June 20, 2006

『信長の棺』by加藤廣

信長の棺信長の棺
加藤 廣

日本経済新聞社 2005-05-25
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「本能寺の変」の後、織田信長の遺骸が忽然とこの世から消えた…。
「信長公記」の作者・太田牛一の視点から描いた歴史ミステリー。

冒頭で、牛一は信長に5つの檜の箱を渡され
「そなたに、あれなる物を預け置く。
こたびの事、決まれば即刻、早馬にて伝える。
直ちに持参の上、京へ駆けつけよ。」
と命ぜられる。
しかし、信長は本能寺の変で死んでしまう。
私は、もうその箱の中身が気になって、気になって。
でも、最後にならないと、その中身はわかりません。
わかってみると、「そうだよな、それしかないよな」と思うんだけど
もっとドラマチックな中身を期待しちゃいました。
信長の最期も、正直、えー(;´Д`)という最期なんですが
なんだかんだおもしろくてどんどん読んじゃいました。
歴史ミステリーとしてもおもしろいですが
牛一の老人としての生き様が
現代の老年の方々の参考になるように書かれているように
思いました。
これは著者が1930年生まれであるということもあるでしょうね。

宇月原晴明の『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に引き続き
これを読み、信長づいております。
今月末に佐藤賢一著作の『女信長』が出版されるようなので
これも読んでみようかな。

<関連記事>
『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』by宇月原晴明

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March 11, 2005

『七人の安倍晴明』by夢枕獏編著

七人の安倍晴明
夢枕 獏

文芸春秋 2001-11
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小説あり、紀行あり、対談ありの安倍晴明アンソロジー。

『視鬼』高橋克彦
晴明が70才なんですよー。
やっぱり晴明は若くて美しくないと。
(いくらオヤジ好きでもここはゆずれん)
それにトリックまであるんですよー。
未知なる力だからこそ晴明なのに夢がない。

『愛の陰陽師』田辺聖子
「宇治拾遺物語」から抜粋した晴明にまつわるエピソード。

『日本の風水地帯を行く』荒俣宏
<コージン様>の起源を求め、出雲、京都を旅した紀行文。
アラマタ先生、興奮しすぎて飛ばしてます。
「こんな事は当然、わかってますよね」的に書いているので
わかってない私はついていけません。
勉強して出直します。

『晴明。』加門七海
長編からの一部抜粋。
文章がアニメチックです。
「パシィッ!」とか「ギャァァッ!」とか、おごそかな夢枕版に慣れている身には
ちとつらい文体です。
晴明が「俺は天才だからねぇ」とククッと笑うあたりにも違和感を感じます。
ただ、あとがきで夢枕氏が「晴明ブームの裏には少女マンガ、少女小説がある」と
書いていて、何だか納得です。

『鬼を操り、鬼となった人びと』小松和彦・内藤正敏
「鬼が作った国・日本」からの抜粋。
下級陰陽師が政治の場から遠のくにつれ、鬼とみなされるようになったという説を
展開している。
鬼も興味のあるテーマなので原本を読んでみようかな。

『三つの髑髏』渋澤龍彦
単行本時収録の岡野玲子作「玄象といふ琵琶 鬼のために盗らること」は
文庫にしないという著者の意向により未収録となり
代わりにこの作品が収録された。
渋澤氏が代役ってすごいなあ(笑)

『下衆法師』夢枕獏
晴明といえば夢枕獏ですよね。
というか、ここを引き立てるために今までの作品があったと思うくらい(笑)
やっぱり、博雅がいないとね。

<結論>
アンソロジー物って半端でビミョー・・・
陰陽師関連は、この後、アラマタ氏の『帝都物語』を読みます。

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April 27, 2004

『五年の梅』by乙川優三郎

五年の梅
乙川 優三郎

発売日 2003/09
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時代小説はほとんど読まない。
池波正太郎や藤沢周平のコーナーにずらりと並べられた著書の数々。
あの膨大な数の時代小説を読み出したら、時間がいくらあっても足りない。
他のジャンルの小説が読めなくなってしまう。
それでなくても、読みたい本は山とある。

そんな時、乙川優三郎を薦められた。
そして読んだのが直木賞受賞作の『生きる』。
情景描写も美しく、人間のせつなさがうまく表現されていると感じた。
しかし、また読んでみたいと思うほどではなかった。

ところが、薦めてくれた人間が
「ちがう!ちがう!乙川優三郎は『生きる』じゃなくて『五年の梅』がいいんだよ」
という。

渋々、読み始めた『五年の梅』・・・

す、すばらしい!

『生きる』で感じたまどろっこしさもなく
ストーリー展開もいい。
町人を書いた作品が多いせいか、どこか落語の人情噺に似ている。
五つの短編の中で、私は「蟹」がよかった。

直木賞作品よりいいなんて、恐るべし山本周五郎賞の眼力!
折しも「第十七回山本周五郎賞候補作品」が発表されました。

さてさて、どなたが受賞されるでしょうか?

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