
昨夜、NHK「プレミアム10」でユーミンのライブをやっていた。
音楽プロデューサーの寺岡呼人が企画したもので
ゆず、桜井和寿も参加していた。
何だかんだ20代の頃、一番よく聴いていたのはユーミンなので
ライブを見ているうちに、その頃の自分がよみがえってきて
ユーミンの歌ではないが「あの日に帰りたい」と思ってしまった。
しかし、ゆずファンの方が「ユーミンという人がよかった」と
ネットに書いていらして
「もう若い人にとってユーミンは“ユーミンという人”なんだなあ」と
寂しい気持ちになった。
一方で私にとってもゆずは“ゆずという人”だったりするわけだが…
どうして人は、今の音楽でなく、若い頃に聴いた音楽に
強くひきつけられるのだろう?
その直後が「爆笑問題のニッポンの教養」という番組で、
爆笑問題が東京理科大学薬学部の田沼靖一教授と
「ヒトはなぜ死ぬのか?」をテーマに語っていた。
田沼教授「遺伝子にはあらかじめ死がプログラムされている」
太田「では、遺伝子を操作すれば不死も不可能ではない?」
田沼教授「できたとして不死に何の意味があるのか?」
ちょうどユーミンの番組を見て「若い頃にもどりたい」と
思ったところだったので考えさせられる内容だった。
●今週読んだ本
『充たされざる者』byカズオ・イシグロ

世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。
「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、
日程や演目さえ彼には定かでない。
ライダーはそれとなく詳細を探るが、
奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入り……。
帯に「イシグロがカフカを超える」とあるが
それはあまりにも不遜なキャッチコピーじゃないか?
確かにカフカの『城』に似ている。
が、それも前半まで。
町の人々がみな人間的過ぎるし、ストーリーも明確で、
作品説明にある「悪夢のような不条理」は感じない。
一方、『城』の主人公Kは最後まで外来者であり続ける。
村人は人間であって人間でないようなまさに悪夢のような存在。
と、カフカファンである私は帯のキャッチコピーにカチンとして
カフカと比較して読んでしまったが
そうじゃない読み方ももちろんあると思う。
ネットで検索したらボリス、シュテファン、クリストフ、ブロッキーを
それぞれライダーの少年期、青年期、壮年期、老年期ととらえた感想があった。
え、そうなの?
私はこの4人はまったく別のキャラクターに思えたのだけれど…(・∀・;)
『さようなら、いままで魚をありがとう』byダグラス・アダムス
『ほとんど無害』byダグラス・アダムス


銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。
どこをとっても平凡な英国人、アーサー・デントは
最後の生き残りとなる。
アーサーはたまたま地球にいた宇宙人フォードと
宇宙でヒッチハイクをするはめに。
というストーリーの『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズ第4弾&第5弾。
これでシリーズをすべて読み終えたことになる。
シリーズが後半になるに連れて、コメディからシリアスな内容に移行し、
熟成されていく感じがよかった。
作者の年齢とも関係があるのかもしれない。
ファンは1~3巻を正篇、4&5巻は「三部作の4番目と5番目」と呼び
分離して考えるようだが、
私は4&5巻あっての『銀河ヒッチハイクガイド』なんじゃないかと思う。
4巻ではアーサーが恋をして、5巻でその恋を失ったアーサーが
サンドイッチ職人として幸せそうに暮らしているところ、じーんとした。
ラストの評判が悪いようだが、私は嫌いじゃない。
映画も近いうちに見たい。
『迷宮パノラマ館』by芦辺拓

著者が若い時に書いた短編と最近の作品であるショート・ショート、
講談・ラジオ台本を集めた作品集。
帯には
「ミステリ、SF、ホラー、講談…奇才・芦辺拓が贈るひとり雑誌」
と書いてある。
「太平天国の乱」と「クトゥルー神話」を組み合わせた
『太平天国の邪神』がよかった。
ショート・ショートはやはり短すぎて物足りなかった。
芦辺拓が好きという方以外にはオススメできないかも…
『かくれ里』by白洲正子

白洲正子が朽木谷、菅浦、久々利といった
知る人ぞ知るかくれ里を訪ねる紀行エッセイ。
深い木立にかこまれた神社に残されている古面、
政変で都を追われた天皇たちの悲しいエピソード、
山奥に残る古代信仰のあと。
しかしこの作品が発表されたのは1971年。
もうこれらの土地も観光客によって荒されてしまっているだろうか。
日本書紀、万葉集、太平記といった日本の古典をもっと読み、
京都周辺の詳細な地図を手元に置いて再度、読みたい。
P.11
バスから押し出される観光客は、信仰とも鑑賞とも、
いや単なる見物からも程遠い人種に違いない。
ただ隣の人が行くから行く…(中略)
仏像や古美術も…(中略)不断の尊敬と愛情によって
磨かれ、育ち、輝きを増す。
P.16
伎楽はおそらくギリシャから西域を経て、中国に渡り、
朝鮮経由で、七世紀の頃、日本に将来された芸能だが、
外国では滅びてしまったその伝統が、日本の片田舎に
こうして生き残っていることに…(中略)
日本の国そのものが、世界のかくれ里的存在といえるのでは
ないだろうか。
P.42
明け行く空と、落ちる月影に、軽の皇子への希望と、
草壁の皇子への追慕を見るのは行きすぎで、
歌はそのままの姿で味わうのが一番いいのである。
P.232
天然記念物に指定されてから急にはやり出したと聞くが、
やたらに指定するのも考えものである。
指定されたために、全滅した植物や鉱物は多い。
P.279
現代人はとかく形式というものを軽蔑するが、
精神は形の上にしか現れない。
私たちは何らかのものを通じてしか、
自己を見出すことも、語ることもできない。
そういう自明なことが忘れられたから、
宗教も芸術も堕落したのである。
P.298
あえて言えば、古事記も、日本書紀も、神話を総括し、
伝説を整頓しただけで、作り話は一つもない。
神話とフィクションのちがいを、私たちはもっとはっきり
心得ておくべきだと思う。
●読書中
『ユリシーズⅠ』byジェイムズ・ジョイス

スティーヴンがブルームの新聞社にやってきたところ。
英語の修辞学がわからないので、そのあたりが楽しめないのが
ちょっと悔しい。
『古代からの伝言~日出づる国~』by八木荘司

「日本書紀」の世界を小説化した作品。
●新たに注文した本
読む本がたまっているので今週はショッピングなし。