングは作品の中でライクロフトにはなりきれなかったのではないか?
この本の訳者である平井氏は
「作者が自らの描く虚構の人物にいわば乗りうつっている」と解説に書いているが
私にはライクロフトが亡霊のように見える。
結局、読み終えてみると、私にはライクロフトの喜びよりも
ギッシングの哀しみの方が身に沁みた。

『夜の来訪者』byプリーストリー
夜の来訪者

戯曲。
舞台はある裕福な実業家の家庭。
娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れ、
ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、
全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。

短いので、2時間もあれば読める。
ラストはぞぞっとくる。
ミステリーでもあり、社会派小説でもある。
二重どんでん返しということで、クリスティの『検察側の証人』を
思い出させる。

『海からの贈物』byアン・モロウ・リンドバーグ
海からの贈物

女はいつも自分をこぼしている。
そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが
女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。
有名飛行家の妻として、そして自らも女性飛行家の草分けとして
活躍した著者が、離島に滞在し、女の幸せについて考える。

20代の時、仕事の関係で参加しなければならなかったある読書会で
この本を読んだことがある。
若くて傲慢で夜遊びばかりしていた私はこの本に書いてあることが
さっぱりわからなかった。
しかし、今は心にしみる。
「そうそう」とうなずいたり、「そうだったのか!」と得心したり。
男性が読んでも生きていくうえでのヒントになると思う。

本当の自分というものは、
「自分自身の領分で自分を知ること」によってしか得られない。
(本文中より)

『円朝芝居噺 夫婦幽霊』by辻原登
円朝芝居噺 夫婦幽霊
怪談ものを得意とし江戸から明治にかけて活躍した落語家、三遊亭円朝。
作者は、ふとしたことからその円朝の口演速記録を手に入れる。
解読してみると未発表作品である。
この本はそのいきさつと、その作品が掲載されているが…。

辛口の感想になる。
私の中では円朝といえば「芝浜」である。
元落研ではあるが、正直、怪談噺はよく知らない。
しかし、この「夫婦幽霊」はいかがなものか。
円朝の作品ということになっているが、
この本の中では最終的に
有名作家○○○○○と円朝の関係者○○○の創作であろうと
結論づけられている。
そうはいっても、夢を壊すようだが、著者である辻原さんの作であろう。
私はあまりデキのいい噺ではないと思う。
強欲な夫婦が3組、登場する。
多すぎである。
悪役ばかりだと悪役がひきたたない。
誰一人、同情できる人間がいないので、ぐっと来ない。
ホームズ役の佐久間さまがちょっとステキというくらいだろうか。
オチもきっちり作っていただきたかった。
また「円朝の作としてはイマイチではないか…」といわれた時の
保険なのか、「いやいや実は○○○○○と○○○の共作なんですよ」
としてあるあたりがずるい。

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July 07, 2007

『悪党芭蕉』『古都』『伝奇集』『Self-Reference ENGINE』『気になる部分』「銀河ヒッチハイク・ガイド」「8人の女たち」「宋家の三姉妹」

渡辺満里奈 ピラティス道渡辺満里奈 ピラティス道
渡辺満里奈

ポニーキャニオン 2007-05-16
売り上げランキング : 72

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2年前、書籍として発売された渡辺満里奈の「ピラティス道」。
DVD化されたら買おうと思っていたら、
いつの間にかDVD化されていたので買ってみました。
激しいビリーズ・ブート・キャンプは真夏にはちょっとしんどいですからね。

●今週読んだ本
『悪党芭蕉』by嵐山光三郎

悪党芭蕉悪党芭蕉
嵐山 光三郎

新潮社 2006-04-22
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芭蕉は「三百年前の大山師」だった!(by芥川龍之介)
弟子は犯罪者、熾烈な派閥闘争、句作にこめられた危険な秘密……。
神格化され、〈宗教〉となった芭蕉の真実の姿を描く、
今まで誰も書けなかった画期的芭蕉論。

俳句にはまったく興味がなかったのだが楽しく読めた。
芭蕉の弟子たちが、それぞれ個性豊か。
二大弟子である東の其角、西の去来。
其角は天才肌であり、去来は誠実そのもの。
芭蕉と衆道関係にあったと思われる美男の誉れ高い杜国。
他にも衆道関係にあった弟子がぞろぞろ。
弟子たちが芭蕉を取り合う様子がおかしい。
といっても、芭蕉を思う気持ちからではない。
誰が後継人になるかが関心の対象だった。
当時、俳句はビジネスだったからだ。
俳句が、芸術である前にビジネスであり、
お金になったということは驚きだ。
興行と呼ばれており今でいうライブのようなものか?
芭蕉はこんな風に詠んでいる。
詩商人年を貪る酒債かな(P.151)

<自分用MEMO>
P.10
百五十年忌の天保14年(1843)には、
二条家より「花の本大明神」の神号を下され、
芭蕉は名実ともに神となった。
芭蕉は宗教と化したのである。

P.184
文芸で名を高めるには、作品もさることながら、死に方の工夫が腕の見せどころ

『古都』by川端康成
「本を読む人々。」というSNSの「古今東西の名作を読もう」トピックの
7月の課題本。
まず、会話が全部、京ことばなのに違和感があった。
京ことばは好きなのだけれど、それが小説となるとふざけてるみたいで…(^^;
「ふた子どすもん?」「いややわ」「どうどした?」「そうでんな」ですよ?
ただ、最初は違和感があったものの、
後半はストーリーもぐぐっともりあがり、楽しく読めた。
平安神宮、植物園、祇園祭、時代祭と京都ならではの描写が続き、
京都ガイドブックのような趣もある。

『伝奇集』byJ.L.ボルヘス

伝奇集伝奇集
J.L. ボルヘス 鼓 直

岩波書店 1993-11
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ネットに各作品について一行で紹介してある文章があったので貼っておく。
<八岐の園 1941年>
プロローグ 以下8篇への前書き。
トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス 
事典をめぐる奇妙な研究論文。
アル・ムターシムを求めて
寓意詩と探偵小説の融合を指摘した書評。
『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール 未完の作品の解説。
円環の廃墟 一人の人間を夢見、生み出す話。
バビロニアのくじ 非在のくじのお話。
ハーバート・クエインの作品の検討 小説家の作品の話。
バベルの図書館 無限であり周期的な図書館の話。
八岐の園 探偵小説的情報戦。

<工匠集 1944年>
プロローグ 以下9篇への前書き。
記憶の人、フネス 完全知覚の言語化。
刀の形 独立運動の自意識の結末。
裏切り者と英雄のテーマ 反転する革命劇。
死とコンパス 四角殺人事件。
隠れた奇跡 ゼノンのパラドックス的詩作。
ユダについての三つの解釈 逆説的弁護人。
結末 人格転移の殺人。
フェニックス宗 継続する秘儀。
南部 手術と決闘。

何度か挫折してきたのだが、今回、やっと全部、読めた。
といっても、全部、理解できたわけではない。
「八岐の園」より「工匠集」の方がいくらか理解しやすかった。
主人公と、対峙していた相手とが逆転したり、
一度は死を逃れるものの、その間にひとときの夢を見て結局死ぬ
といった物語が多いように思う。
「死とコンパス」「ユダについての三つの解釈」「南部」がよかった。

『Self-Reference ENGINE』by円城塔

Self-Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)Self-Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
円城 塔

早川書房 2007-05
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SF連作短編集
著者は今回、「オブ・ザ・ベースボール」で芥川賞候補になった人。
恋愛小説風の話があるかと思えば、巨大人工知能が登場したり、
落語調の話もあれば、SFには不似合いな“トメ”なんて名前も出てくる。
ネットを見ると、この作品について言及する際、
ヴォネガット、ボルヘス、カルヴィーノ、グレッグ・イーガン、舞城王太郎などが
引き合いに出されている。
私の大好きな『銀河ヒッチハイクガイド』における
「生命と宇宙と万物に関する究極の答え」である“42”もちらっと出てくる。
私がこの作品を紹介するとしたら、
「恩田陸の『光の帝国』をもっと理屈っぽくした感じ」だろうか。
帯に推薦文を書いている飛浩隆の『グラン・ヴァカンス』ともちょっと重なるような。
まあ、あらゆるSF作品のごった煮ってことかもしれない。
でも結局、私はこの作品が何がいいたいかよくわからなかったけどね。

『気になる部分』 by岸本佐知子

気になる部分気になる部分
岸本 佐知子

白水社 2006-05
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スティーヴン・ミルハウザー、ニコルソン・ベイカーなどの翻訳家によるエッセイ。
最初はおもしろくてげらげら笑っていたのだけれど、
そのうち、著者の妄想ぶりがだんだん怖くなってくる。
石鹸で手を洗い続けたら手が消えるんじゃないかと思い執拗に洗い続ける著者。
祖母の家の枕の中には日本兵がいるという著者。
前半に書いてあった、壁一面にきのこグッズがずらっと飾ってあり
食事や浴衣、大浴場にいたるまで、すべてきのこづくしという「国際きのこ会館」も
彼女の妄想なんじゃないかという気がして調べてみたがこれはちゃんと実在していて、
今は「ホテルきのこの森」という名前だった。
この妄想っぷりなら、小説を書いてもいいものが書けるんじゃないかなあ。

●読書中
『銃・病原菌・鉄』byジャレド・ダイアモンド

●新たに購入した本
『ちょっと本気な千夜千冊虎の巻』by松岡正剛
『白の民俗学へ』by前田速夫
『読書の腕前』by岡崎 武志
『贅沢な読書』by福田 和也

●今週見た映画
銀河ヒッチハイク・ガイド

銀河ヒッチハイク・ガイド銀河ヒッチハイク・ガイド
サム・ロックウェル ダグラス・アダムス ガース・ジェニングス

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2006-03-17
売り上げランキング : 12677

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予想通り。期待通り。
原作がそのまま映像化されていた。
ただ、ゼイフォードの頭の処理がちょっとずるいような…
(ゼイフォードの頭は双頭なのに、
映画版だともうひとつの頭は首にあり、普段は隠れている)
BBCのTVシリーズのゼイフォードの方が正しい。
BBCの方のDVDも買っておくべきか。

8人の女たち

8人の女たち デラックス版8人の女たち デラックス版
カトリーヌ・ドヌーヴ フランソワ・オゾン エマニュエル・ベアール

ジェネオン エンタテインメント 2003-07-21
売り上げランキング : 14830

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1950年代のフランス。
クリスマス・イブの朝、雪に閉ざされた大邸宅で一家の主が殺された。
集まっていた家族は一転、全員が容疑者に…
お互いが疑心暗鬼に陥るなか、
怪しくも美しき8人の女たちの秘密がつぎつぎと明かされる。
犯人は、誰…?

本格ミステリー風。
オゾン監督はパロディで作ったのだろうか?
というかパロディにしか見えない。
何度も登場するミュージカルシーンは、私はいらなかったな。
ラストはちょっとびっくりのような、強引のような…

宋家の三姉妹

宋家の三姉妹宋家の三姉妹
マギー・チャン メイベル・チャン ミシェール・ヨー

ポニーキャニオン 2005-03-02
売り上げランキング : 69246

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今世紀初頭の中国。
古い因習にとらわれずに育てられてきた宋家の三姉妹。
アメリカ留学から帰国した彼女たちは、
それぞれに全く異なる結婚相手を選ぶ。
長女の靄齢は財閥の御曹司と結婚し、
中国経済を左右する大財閥を築く。
次女の慶齢は革命家・孫文と恋をし、
彼とともに情熱のすべてを革命に捧げる。
そして、三女の美齢は野心あふれる若き軍司令官、蒋介石と結婚する。

「かつて中国に三人の姉妹がいた。
一人は富を愛し、一人は権力を愛し、一人は国を愛した。」
映画のオープニングにこんなテロップが流れるが、
この順番でいくと、次女の慶齢が権力を愛したことになるが、
権力を愛したのは三女の美齢であり、
慶齢は国を愛したのではないのだろうか?
この映画を見るまで、孫文なんて名前くらいしか知らなかった。
このあたりの中国の歴史って
学校であまり詳しく習わなかったような気がする…。
中国の歴史を扱った小説をもっと読みたい。

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June 09, 2007

『エムズワース卿の受難録』『黒猫・黄金虫』『奇術師』『パンプルムース氏のおすすめ料理』「マーズ・アタック」「情婦」

●今週読んだ本
エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉
エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉

ブランディング城城主であるエムズワース伯爵。
大好きな花をながめ豚を愛し、のんびり暮らしたいのに
周囲の人間が、次々と問題を引き起こす。
それに巻き込まれてしまう伯爵。
城主なのだから、一番偉いはずなのに、
妹に怒鳴られては、しゅんとして、
庭師に「やめる」とおどかされてはおろおろする。
何と愛らしい!
私はこういうおっとりした男に弱い。
後半3分の1にあたる「フレディの航海日記」と
「天翔けるフレッド叔父さん」に伯爵が登場しないのが残念。
これは「文藝春秋のP・G・ウッドハウス選集シリーズ2」なのだが
シリーズ3となる『マリナー氏の冒険記(仮)』は来月、刊行予定。

『黒猫・黄金虫』byエドガー・アラン・ポー
黒猫・黄金虫

「黒猫」と「メールストロムの旋渦」は既に読んでいたので
残りの作品を読んだ。
「アッシャー家の崩壊」がすごくよかった。
足元から寒々としてきた。
「黄金虫」もおもしろかった。
世界初の暗号小説らしい。
積んである創元推理文庫のポー全集も読まねば。

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師
〈プラチナファンタジイ〉 奇術師

『双生児』に続きプリースト2作品目。
私はこの著者の作品の楽しみ方がわからないかもしれない。
著者がトリックのために、登場人物を好きなように
動かしているようにしか見えず、心に響いてこないのだ。
そして最後にわかる双方のトリックもイマイチ…
のような気がする。
何か読みのがしているのか?

パンプルムース氏のおすすめ料理
パンプルムース氏のおすすめ料理

パンプルムース氏は元パリ警視庁刑事で
現在はグルメ・ガイドブックの覆面調査員。
お供は、元警察犬のポムフリット。
あるホテル・レストランの味をチェックに来たパンプルムース氏。
なんと出てきた料理の皿の上には首が!
ミステリーとしてはどうってことないんだけど、
パ氏とポムフリットのコンビが魅力的。
シリーズものなので続きも読むつもり。

ユリシーズ〈1〉
ユリシーズ〈1〉

これらの本の合間に、『ユリシーズ』もゆるゆると読み進めている。

●新たに注文した本
ハイペリオン〈上〉
ハイペリオン〈上〉

後述する「長門有希の100冊」に『エンディミオン』があったので
まずはシリーズ1作目から。

さようなら、いままで魚をありがとう
さようなら、いままで魚をありがとう

シリーズ4作目。
3作目である『宇宙クリケット大戦争』をただいま、読書中。

『漱石の夏やすみ』by高島 俊男
漱石の夏やすみ

明治22年、学生だった漱石が23歳の夏やすみに友人4人と房総旅行に出掛け、
その見聞をしるした漢文紀行『木屑録(ぼくせつろく)』について解説した本。
今月、文庫化されました。

パンプルムース家の犬
パンプルムース家の犬

シリーズ2作目の『パンプルムース氏の秘密任務』が到着まで4日かかるみたいなので
とりあえず、即日発送の3作目を注文。

テヘランでロリータを読む
テヘランでロリータを読む

イスラム革命後のイラン。
抑圧的な大学当局に嫌気がさして辞職した著者。
みずから選んだ女子学生7人とともに、
ひそかに自宅で西洋文学を読む読書会をはじめる。
読書会でチョイスされたナボコフもギャツビーもジェイムズもオースティンも未読の私。
果たしてこの本を楽しめるのか?

●今週見た映画
マーズ・アタック!
マーズ・アタック!


監督はティム・バートン。
火星人も宇宙船もマンガに出てくるようなチープさなのだけれど
なぜかはまってしまう。
次々と著名な俳優が登場するのもその魅力のひとつか。
合衆国大統領はジャック・ニコルソン。
007のピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックス、
サラ・ジェシカ・パーカーも登場する。
テーマ曲はトム・ジョーンズの「よくあることさ」で
トム・ジョーンズ本人も出演している。

情婦 [スタジオ・クラシック・シリーズ]
情婦 [スタジオ・クラシック・シリーズ]

弁護士役のチャールズ・ロートンがチャーミングでよかった。
原作である『検察側の証人』を読んでしまっているせいか、
本筋である裁判の動向よりも、病後のロバーツ卿と
彼を心配する周囲の人々とのやりとりの方がおもしろかった。

今日は録画してある『2001年宇宙の旅』を見る予定。

●Amazonの新サービス
Amazonが年会費3900円で
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必ず購入するので、関係ないや。

●長門有希の100冊
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『涼宮ハルヒ』に登場する長門有希が読んでいるという
「長門有希の100冊」というリストが興味深かったのでメモ。

1 ギリシア棺の謎 エラリー・クイーン
2 エンディミオン ダン・シモンズ
3 ウロボロスの偽者 竹本健治
4 双頭の悪魔 有栖川有栖
5 魍魎の匣 京極夏彦
6 ぬかるんでから 佐藤哲也
7 クレープを二度食えば 自選短編集 とり・みき
8 誰彼 法月綸太郎
9 夏と冬の奏鳴曲 麻耶雄嵩
10 猶予の月 神林長平
11 世界のSF全集12 R・A・ハインライン
12 バブリング創世記 筒井康隆
13 〔完本〕黒衣伝説 朝松健
14 パスカルの鼻は長かった 小峰元
15 時間衝突 バリントン・J・ベイリー
16 3つの棺 J・D・カー
17 エイリアン妖山記 菊地秀行
18 順列都市 グレッグ・イーガン
19 ターミナル・エクスペリメント ロバート・J・ソウヤー
20 復活祭のためのレクイエム 新井千裕
21 精神現象学 G・W・F・ヘーゲル
22 伯母殺し リチャード・ハル
23 ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論 高橋昌一郎
24 赤い館の秘密 A・A・ミルン
25 十角館の殺人 綾辻行人
26 ヴィーナスの命題 真木武志
27 五百光年 草上 仁
28 暗号解読 ロゼッタストーンから量子学まで サイモン・シン
29 デュマレスト・サーガ E・C・タブ
30 名探偵の掟 東野圭吾
31 有限と微小のパン 森博嗣
32 魔術の歴史 エリファス・レヴィ
33 オイディプス症候群 笹井潔
34 ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹
35 ジョーカー 清涼院流水
36 抱朴子 葛洪
37 殺人喜劇の13人 芦辺拓
38 世界魔法大全〔英国篇〕4 心的自己防衛 ダイアン・フォーチュン
39 妄想自然科学入門 菊川涼音
40 鋼鉄都市 アイザック・アシモフ
41 法の書 アレイスター・クロウリー
42 イーリアス ホメーロス
43 真ク・リトル・リトル神話大系 H・P・ラヴクラフト
44 僧正殺人事件 ヴァン・ダイン
45 衣裳戸棚の女 ピーター・アントニイ
46 殺意 フランシス・アイルズ
47 トンデモ本の世界 と学会
48 ガダラの豚 中島らも
49 悪霊の館 二階堂黎人
50 知性化戦争 デイヴィット・ブリン
51 タウ・ゼロ ポール・アンダースン
52 月に呼ばれて海より如来る 夢枕獏
53 イメージシンボル事典 アト・ド・フリース
54 椿姫を見ませんか 森雅裕
55 呪われし者の書 チャールズ・フォート
56 トリフィド時代 食人植物の恐怖 ジョン・ウィンダム
57 盗まれた街 ジャック・フィニィ
58 デッドソルジャーズ・ライヴ 山田正紀
59 暗闇の中で子供 The Childish Darkness 舞城王太郎
60 失われた時を求めて マルセル・プリースト
61 カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー
62 吉里吉里人 井上ひさし
63 サード・コンタクト 小林一夫
64 吸血鬼伝承「生ける死体」の民俗学 平賀英一郎
65 エイアリン刑事 大原まり子
66 落着かぬ赤毛 E・S・ガードナー
67 ブラウン神父の童心 G・K・チェスタトン
68 昭和歌謡大全集 村上龍
69 地球の長い午後 ブライアン・W・オールディス
70 リング・ワールド ラリイ・ニーヴン
71 エンダーのゲーム オースン・スコット・カード
72 たったひとつの冴えたやりかた ジェイムズ・ディプトリー・ジュニア
73 奇想、天を動かす 島田荘司
74 最上階の殺人 アントニイ・バークリー
75 夢の樹が接げたなら 森岡浩之
76 スターダスト・シティ 笹本祐一
77 陸橋殺人事件 ロナルド・A・ノックス
78 金なら返せん! 大川豊
79 海を見る人 小林泰三
80 ホッグ連続殺人 ウィリアム・L・デアンドリア
81 思考する物語 SFの原理・歴史・主題 森下一仁
82 ドグラ・マグラ 夢野久作
83 たそがれに還る 光瀬龍
84 ダーコーヴァ年代記 M・Z・ブラッドリー
85 ―――― ---(未知の媒体に記録されているため探知不能)
86 少年エスパー戦隊 豊田有恒
87 ECCENTRICS 吉野朔実
88 太陽の簒奪者 野尻抱介
89 悪魔の系譜 J・B・ラッセル
90 底抜け超大作 映画秘宝編集部編
91 猫たちの聖夜 アキフ・ピリンチ
92 虎よ、虎よ! アルフレッド・ベスター
93 サード・コンタクト 小林一夫
94 五番目のサリー ダニエル・キイス
95 赤と黒 スタンダール
96 百舌の叫ぶ夜 逢坂剛
97 星を継ぐもの J・P・ホーガン
98 できるかなリターンズ 西原理恵子
99 海がきこえる 氷室冴子
100 ―― -(未知の言語で記述されているため解読不能)

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June 02, 2007

『オデュッセイア』『双生児』『夏の夜の夢・あらし』『黒い時計の旅』『ロボット』

●今週読んだ本

ホメロス オデュッセイア〈下〉
ホメロス オデュッセイア〈下〉
先週に引き続き下巻を。
トロイア戦争にまつわる伝説は、
全部で8編の叙事詩で構成されており
順序は
『キュプリア』→『イリアス』→『アイティオピス』→『小イリアス』
→『イリオス落城』→『帰国談(イストイ)』→『オデュッセイア』
→『テレゴニア』となっている。
『イリアス』も読むべきなのだろうけれど、戦闘シーンが多くて退屈そう…
それに有名なトロイの木馬のエピソードは『イリアス』じゃなくて
『イリオス落城』に書いてあるみたいだし。
いうなれば外伝である『アガメムノーン』も読みたい。
今まで気にもしなかったけれど、こういった古典を出版し続ける
岩波文庫の存在は貴重。

双生児
双生児
「プレステージ」の公開間近なプリーストの話題作。
純粋にトリックを楽しめばいいのか。
それとももっと深い何かがひそんでいるのか。
読んでいるうちに、自分の読み方が正しいのかどうか
わからなくなってきて、足元がぐらつく。
これとかカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』とか
文学としてのSFがきてる?

夏の夜の夢・あらし
夏の夜の夢・あらし
再読。
でも10代の頃に読んだきりなので、ほとんど忘れてた。
これを機にシェイクスピアをもっと読んでいきたいのだけれど
慣れていないせいか、どうも戯曲は読みにくい。


黒い時計の旅
黒い時計の旅
たら本第25回「ドイツの文学」で、
ne_sanさん
が紹介してくださった本。
歴史改変SF。
最初は話にのれなかったのだけれど、
途中から俄然、おもしろくなってきて、徹夜しかけた。
今年のベストかもしれない。
島のホテルに暮らす白人の母子。
本土と島の間を渡す船の老船長。
ヒトラー専属の私設ポルノグラファー。
彼らが大きな歴史の渦に巻き込まれていくのか
はたまた彼らが歴史を飲みこむのか。
傑作です。
是非、読んでみて。

ロボット
ロボット
“ロボット”という言葉はこの本から生み出されたもの。
しかし、私たちが頭に思い浮かべる“ロボット”と
この本に登場する“ロボット”は見た目からして
まったく違うものである。
ロボットというよりクローンの考え方に近いのではないか?
しかしソニーの二足歩行ロボットなんか見ている限りでは
のろのろしていてロボットの実用化はまだまだ先ですな。

●新たに注文した本

『ユリシーズ(2)』ジェイムズ・ジョイス
今は1巻をゆるゆる読んでいる。
この本をおもしろく読むコツは、
その都度、訳注をていねいに読むことじゃないかと思う。
多分、さーっと読み流してしまったら、
何が何だかわからないまま終わる可能性がある。

『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
突然、再読したくなったので。

『奇術師』クリストファー・プリースト
プリースト検証プロジェクト第2弾。

『充たされざる者』カズオ・イシグロ
カフカっぽいらしい。

『エムズワース卿の受難録』P.G. ウッドハウス
来月、文春ウッドハウス選集第三巻『マリナー氏の冒険記(仮)』が
発売されるので、その前に第二巻であるこれを読んでおく。

『パンプルムース氏のおすすめ料理』マイケル・ボンド
東京創元社の新刊案内に『パンプルムース氏とホテルの秘密』が
あったので、まずはシリーズ第1作を読んでみることにする。

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May 19, 2007

Soup de poisson,『若い芸術家の肖像』

いつもパンケーキには森永のメープル・シロップを使っているのだけれど
今日はカナダ産のピュア・メープル・シロップをかけてみた。
甘くない…
本物のメープル・シロップは甘くないものなのか?
ってことは森永はメープルシロップに加糖しているってことなのか?

スープ・ド・ポワゾンが好きなのだけれど、
メニューにある店がなかなかない。
ここいらのフレンチレストランだったら
スープといえばせいぜいポタージュとコンソメだ。
パスタをメニューに加えているフレンチレストランさえある。
スープ・ド・ポワゾンに話をもどす。
ポワゾンといっても毒ではない。
魚のスープである。
先日、煮魚にでもしようといさきを買ったのだけれど、
たまには目先を変えようとCOOKPADでレシピを探して、
「いさきのアクアパッツァ」というのがあったので作ってみた。

~材料~
いさき 大きめのもの 一尾
あさり ひとパック
トマト 小2個
にんにく 2片
アンチョビ 3キレ
大葉 5枚ほど
塩、こしょう 適宜
オリーブオイル 適宜
水 100cc~150cc
白ワイン 50cc~100cc

1.いさきはうろこ、内臓をとってきれいに洗う。
塩をして、10分ほど置いて生臭さをとり、もう一度水洗いする。
2.いさきの水気をペーパータオルでとり、塩、こしょうをする。
3.トマトはくし型にカット、アンチョビはみじん切りにする。
にんにくはつぶしておく。
4.浅めの鍋かフライパンにオリーブオイルを少々多めにしき、いさきを両面焼く。
途中でにんにくを入れる。。
5.いさきが焼けたら、ペーパーで余分なあぶらをとり、あさり、トマト、アンチョビを入れる。
水と白ワインを加え、ふたをしてあさりが開くのを待つ。
6.あさりが開いたら、塩こしょうで味をととのえ、オリーブオイルをたらす。
火を止め大葉をのせ完成。

食べてびっくり。
なんとこれがスープ・ド・ポワゾンだったのだ。
スープ・ド・ポワゾンとアクアパッツァは同じものなのか?
スープ・ド・ポワゾンのレシピを改めて調べてみると
にんじん、タマネギ、セロリ、生クリーム、海老などを
加える場合もあるようだが…

若い芸術家の肖像ジョイスの『若い芸術家の肖像』を
一応、読み終えたのだけれど
ストーリーを追ったというだけで
細かい箇所はまったく理解できていない。
翻訳者、丸谷才一の解説によると
主人公の名前ディーダラスは、
ギリシア神話に登場するダイダロスの英語名で
作品の中で何度もその相関関係が示されるのらしいのだが、
ギリシア神話をきちんと読んだことがないので、さっぱりわからない。
童話から日記まで、さまざまな文体と形式が収められているというのは
何となくわかった。
著名な詩がたくさん引用されているのだが、
私は詩が大の苦手なので、その味わいがわからない。
そもそもディーダラスが詩人を目指しているので、
全編にわたって詩的表現満載である。
それがまたちょっと大袈裟過ぎる感じがする。
まるで舞台でセリフをいっているような感じ?
ディーダラスがある悩みを抱え、宗教的に追い込まれるシーンがあるが
あの悩みも『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャの悩みに比べると
くだらない気がする。

とりあえず『ジョイスを読む』という本を買って理解を深めることにする。
『ユリシーズ』と『オデュッセイア』も注文。
ジョイスを読むユリシーズ〈1〉ホメロス オデュッセイア〈上〉

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May 16, 2007

『文学全集を立ち上げる』『ガリヴァー旅行記』

恩田陸と森見登美彦が山本周五郎賞を受賞したというニュースに
「ジーザス、お前もか」とうなってしまったわけだが、
当該作品こそ読んでいないが、
二人の作品を多少とも読んだことがある私が抱いたのは
「今後、日本の文学はこういった口当たりのいい作品を書く作家が
主流を占めていくのか?」
という危惧、いやすでにあきらめに近い感情である。
二人に限らず、ここ10年で人気の出てきた作家の作品は、
そこにSTORYはあるけれど、STORYしかないと感じるのである。
何かが足りない…
(それが何なのか、文学評論的ことばでかっこよく表現したいのだが
そんな力があれば、とっくに評論家になっているのである)
ことばがうわすべりしているとでもいうのだろうか。
しかし、今の日本人にはそういう作品こそが求められているというってことなのか?
簡単にことばをカット&ペーストできる
パソコンという入力装置も原因のひとつだろうか?

文学全集を立ちあげる丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士の3人が
まったく新しい文学観、そして「いま読んで面白いもの」という大原則で、
世界・日本文学全集(古典・現代)を編み直そうと対談したのが
この『文学全集を立ち上げる』なのだが、
この中で鹿島氏が次のように述べている。
「僕は1年間文藝時評をやったことがあって、その時、痛感したのは、
新人作家がいっぱい出てくるんだけれど、
彼らがほとんど昔の文学作品を読んだことがないまま
小説を書いているということでした。
小説というものの本質、技術もなにも知らないで、
いきなり新人賞でデビューする。
そして、とりあえず自分のまわりのことを2、3作書くと、
もう書くこともなくなって消えていってしまう。」
最近の作家に私が感じる違和感はこういうことも関係するのかもしれない。

そんなわけで「もっと古典を読もう」と思いたち、
「本を読む人々。」というSNSに
「古今東西の名作を読もう」というコミュニティを作ってみた。
今のところ
・『文学全集を立ちあげる』に掲載された本を読もう
・光文社 古典新訳文庫を読む
・池澤夏樹=個人編集 世界文学全集を読む
・日本名作を読む
・世界名作文学 新訳・旧訳を読む
・『完訳 赤毛のアン』を読む
・シェイクスピア
といったトピックがある。
簡単な登録さえすれば誰でも参加OKなので古典に興味のある方は是非。

ガリヴァー旅行記「もっと古典を読もう」プロジェクトの一環として
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』を読んだ。
「ガリヴァー旅行記?子供の頃に読んだ、読んだ」という方。
あれは、原作とはまったく違うものです。
子供向け『ガリヴァー旅行記』は夢にあふれたメルヘンのお話だが、
原作の『ガリヴァー旅行記』は人間への風刺や嫌味がいっぱい。
「リリパット国渡航記」はご存知、小人国の話。
「ブロブディンナグ国渡航記」は大人国の話。
子供向けの本に書かれているのはここまで。
しかしこの後の「ラピュータ、バルニバービ、ラグナダ、
グラブダブドリッブおよび日本への渡航記」と
「フウイヌム国渡航記」がこの小説の真髄なのだ。
前半ではなりをひそめていたスウィフトの毒舌が冴え渡り
人間がいかに愚かか、英国の政治がいかにダメであるか
延々と語り続ける。
「フウイヌム国渡航記」にはヤフーと呼ばれる邪悪で汚らしい毛深い生物が
登場するが、これは人類を否定的に歪曲した野蛮種族のこと。
極端に書かれているとはいえ、この章を読むと、
人間とはこんなに醜い生き物かと愕然とする。
子供向けしか読んでいない方は原作で是非、再読を。

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August 04, 2006

『ジーヴズの事件簿』byP.G.ウッドハウス

ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1
P.G.ウッドハウス 岩永 正勝 小山 太一

文藝春秋 2005-05-27
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~ご主人さま。
どんなトラブルも私が見事解決してさしあげます。
で、この品のない靴下は処分してもよろしいですね~

従僕をクビにしたばかりのバーティーのもとへ
紹介所から紹介されたと、ジーヴズがやってくる。

すると相手は、心を癒す西風のように音もなく
入口を通過してきた。
まず最初にこれで感じ入った。
まえのメドウズは扁平足でドタドタ歩いたのだ。
この男には足がないようだった。
漂うように入ってきたのだ。

そして二日酔いでふらふらしているバーティーを見ると…

「ちょっと失礼いたします」男は静かに行った。
ふいに姿がゆらめいたと思ったら、もうそこにはいなかった。
キッチンで動き回る音が聞こえ、しばらくすると、
グラスを載せた盆を持って、現れた。
「わたくしの考案したものでございます。
色はウースター・ソースでございます
生卵が滋養になります。
赤唐辛子(タバスコ)がピリッとした風味を作ります。
みなさま、遅くなった翌朝にはまことに元気が出ると
おっしゃってくださいます」

そしてバーティーはそれを飲みほすと…
「採用だ!」

ちょっと引用が長くなりましたが、
こうしてジーヴズは、バーティーの執事となります。
そして、おっとりして人にだまされやすいご主人さまのために
様々なトラブルを解決するのです。

私が買った文藝春秋版は、ジーヴズものはこの1冊だけ。
国書刊行会からは
『比類なきジーヴス』『よしきた、ジーヴス』『それゆけ、ジーヴス』
『でかしたジーヴス』の4冊が刊行されてます。
翻訳はどうなのかしら?
文藝春秋のはとてもよかったです。
『黒後家蜘蛛の会』が好きな方、ユーモア小説が好きな方
オススメです。
P.G.ウッドハウスは海外でとても人気があるのに
日本ではあまり翻訳されていないそうです。
これからどんどん翻訳されるといいですね。

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